樹木葬と散骨の違いとは?それぞれの特徴と費用相場についても解説

お墓

死後は自然回帰したいと望む方の間で、注目されているのが樹木葬と散骨です。どちらも自然に還るイメージがあります。しかし実際は樹木葬と散骨は大きく異なります。そこで2つの違いについて説明。さらにメリットやデメリット、注意したい点などについて紹介していきます。

目次
●樹木葬とは
●散骨とは
●樹木葬と散骨の違い
●樹木葬のメリット・デメリット
●散骨のメリット・デメリット
●樹木葬や散骨の費用相場
●樹木葬で注意したいこと
●散骨で注意したいこと
●證大寺の樹木葬
●まとめ

樹木葬とは

樹木葬とは
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花をシンボルとして埋葬するお墓のことです。比較的新しい種類のお墓で明確な定義がないため、さまざまな種類のものがあります。立地でいうと自然の山林を活かした里山型のほか、都市部などアクセスのよい場所では整備された庭園型のものが多くみられます。また遺骨を布など自然に還りやすいものに包んで埋葬するのか、骨壺に入れて埋葬するのかなどの違いもあります。さらに他の方と一緒に合祀するものや、一般のお墓のように個人や家族で区画があるものもあります。同じ樹木葬でも、選び方によって印象は大きく異なります。

散骨とは

散骨とは
散骨とは、故人の遺体を火葬して遺骨を粉末状にして撒くというものです。山や海など故人が好きだった場所や故人ゆかりの土地、または生前の希望に合わせた場合に散骨されることが多いです。本来はお墓以外の場所に遺骨を埋葬することは法律で禁じられています。しかし散骨自体を規制する法律がないことや、死生観の変化などから散骨を望む方が増えてきています。とはいえ遺骨を撒くという行為のため、散骨を禁止する場所があるなど制限もかけられています。

樹木葬と散骨の違い

樹木葬と散骨の違い
最大の違いは、お墓の有無です。樹木葬は墓地として許可を得た場所に埋葬するため、お墓が存在します。一方散骨は、墓地以外の場所に遺骨を撒くというものなので、お墓は存在しません。そのため供養方法などにも違いが出てきます。

樹木葬の供養方法

樹木葬では墓石はないものの、シンボルとなっている木や草花があり、これが墓標となっています。基本的に一般のお墓に入った場合と同じように供養でき、お墓参りをして手を合わせることができます。またほとんどの樹木葬では永代供養が付いていて、跡継ぎがいなくても霊園やお寺などの管理者が代わって供養を続けてくれます。

散骨の供養方法

散骨はお墓がないため、お墓参りができません。そのため撒いた場所に向かって手を合わせて供養するという方法が多いようです。そのほか命日や回忌に法要クルーズを行うという例もあります。しかし遺骨をすべて散骨してしまうことで、日頃どこに手を合わせていいか分からず、遺族のグリーフケアの観点から現在では全骨を散骨することは少なくなってきました。遺骨を全て撒いてしまうのではなく、一部を残して手元供養をしたりお墓に納骨したりする場合もあります。
また遺骨を全て散骨した場合でも、命日や回忌法要などの供養を行うことができます。遺骨やお墓がないと法要を行ってはいけないという決まりはありません。ただし僧侶に読経などを依頼する場合は、お寺の考え方によっては断られることもあるので、まずは相談してみるようにしましょう。

樹木葬の手続き

樹木葬は通常のお墓と同様に「墓地・埋葬等に関する法律」に則っているため、通常の墓地へ埋葬するのと手続きに変わりはありません。具体的には、まず樹木葬の契約手続きを行います。樹木葬はほとんどの場合、生前予約が可能なので事前に契約手続きを済ませることができます。樹木葬のお墓に入る方が亡くなったら、役所に死亡届を出した後、火葬許可書を取得します。そして火葬場に火葬許可書を提出して火葬し、埋葬許可書を取得します。その後、樹木葬の管理者に埋葬許可書を渡して納骨となります。

散骨の手続き

散骨は「墓地・埋葬等に関する法律」の範囲外となります。しかし散骨する場合は火葬して遺骨にしなければならないので、役所に死亡届を出して火葬許可書を取得する必要があります。また分骨してお墓などに納骨する場合は埋葬許可証も必要となります。
散骨は個人でもできるとされていますが、実際には一部または全ての作業を業者に依頼することがほとんどです。散骨するには、遺骨をパウダー状に粉骨しなければなりません。また散骨禁止でない場所でないかを確かめる必要などもあるため、個人で行うには物理的にも精神的にも負担が大きくなってしまうからです。

樹木葬のメリット・デメリット

樹木葬のメリット・デメリット
樹木葬は木や草花に囲まれて眠りたいと願う方にとっては、希望が叶うお墓といえるでしょう。また一般墓に比べて費用が抑えられる、ほとんどが永代供養付きなので継承の心配がないなどのメリットがあります。
一方デメリットとしては、里山型の樹木葬ではアクセスしにくいケースもあり、遺族がお墓参りに行きにくいなどの問題があります。また埋葬方法によっては後で遺骨を取り出せなかったり、一定期間後は他の方とともに合祀されたりするタイプのものもあります。

散骨のメリット・デメリット

散骨のメリット・デメリット
散骨はお墓がないので、お墓の維持管理をしなくていいというメリットがあります。また地球環境にとっては負荷を抑えられる埋葬方法といえるでしょう。なにより故人が散骨を希望していたなら、その希望が叶えられるというのが最大のメリットです。
しかし散骨はお墓参りができず、手元に遺骨も残りません。このような理由から家族や親族から理解を得にくいというデメリットもあります。また散骨は、業者選びにも慎重になる必要があります。きちんとした業者を選ばないと、間違った方法で散骨をしてしまうリスクがあり、トラブルとなったケースもあります。
樹木葬のメリットとデメリットについてもっと知りたい方はこちら

