分骨証明書とは|分骨証明書の発行方法や手続きの流れについて解説

お墓

分骨とは遺骨を2か所以上の場所に埋葬することで、その際には「分骨証明書」が必要となります。分骨は法的にも宗教的にも問題のない行為であり、その理由も遺骨の一部を本山に納骨する、先祖代々と新しいお墓の両方に埋葬するなどさまざまです。ただし分骨証明書がないと後々困ることがあるので、分骨証明書についてよく知るようにしましょう。

目次
●分骨証明書とは
●分骨証明書が必要なケース
●分骨証明書を発行するタイミングと依頼先
●分骨証明書の手続きの流れ
●分骨証明書の申請に必要なもの
●分骨証明書についての注意点
●證大寺|分骨のご相談
●まとめ

分骨証明書とは

分骨証明書とは
分骨証明書は、遺骨を2か所以上に分けて納骨したい場合に必要となる書類で、分骨した遺骨が誰のものであるかを証明するためのものです。通常、お墓などに納骨する場合は、墓地・霊園等に「埋葬許可書」を提出する必要があります。しかし埋葬許可証は、1つの遺体につき1枚しか発行されません。また埋葬許可証は原本のみ有効でコピー等は認められず、提出後に返却してもらうこともできません。遺骨を2箇所以上に埋葬したい場合は分骨証明書を発行してもらい、これをお寺や霊園に提出することで遺骨を埋葬することができます。

分骨証明書が必要なケース

分骨証明書が必要なケース
遺骨を2箇所以上のお墓に納骨したい場合、分骨証明書が必要になります。それ以外の理由でも分骨証明書が必要となってくるケースがあるので、注意するようにしましょう。

(1)遺骨を2カ所以上のお墓に納骨したい時

遺骨を2箇所以上のお墓に納骨するとは、どんなケースがあるかというと、昔ながらの風習である「本山納骨」があります。本山納骨とは、仏教の各宗派の本山に遺骨の一部を納骨して供養するというものです。このほか親族間で遺骨を分け合ってそれぞれ納骨したり、故郷のお墓と住まいに近いお墓に遺骨を分けて納骨したりするという場合もあります。また最近では、分骨して遺骨の一部を永代供養のお墓に納めるというケースも増えてきました。
分骨する理由はさまざまですが、2箇所以上のお墓で納骨する場合は納骨証明証が必要となります。

(2)遺骨の一部を散骨したい時

お墓への納骨は1箇所だけであるものの、遺骨の一部を散骨したい時も分骨証明証を取得しておきましょう。分骨証明証がないと『事件性がない遺骨だと確認できない』という理由から、散骨を引き受けてくれない散骨業者も多いです。故人の希望などで散骨を考える場合は、分骨証明書を用意しておくことをおすすめします。

(3)遺骨の一部を手元供養したい時

手元供養とは自宅などに遺骨をおいて供養するというものです。最近は、故人を身近に感じられるなどといった理由で、手元供養する方が増えているようです。遺骨の一部を手元供養する場合も、分骨証明書を取得しておくようにしましょう。手元供養の場合は分骨証明書を提出する先がないため、分骨証明書の必要はないと考える方もいるでしょう。しかし事情が変わって手元供養が続けられなくなった時、遺骨をお墓に納めたくても分骨証明書がないと納骨できません。また手元供養で遺骨の一部をネックレス等に加工して供養品を作るケースも増えていますが、その際にも業者から分骨証明書を求められる場合があります。

分骨証明書を発行するタイミングと依頼先

分骨証明書を発行するタイミングと依頼先
分骨証明書は「墓地、埋葬等に関する法律施行規則・第5条」という法律によって定められた公的な書類です。発行できる機関は火葬場、市区町村の役所、霊園・寺院など墓地の管理者の3か所に限定されています。また分骨を行うタイミングによって、分骨証明書の発行を依頼する先が変わってきます。

火葬場に発行してもらう

あらかじめ分骨することが決まっていて火葬した直後に分骨する場合は、火葬場から分骨証明書を発行してもらえます。事前に葬儀社や火葬場に連絡し、何通必要なのかを伝えれば、火葬が終わるまでに証明書を発行してくれる場合が多いです。分骨用の骨壺を用意しておけば、その場で遺骨を分けて持ち帰ることもできます。

