骨壷のサイズや種類を解説!選ぶ際に検討すべきポイントを紹介

葬儀

骨壺とは、火葬後の遺骨を納める壺のことです。現代では骨壺も多様化してきて、昔ながらのものだけでなく、サイズや色、デザイン、材質など実にさまざまなものがあります。そこで骨壺のサイズや種類について、選ぶ際に注意すべきポイントなどを紹介します。

目次
●骨壷のサイズ|標準的なサイズが東日本と西日本と異なる!?
●骨壷の種類と材質|形状や材質の違いなど様々
●骨壷を選ぶ時に検討するポイント
●骨壺について|證大寺
●まとめ

骨壷のサイズ|標準的なサイズが東日本と西日本と異なる!?

骨壷のサイズ|標準的なサイズが東日本と西日本と異なる!?
一般的に骨壺の大きさは「寸」で表されます。1寸はおよそ3.3cmで、2寸、2.3寸、3寸、4寸、5寸、6寸、7寸、8寸、尺寸と骨壺にはさまざまなサイズの物があります。

骨壷の標準的なサイズ

どのサイズの骨壺を選ぶかについては、特に決まりはありません。ただしお墓に納める骨壺の場合、標準的なサイズというものがあります。そのサイズは東日本と西日本では異なります。

東日本の骨壷のサイズ

東日本では7寸(約23cm)のサイズが標準とされています。このサイズが選ばれるのは、お骨上げと呼ばれる収骨の慣習と関わっています。東日本では、すべての遺骨を拾って収骨するのが一般的です。遺骨だけでなく、収骨台に残っている灰もすべて集めて骨壷に入れるという場合もあります。全ての遺骨を収骨するため、7寸サイズの大きめのものが使われることが多くなっています。

西日本の骨壷のサイズ

一方、西日本では5寸の骨壷を使うのが標準とされています。また3寸~4寸のものが使われることもあり、東日本ほど大きなサイズの骨壷を使うことはあまりありません。それは西日本では「部分収骨」が基本とされているからです。部分収骨とは、喉仏や腰、足、胸など遺骨の一部だけを骨壷に納めるというものです。ちなみに骨壺に入れなかった遺骨や灰は、火葬場が回収して供養します。

納骨堂を利用する場合の骨壷のサイズ|7寸の骨壺では入らない場合もあるので要注意!

納骨堂を利用する場合の骨壷のサイズ|7寸の骨壺では入らない場合もあるので要注意!
納骨堂を利用する場合、骨壺のサイズは基本的には東日本/西日本の標準サイズに合わせることが多いです。
ただし注意が必要となってきます。納骨堂はロッカー式、仏壇式などさまざまな形状がありますが、納骨堂によっては7寸の骨壺では入らない場合もあるからです。骨壺を納める部分の大きさは納骨堂によって異なるので、あらかじめ大きさを測っておいてから骨壺を選ぶようにしましょう。

分骨する場合の骨壷のサイズ|2~3寸が一般的

分骨とは、遺骨を2つ以上に分け、別々に埋葬・供養することをいいます。供養の仕方等によって骨壺の大きさは異なりますが、少量の遺骨を納めることになるため、2〜3寸サイズが一般的とされています。

手元供養する場合の骨壷のサイズ|2~3寸が一般的

手元供養する場合の骨壺も、分骨する場合と同様に2~3寸が一般的とされています。また最近ではミニ骨壺と呼ばれるもっと小さなサイズ(4~10cm程度)のものが使われることも増えてきています。分骨せずに手元供養する場合は、遺骨が入りきり置き場所に困らないサイズのものを選ぶようにしましょう。

骨壷の種類|形状や材質の違いなど様々

骨壷の種類|形状や材質の違いなど様々
骨壷というと、白い陶器製の円筒状のものをイメージする人が多いかもしれません。しかし現在では色やデザインもさまざまで、陶器以外の材質のものもあります。最近増えてきた従来とは異なる骨壺について、種類・材質別に紹介します。

【骨壷の種類1】小さい骨壷(ミニ骨壷)

『手元供養する場合の骨壷のサイズ』の項でも触れましたが、小さい骨壺(ミニ骨壺)は最近注目を集めています。ミニ骨壺は種類が豊富で、インテリア性が高いものが多いという特徴があります。住環境の変化などにより仏壇を置かない家も増えた昨今、ミニ骨壺なら部屋に飾っていても違和感がないというのも人気の理由の1つでしょう。もちろん手元供養することで「故人を身近に感じられる」というメリットもあります。
またミニ骨壺よりさらに小さい「骨壺ペンダント」「遺骨ペンダント」と呼ばれるものもあります。ペンダントのトップ部分に遺骨が納められるようになったもので、「故人と一緒に出かけられる」と評判になっています。