樹木葬や散骨の費用相場

樹木葬や散骨の費用相場
樹木葬も散骨も、一般墓に比べると費用が抑えられるといわれています。とはいえ樹木葬の場合は、立地や埋葬方法によって費用相場に幅があります。また散骨の費用相場も、どこに撒くのか、どのような形で散骨するのかなどによって大きく異なってきます。

樹木葬の費用相場

樹木葬の費用相場は、まず埋葬方法によって変わってきます。個別のスペースはなく、他の方の遺骨と一緒に埋葬する合祀の場合は5~20万円が相場とされています。個別の区画が用意されている場合は15~60万円が相場です。また個別で1人だけでなく夫婦や家族単位で入れる家族型だと20~80万円が相場となっています。これに加え、立地条件や墓地や霊園のタイプ、入る人数などによって幅が生じてきます。

散骨の費用相場

散骨の費用相場は、どこに撒くか、どのように撒くかで変わります。海に撒く海洋散骨の場合、個別で船をチャーターして貸し切るタイプは20〜35万円、他の方と同じ船に乗る合同散骨タイプだと10~20万円前後が相場とされています。また山への散骨は海洋散骨より費用が安い傾向があり、10~20万円が相場です。空への散骨はヘリコプターをチャーターして散骨する場合は30~50万円程度、空に向かってバルーンに載せて散骨する場合は約20万円前後が相場とされています。また実施例は少ないものの、人工衛星やロケットに乗せて宇宙空間まで運ぶ「宇宙葬」と呼ばれる散骨方法もあり、これは100~数100万円が費用相場です。このほか遺族は同行せず、散骨業者に散骨を委託する代行散骨の場合は2~5万円が相場とされています。

樹木葬で注意したいこと

樹木葬で注意したいこと
樹木葬はさまざまな種類があるので、自分の希望にあったものか確認することが必要です。合祀・個別などの埋葬方法のほか、何人納骨できるのか、一定期間後に合祀されるか・されないかなど、よく調べるようにしましょう。また同じ樹木葬でも、里山型と庭園型ではイメージが大きく違う場合が多いので、実際に現地まで赴いて見学するのがおすすめです。里山型の樹木葬を選ぶ場合は、お墓参りに行く遺族のことも考えて、立地の利便性にも注意する必要があるでしょう。
樹木葬の注意点についてもっと知りたい方はこちら

散骨で注意したいこと

散骨で注意したいこと
散骨は同じ方法で行う場合でも、業者によって費用に大きな開きがあることがあります。葬祭業でなくても参入できる事業なため、業者の質はさまざまといえます。複数の業者を比較して費用やサービスの内容に納得できるところを選ぶようにしましょう。
また遺骨を全て散骨するのか、一部を手元に残しお墓に納骨するのかなども熟慮したいものです。全部散骨してしまうと2度と回収することはできません。
そして実際に散骨を行う場合は、適切な場所を選び、献花などを行っても自然に還らないものは撒かない配慮なども必要です。

證大寺の樹木葬

證大寺の樹木葬
写真:東松山市 森林公園昭和浄苑の浄縁樹木葬
證大寺は東京都江戸川区にある浄土真宗のお寺です。江戸川区にある墓地のほか、千葉県船橋市と埼玉県東松山市でも昭和浄苑という名の2つの霊園を直接運営しており、いずれの場所でも樹木葬を行っています。きれいに整備された庭園型と呼ばれる樹木葬で、アクセスしやすい場所にあるのも魅力です。

豊富な区画タイプと手厚い供養で評判

證大寺の樹木葬は、合祀区画のほか、個別区画として1人用、夫婦用、最大8名まで入れる家族用の区画などがあります。またペットと一緒に入れる区画もあります。区画タイプが豊富にあるため、自分に適したものを選ぶことができます。さらに個別納骨では、後で合祀される心配もありません。
またお寺ならではの手厚い供養でも評判です。毎朝夕、僧侶が読経して供養してくれ、お彼岸やお盆などには法要も行われます。永代供養付きなので、お墓参りに来る方がいなくなってもお寺がずっと供養を続けてくれます。

樹木葬や散骨についてご相談ください

證大寺では、樹木葬だけでなく、散骨を希望する方の相談も承っています。散骨を行う場合、遺骨の全てを撒くケースばかりではなく、遺骨の一部だけを散骨することも多いです。證大寺では残った遺骨の供養について敷地内の樹木葬や永代供養墓にて合葬や個別納骨をさせていただきます。また信頼できる海洋散骨の業者を紹介してもらえるので、遺族の負担も軽減できるでしょう。證大寺の僧侶も乗船してお参りもしています。亡くなった後は自然に還りたいという希望をかなえたいなら、證大寺に相談してみてはいかがでしょうか。
樹木葬や散骨についてのご相談はこちらまで

まとめ

まとめ
「死後は自然の中で過ごしたい」という希望から、また「お墓は費用がかかり、維持管理や後継者などの心配もある」という観点から、樹木葬や散骨を考える方もいます。しかし樹木葬と散骨は、お墓の有無などかなり異なる点があります。その違いを理解したうえで、故人の遺志や家族の意向に最も適した方法を選択するようにしたいものです。

樹木葬と散骨の違いに関する監修
仏教人生大学 講師
目﨑 明弘

PROFILE
證大寺 森林公園別院に所属。18歳から28歳まで京都の大谷大学で仏教を学ぶ。その後、真宗大谷派の本山である東本願寺の同朋会館で五年間勤務。現在は、銀座別院等で講師を担う。

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