市区町村役所で発行してもらう

火葬が済んだ後、納骨前に分骨を行うことになった場合は、市区町村の役所に申請して分骨証明書を発行してもらうことになります。火葬場ではすぐに発行してもらえますが、役所に申請する場合は時間がかかることがあるので、余裕をもったスケジュールで申請するようにしましょう。

霊園や寺院から発行してもらう

遺骨をいったんお墓に納めた後でも、分骨することはできます。この場合は霊園や寺院から分骨証明書を発行してもらうことになります。ただしお墓をあけて遺骨を取り出すことになるため、その作業を石材店に依頼しなければならず、証明書発行手数料以外の費用が必要となります。

分骨証明書の手続き

分骨証明書の手続き
火葬場で分骨証明書を発行してもらう場合は、葬儀社や火葬場に伝えて申請するだけで手続きができます。もっとも手間のかからない方法といえるでしょう。
役所で発行してもらう場合は、自治体によって申請書の書式が異なるので注意が必要です。事前に役所のHPから申請書をダウンロードするなどして記載事項を確認し、必要書類を整えてから申請するようにしましょう。
霊園や寺院で発行してもらう場合は、遺骨を取り出す際に管理者の立ち会いが必要になります。霊園・寺院に相談して日時を決めるなどして、手続きを行います。

分骨証明書の申請に必要なもの

分骨証明書の申請に必要なもの
分骨証明書を申請するには、依頼書や申請書のほかにも必要となるものがあります。以下で説明しますので、参考にしてください。

発行依頼書・申請書

火葬場で分骨証明書を発行してもらう場合は、「発行依頼書」を提出します。書類に必要事項を記入することになりますが、わからないことがあれば葬儀社や火葬場のスタッフが案内してくれるので安心です。
市区町村役場で発行してもらう場合は「分骨証明申請書」の提出が必要となります。できれば事前に分骨証明申請書を準備しておきましょう。故人の本籍地、住所、氏名、性別、死亡年月日、埋火葬年月日、火葬の場所など、故人に関する詳しい情報が求められることも多いので、正しい内容かどうか事前に確認しておくようにしましょう。
霊園・寺院の場合は、役所と同様に故人に関する詳しい情報が求められます。さらにお墓の名義人の同意や分骨後のお墓についてなどの確認書類も必要になってくる場合が多いので、それぞれの霊園・寺院に事前になにが必要かを確認するようにしましょう。

印鑑・身分証

発行依頼書や申請書の書類には、押印する箇所があるため印鑑が必要です。特に火葬場でその日のうちに分骨証明書を出してもらいたい時は、印鑑がないと手続きが進められないので忘れないようにしましょう。また身分証も必要で、特に市区町村などの役所で分骨証明書を発行してもらう際は、身分証の提示を求められることがほとんどです。顔写真付きの運転免許証やマイナンバーカードなどを身分証として持参しておくとよいでしょう。

発行手数料

分骨証明書の発行には手数料が必要となります。発行場所によって費用は異なるものの、おおよそは1通数百円程度が相場です。ただしお墓にある遺骨を取り出して分骨する場合は、骨壺を取り出すために墓石を動かす必要があり、発行手数料とは別に作業にかかる費用が必要となってきます。石材店に依頼するか霊園等のスタッフに作業を依頼する場合がほとんどですが、作業料の費用相場は2~数万円程度となっています。このほかにも分骨用の骨壺代や、分骨を行う際に僧侶に読経を行ってもらう場合はお布施も必要となります。

分骨証明書で注意すべき3つのポイント

分骨証明書で注意すべき3つのポイント
分骨は故人の遺骨を分ける行為なので、慎重に扱うべき事柄です。分骨証明書を発行してもらう際には、以下についても注意するようにしましょう。

(1)親族から了承を得る

分骨の権限は、祭祀継承者(お墓等を引き継いで管理する人)にあると民法で規定されています。権限があるからといって家族や親族の了解を得ずに行ってしまうと、後々トラブルに発展する恐れがあります。分骨は法的にも宗教的にも問題ないものの、「縁起が悪い」という俗説もあるため、分骨を快く思わない親族もいるかもしれません。事前に家族や親族と話し合い、同意のうえで分骨の手続きを行うようにしましょう。