【骨壷の種類2】窯元の骨壷

信楽焼や有田焼、九谷焼など、全国の有名な窯元でも骨壺が作られています。それぞれの焼き物の技法を活かし、渋い趣きのあるものから鮮やかな絵付けのもの、質感に特徴があるものなど趣向を凝らしたものがたくさんあります。故人が好きだった窯元の骨壺を選ぶのも、供養になるといえるでしょう。

【骨壷の種類3】オーダーメードの骨壷

【骨壷の種類3】オーダーメードの骨壷
骨壺はオーダーメードで作ることもできます。オーダーメードならカラーやデザインだけでなく、写真や直筆の書を転写することも可能です。近頃では終活の一環として、生前に自分の骨壺を用意するという方が増えています。自分らしい骨壺をオーダーしたり、土からこねてマイ骨壺を作ったりする人もいます。

【骨壷の種類4】材質が「陶磁器」

骨壺はさまざまな材質のものも登場していますが、やはりスタンダードなのは陶磁器の骨壺でしょう。陶磁器は高温で焼かれることで表面が硬化するため、強度が高くなるという性質があります。ただし重さがあるものが多く、衝撃に弱いため落したりや硬いものに当たると破損しやすいという特性もあります。

【骨壷の種類5】材質が「石」

石の骨壺はとても丈夫で耐久性が高いので、代々受け継ぐのに適した材質といえるでしょう。特に大理石やオニキスなどは人気で、重厚感があるため高級なタイプの骨壺に使用されることが多いです。ただし重いため持ち運ぶ場合は注意が必要で、価格も比較的高価となっています。

【骨壷の種類6】材質が「ガラス」

ガラス製の骨壷は美しく繊細なデザインのものが多いことから、手元供養用としてよく選ばれています。しかし衝撃に弱いため、落としたり倒したりすると割れやすいという特性があります。割れ防止など耐久加工されているものがあるものの、取り扱いには注意が必要です。

【骨壷の種類7】材質が「金属」

【骨壷の種類7】材質が「金属」
骨壺で使用される金属としては、真鍮や銅製、アルミニウムなどが多く使われています。陶器製や石製に比べると軽量で、しかも耐久性もあります。破損しにくく湿気も通しにくいため、内部が黴びる心配もあまりありません。とはいえ金属の種類によっては、環境や経年などにより錆びることもあります。

【骨壷の種類8】材質が「木製」

木製の骨壺は自然素材ならではの温かみがあり、素材としても比較的丈夫です。仏壇や祭壇などにもなじみやすく、比較的軽量だから持ち運びも容易です。環境に優しいという理由から選ぶ人もいます。ただし長時間濡れた状態になると、水が染み込む場合もあるので取り扱いには注意しましょう。

骨壷を選ぶ時に検討する5つのポイント

骨壷を選ぶ時に検討する5つのポイント
デザインも材質も多様化した骨壺ですが、選ぶ時に気を付けたいポイントがあります。以下の点に注意して選ぶようにしましょう。

(1)大きさ

お墓に納める骨壺の大きさは、前述した通り東日本と西日本では標準サイズがあります。これは男性か女性かなど性別によって区別されることはありません。ただし遺骨の量によっては、標準サイズ以外のものを選ぶこともあります。例えば子どもの遺骨を納める際は小さなサイズ、代々の先祖の遺骨をまとめる際は大きめのサイズの骨壺を選んだりします。
また骨壺の大きさは納骨先にあわせて選ぶ必要があります。納骨堂だけでなく、お墓に納骨する場合も納骨スペースであるカロートを確認しておいた方がよいでしょう。一般的にカロートは大きめに作られていますが、先祖代々のお墓の場合は先に納骨された骨壺があります。どれくらいのスペースがあるのか、入り口の大きさも含めて確かめておくようにしましょう。

(2)耐久性

骨壺は、故人の遺骨を長期間収めておくものです。お墓に納める骨壺はもちろん、手元供養用の骨壺でも耐久性があるものを選ぶことをおすすめします。それに加えて、内部の遺骨をカビなどから守るために、防湿性や密閉性なども確かめるようにしましょう。

