父の通うお寺に報告してよかった。
火葬だけのつもりが、
家族が思っていた以上の人望を持っていた。
突然の知らせで、真っ白になった。
喪主様
今から振り返ってみると、親父がお寺にかかわっていてくれたおかげで、何ひとつ苦労することなく送ってもらえました。最初、病院で「お父さんが亡くなりました」って言われた時は真っ白になって、なるがまま、声をかけられるがままに、病院にいる葬儀社に棺おけを頼んでしまいましたが…。
ご家族
私もどうしようかと思いました。病院の人が待っているものだから、息子たちも慌てて病院の葬儀社に決めちゃって。
喪主様
それこそ藁をもつかむ思いで、もう、気が動転しているから。でも、家に帰ってから、待てよ、親父が一番大切にしていたのは、お寺さんじゃないの? そこに話を持っていかないと親父に怒られるぞ、ってことになって。次の日の朝一番に、母と一人でこちらに相談に寄らせてもらったんです。
僧侶
あきらめないでご連絡くださって助かりました。すべて決まる前にご連絡をいただいたのがよかったです。
ご家族
家族の間では初め、身内で火葬だけにしようと考えていました。しかし住職から、親父の場合にそうはいかないと言われて。
僧侶
ここが難しいところなんですが、故人さまが思っていたことが必ずしも家族の方に伝わっているとは限りません。ですから、少し強めな言い方になりましたが、私からも、住職からもお話しさせていただきました。
火葬だけのつもりが、
親父のために来たいと言ってくれた人が、
こんなにもいた。
喪主様
逆にこちらとしては、お寺に報告してよかったよね、という印象でした。火葬だけのつもりが、親父は家族が思っていた以上の人望を持っていた。会社関係はすぺて断り、親戚も一人も呼んでいないのに、親父の友達が来てくれた。10人位を予定していたら、50人位来てくれた。そこで親父の偉大さを知りました。親父のために来たいと言ってくれた人が、こんなにもいたんだなって。
ご家族
さっきもお寺ですれ違いざまに、「佐々木さんのご家族」と聞かれて挨拶されました。ほんと、おじいさんは皆に好かれていたんだね。
喪主様
自分が会ったことない人でも、お寺で「佐々木さんの…」つて言われる、思い出してもらえる。いつもニコニコしていたなんて、家では考えられない。生前は、自分としゃべるのは、1日5分10分の世界でした。なのにお寺で撮られた写真を見たら、なんだよこの顔、なんでこんなに笑っているんだよって。
ご家族
私は、あんな写真見たの初めてです。あんないい笑顔ね、本当のおじいさんでしたね。
僧侶
選影ですね。最高の笑顔ですよね。何の加工もしない、自然なままの写真が、佐々木さんをよみがえらせましたね。
ご家族
本堂で送り出せて、本当に幸せでした。前の日から本堂に預かってもらって、おじいさんは、本当におじいさんは…。
喪主様
お寺さんの身内でもないのに、こんなに立派な本堂でやらせてもらっていいのかと思いました。もし知らないで直葬ですませていたら、悔やまれて仕方がなかったと思います。本人の口からは間けないけれど、後に任させれた者としては親父が願っていた通りのことを、住職やお寺さんの力を借りてやらせてもらったかなって。親父が大切にしていたものを守っていかなければと思いました。
僧侶
お葬式をご縁に、奥さまや息子さん、お孫さんもお寺のお手伝いに来てくださるようになりましたね。
喪主様
息子(故人のお孫さん)は、いつもじいさんにくっついていました。親父はすごい人間ですよね、今にして思えば。亡くなったことで、一人の人間を変えている。小学校から中学校に上がったこともあるかもしれないけれど、息子は変わった。
僧侶
彼は礼儀正しいですよね。
悲しみじゃないんですよ、なんだろう…
この感覚すごいなあ。
何て言ったらいいんだろう。
喪主様
今回、お葬式をやって、親父にはかなわないと思いました。現代はなんでも金、金の時代だけども、親父は金で動かせない人を動かす。義理みたいな感じで釆て手だけ合わせてすぐ帰るお葬式と、親父のことを思ってたくさんの人が来てくれた今回のお葬式では、計り知れない差がある。ほんとつくづく、悲しみじゃないんですよ、なんだろう…この感覚すごいなあ。悲しみは当然あったんですよ、喜びがあった、何か幸せが得られた。何て言ったらいいんだろう。
僧侶
直接、火葬をしていたら、家族が知らなかった佐々木さんを知る機会もなかったかもしれないですね。
喪主様
今回経験して初めてわかったのは、直葬でやりますっていうのは、頭の中が真っ白で、何もできないからですよ。そういう時こそ、アドバイザーとかに聞いて、その人にふさわしいものをやるのが一番。生前やっていたことや人脈を、よく考えてやってあげないと。親父のお葬式は、大会社の社長、会長のお葬式より立派だぞって胸張って言えます。金を積めば誰でも飾りはできますが、色形の華やかさではなく、得た人望の素晴らしさを感じることができました。
僧侶
佐々木さんの人柄を表したお葬式でしたね。想いがある人だけが集まると、ナレーションも演出もいらない、本当のお別れをするだけ。私達も、佐々木さんには生前お世話になりっばなしだったから、少しでもご恩返しがしたいと思いました。
ご家族
十分やってもらったわよ。おじいさんも幸せだったでしょ。
僧侶
私たちも、佐々木さんにありがとうと申し上げたいです。本当にありがとうございました。