(2)先々を考えて取得しておく

分骨した遺骨を手元供養にしたい場合、分骨証明書を発行する手間を省きたいという方もいるかもしれません。しかし手元供養をしていた人が亡くなった場合は、分骨した遺骨もお墓に納骨されるケースが多く、その際には分骨証明書が必要となってきます。たとえ生涯ずっと手元供養を続けるつもりでも、先々を考えて分骨証明書を取得しておくことをおすすめします。

(3)紛失しないよう管理する

分骨から埋葬まで時間がある場合では、「分骨証明書を紛失してしまった」というケースも見受けられます。紛失してしまった場合は役所で再発行することができます。しかし再発行には手間や時間がかかってしまいます。保管場所について家族や親族と情報を共有するなどして、紛失しないよう管理しましょう。また万一紛失して再発行する場合に備えて、故人の命日や火葬を行った日などの情報も記録しておくようにしましょう。 width=
分骨から埋葬まで時間がある場合では、「分骨証明書を紛失してしまった」というケースも見受けられます。紛失してしまった場合は役所で再発行することができます。しかし再発行には手間や時間がかかってしまいます。保管場所について家族や親族と情報を共有するなどして、紛失しないよう管理しましょう。また万一紛失して再発行する場合に備えて、故人の命日や火葬を行った日などの情報も記録しておくようにしましょう。

證大寺|分骨のご相談

證大寺|分骨のご相談
写真:歴史のある證大寺 江戸川本坊の門
證大寺は東京都江戸川区にある浄土真宗大谷派のお寺で、発祥より1200年の歴史を誇ります。本坊にある墓地のほか、千葉と埼玉の首都圏2箇所で昭和浄苑という霊園も運営しています。證大寺では最近増えてきている「分骨して遺骨の一部を永代供養のお墓に納める」という相談にも乗ってくれます。

永代供養付きのお墓の種類も豊富

永代供養付きのお墓の種類も豊富
写真:森林公園 昭和浄苑の永代供養墓
故人や親族に配慮して先祖代々のお墓に納骨するものの、遠方でお墓参りになかなか行けないなどの理由から、「遺骨を分骨して先祖代々のお墓と、永代供養の付いたお墓それぞれに納める」というケースが増えています。住まいのそばに新しいお墓を作るという方法もありますが、永代供養付きのお墓が選ばれることが増えているのは「残された家族の金銭的な負担を軽減できる」「永代供養付きならお墓の管理をお寺に任せられる」などといった利点があるからといえるでしょう。
證大寺は永代供養の付いたお墓の種類が豊富で、樹木葬や納骨堂、永代供養墓などそれぞれの希望にあわせたタイプのものを選ぶことができます。お寺ならではの手厚い供養も評判で、毎日僧侶が読経してくれます。供養は浄土真宗大谷派に従って行われますが、生前の宗旨・宗派は不問です。
本坊は都内、2つの昭和浄苑も東京近郊というお墓参りに行きやすいロケーションで、「いつ行っても美しく整備されている」と評判です。

生前からのご相談も

證大寺には、すでになくなった方のお墓についての相談だけでなく、生前からお墓について考えたいという方の相談も多く寄せられています。「一部を故郷のお墓に、一部をお参りしやすい證大寺に」という相談はもちろんのこと、「一部を散骨してほしい」という希望の相談にも乗ってもらえます。「自分の眠る場所は、生きているうちに自分で決めたい」という方が増え、證大寺なら自分の意志を「お墓や葬儀の生前予約」という方法で反映させることができるというのも、たくさんの相談が寄せられる理由のひとつといえるでしょう。
分骨についてはもちろん、お墓や葬儀のことで悩み事があれば、證大寺に相談してみてはいかがでしょうか。
證大寺についてはこちら

まとめ

まとめ
さまざまな理由や事情で、遺骨を分骨したいと考える方がいます。「分骨は縁起が悪い」という誤解もありますが、仏教だけでなく他の宗教でも分骨はよくないとする考えはほとんどなく、もちろん法的にも問題のない行為です。とはいえ「遺骨」を扱うことになるので、分骨する場合は、「分骨証明書」が必要となります。お墓に納骨するにはかかせないものなので、手元供養などで当面の届け先がない場合でも、分骨する場合は分骨証明書を発行してもらうようにしましょう。

分骨証明書に関する監修
仏教人生大学 講師
梅原 博

PROFILE
1973年に真宗大谷派にて得度。真宗学は大谷大学にて学ぶ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。真宗大谷派名古屋別院では法話講師を務めている。

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