(3)価格

骨壺の価格は、大きさ・素材・デザインなどにより大きく異なります。お墓に納める骨壺として一般的によく使われる白磁・7寸の骨壺は、8,000~1万円程度が費用相場となります。しかし大理石の骨壺の場合は7寸サイズでも2~3万円程度が相場です。有名窯元が作った骨壺だと10万円超も珍しくはありません。骨壺にいくら費やすかは価値観によって異なるでしょうが、納得できる価格のものを選びたいものです。

(4)壺本体や蓋の形状

骨壺の形状で一般的なのは円柱形ですが、ほかにもさまざまな形のものがあります。決まりはないので納骨スペースや好みで選んでかまいません。また最近では骨壺の中に水が溜まらないように、本体の下にいくつか穴を開けた「水抜き穴」がついた形状のものもあります。湿気が気になるお墓に納骨する場合は、このような形状のものを選ぶのもよいでしょう。
骨壺の蓋には主に2つの種類があります。1つは蓋の端が内側に入り込む白並タイプで、昔ながらの骨壺はこの形状です。もう1つは蓋の端が骨壷本体に覆いかぶさる切立タイプで、切立タイプの方が湿気がたまりにくいとされています。蓋の形状もお墓の環境などによって選ぶとよいでしょう。

(5)購入する場所

一般的には葬儀の際に、火葬場や葬儀社から購入することになります。またお墓に納骨する際に、石材店から購入するケースもあります。手元供養のための骨壺は、多くの仏具店で取り扱われています。また意外かもしれませんが、インターネットでも購入することができます。生前に用意する場合などでは、インターネットで購入するのも1つの方法です。たくさんのショップが出店しており、納骨用・手元供養とも種類が豊富です。

骨壺について|證大寺

骨壺について|證大寺
江戸川区にある證大寺は浄土真宗大谷派の寺院で、発祥から1200年もの歴史を有しています。證大寺の井上住職に骨壺について伺うと、「骨壺は遺骨を納めて供養するという大切な役割を担っているものです。色やデザイン材質など、形状に決まりはありませんので、故人様やご遺族様のお好みで自由に選んでいただいてかまいません」とのことでした。

手元供養なら故人が身近に

最近は分骨して遺骨の一部を小さな骨壺に収めて手元供養したいという方が増えていますが、一方で『分骨は縁起が悪い』という方もいます。これについて井上住職は「それは迷信です」といいます。「分骨を行うと故人様の身体が引き裂かれることになる、などという方もいますが、決してそんなことはありません。分骨は昔から行われており、お釈迦様の遺骨も弟子に分骨されたという言い伝えもあります。仏教に限らずどの宗教においても、分骨は教えに背く行為とはされていません。また法律上も問題はないとされています。分骨して手元供養を行えば、故人を身近に感じながら大切な人を偲ぶことができるでしょう」。

證大寺が提案する、掌におさまる木製骨壺

證大寺が提案する、掌におさまる木製骨壺
写真:證大寺オリジナル木製骨壺『温守』(ぬくもり)
證大寺ではお墓の購入等でお寺とご縁のある方を対象に『温守』(ぬくもり)と呼ばれる掌におさまる木製の骨壺を提供しています。證大寺では生前にご契約いただいた方には終活のサポートを行っており、その中でこの骨壺が使われています。證大寺の終活では、自身のことを話す『傾聴の時間』のほか、『ラストレター』を綴る時間などが設けられていますが、「この木製の『温守』(ぬくもり)を握りながら、ご自身のことを話していただいたり、お手紙を書いていただいたりしています。木製なので握った方の手の脂等で、その人らしく色味や味わいが変わってきます。ご家族の方は生前に握っていた骨壺を受け継ぐことになり、故人様を想い、出会いなおす時間のためのきっかけにもなります」。手元供養に使われる小ぶりなサイズなので、「一緒に旅行にもいけますし、試験など大切な日に持って行けば故人様からの応援も得られるでしょう。」
骨壷などについてのご相談はこちらまで

まとめ

まとめ
遺骨を納める骨壺は、慣例はあるものの決まりはないので、自由に選んでもかまいません。最近ではさまざまなデザインのものがあり、生前に自分らしい骨壺を用意するという方も。ただしお墓や納骨堂などに納骨する場所に合わせて、入る大きさのものであるか確認するようにしましょう。手元供養でよく使われるミニ骨壺はさらに種類が豊富。仏壇がない場合でも、故人を身近に感じながら供養することができます。

骨壷に関する監修
仏教人生大学 講師
加藤 順節

PROFILE
真宗大谷派の僧侶として、證大寺 船橋別院所属。證大寺 銀座別院で仏教入門講座など多数講師を務めており、さまざまなテーマで仏教から人生を学ぶ講座を開催している。

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