皆さん今日は。「お寺の掲示板」の時間です。この時間は、毎月一つの言葉を、仏教で捉えるとどうなるのか、ということをお話しさせていただくお時間です。
今月の言葉は『我慢』でございます。
「あの人は我慢強い」といえば、忍耐や心の強い人といった意味に使われています。
しかし仏教では「我慢」は煩悩のひとつとして説かれます。
ある姑さんのお話です。嫁のやることなすこと全てが気になります。一言言ってやりたいが、物分りの良い姑になりたいばっかりに、いつも堪(こら)えて我慢をしていました。
しかし、ある日とうとう我慢の限界を超え、お嫁さんに文句を言ってしまいました。
すると「おかあさん!私が日頃どれだけ我慢してると思ってるんですか!」と返されたのです。
私こそが我慢をしていると思っていたのに、あの嫁が我慢をしていたなんて。お互いに我慢をしながら全く分かり合えていなかったということに気付かされたということです。
自分だけが正しいとする自我にしがみついて、心が傲慢になることを「我慢」というのです。
広辞苑をひくと第一義に「自分をえらく思い、他を軽んずること」と出てまいります。
自分さえ我慢すればいいという思いは、相手を見くびるばかりでなく、我に執着し、心に過剰な負担を与え、かえって自分を苦しめることになりますよと仏さまは教えてくれています。
我慢はしすぎることなく、力を抜いて、ほどほどがよろしいのではないでしょうか。
どうぞ「我慢」の気持ちが起きそうになった時は、少し立ち止まり、大きく深呼吸をして、しばらく静かに自分を見つめ直す大切な機会にしたいものです。
春江町の證大寺では、一年中休むことなく、毎朝8時半から「お経と法話の会」が勤まっております。また毎月28日の朝8時半には、掲示板のお話をさせて頂きます。参加費・予約不要で、どなたでも御参加いただけますので、是非お参りください。
お問い合わせは3653ー4499・3653ー4499まで。