仏壇を処分する5つの方法!浄土真宗の仏壇の処分方法や注意点も解説

法事

仏壇は簡単に処分してよいものではありません。しかし後継ぎがいなかったり、引っ越しで置き場所がなくなったりするなど、仏壇の処分を検討せざるを得ない場合もあるでしょう。その際は、一定の手順を踏んで処分する必要があります。そこで仏壇の処分方法について説明、また注意点についても解説します。

目次
●仏壇を処分する5つの方法
●仏壇を処分する際の注意点
●浄土真宗の仏壇の処分
●仏壇の処分に関するよくある質問
●證大寺|お仏壇について
●まとめ

仏壇を処分する5つの方法

仏壇を処分する5つの方法
仏壇の処分は、大きく分けて5つの方法が考えられます。以下でそれぞれの方法について、また費用相場についても説明します。

【仏壇の処分方法1】お寺で処分してもらう

お寺で処分してもらう場合は、菩提寺に相談して処分を依頼するようにしましょう。ほとんどの場合、仏壇の閉眼供養をしたうえでお焚き上げするなどして処分してくれるので、別途閉眼供養をお願いする手間もかかりません。菩提寺がない場合は、自分と同じ宗派のお寺に処分を依頼します。しかし全てのお寺が仏壇の処分を受け入れているわけではないので、事前に相談して処分してもらえるか尋ねるようにします。また処分したい仏壇は、お寺に持ち込むことになるのが一般的です。費用相場はお寺によって異なりますが、5万~10万円前後が目安となります。

【仏壇の処分方法2】仏具店で処分してもらう

古い仏壇を新しいものに買い換える場合などは、仏具店に依頼をすれば処分してもらえます。仏具店だと宗派も問わない場合がほとんどで、閉眼供養も行ってくれるところが多いです。新たな購入がないと処分してもらえない仏具店がある反面、購入なしでも処分してくれるところもあります。費用は仏壇の大きさにより変わりますが2~8万前後が相場となっています。

【仏壇の処分方法3】粗大ごみとして処分する

仏壇を粗大ごみとして出して処分することもできます。しかし自治体によっては仏壇の処分を引き受けてくれないところもあるので、事前の確認が必要です。また指定場所まで持ち込むことが条件になっている自治体もあります。ゴミ集積所まで取りに来てくれる場合もありますが、近所の目が気になる方もいるでしょう。費用相場は自治体や仏壇の大きさによって異なりますが500~2,000円程度と安価で処分できます。ただし閉眼供養は自分で手配して行うことになり、費用も別途必要となります。

【仏壇の処分方法4】不用品回収業者に依頼し処分する

【仏壇の処分方法4】不用品回収業者に依頼し処分する
不用品回収をおこなっている業者に依頼する方法もあります。回収に来てくれる業者なら、運び出す手間もかかりません。ただしこの方法も、閉眼供養は別途自分で手配することになります。費用相場は8,000~30,000円程度ですが、業者によって値段に幅があります。また事業者をよく調べないで依頼すると、悪質業者で不法投棄などのトラブルに巻き込まれる恐れもないとはいえません。遺品処理事業者などの専門業者を選べば安心で、閉眼供養も行ってくれる業者もありますが、その分費用は割高になりがちです。いずれにせよいきなり依頼せず、事前に見積もりを取るなどの準備が必要です。

【仏壇の処分方法5】リサイクル店やネットオークションに出品する

リサイクル店やネットオークションに出品する方法もありますが、中古の仏壇は買い手が少なくなかなか値段がつきません。そのためリサイクル店では引き取りを拒否されることもあります。オークションの場合も、購入する人がいないわけではありませんが、出品しても売れることは稀だといえるでしょう。ただし高級仏壇の場合は、買い取ってくれる業者もいます。高級仏壇は黒檀や紫檀といった希少な木材や金箔が使われていることが多く、それらの再利用を目当てにしている業者なら買取りに応じてくれるでしょう。これらの方法での処分はもちろん、閉眼供養は別途自分で手配することになります。

仏壇を処分する際の注意点

仏壇を処分する際の注意点
仏壇を処分することになっても、これまで故人や先祖を祀ってきた大切なものであることに変わりはありません。中には「普通の家具と同じ」と思う方もいるでしょうが、トラブルを避けるためにも伝統的な価値観があることを理解し、費用以外のところにも注意して処分するようにしましょう。

家族や親族に相談する

仏壇は家族や親族もお参りするというものです。処分したい場合は事情を伝えて相談し、理解を得るようにしましょう。無断で処分すると「聞いてない」と怒る親族が現れ、トラブルに発展したケースもあります。また、親族でお仏壇を継承してくれる人がいれば、それが一番いい形でもあります。

閉眼供養を行う

仏壇を処分する場合は宗派にもよるものの、「閉眼供養(魂抜き)」を行うのが一般的です。閉眼供養をしないと仏壇に魂が入ったままになり、故人や先祖の魂を捨ててしまうことになると考えられています。

仏壇の中身を確認する

仏壇には引き出しなどの収納場所がたくさんあります。位牌や遺影を取り出すだけでなく、引き出しの中身も確認するようにしましょう。なかには家系図や家宝など重要なものが残されていることもあります。また仏壇の中に通帳や貴重品、現金などを入れるという習慣の人も意外と多いものです。特に自分で管理していなかった仏壇を処分する際には、仏壇の中に大切なものが入っていないか、隅々まで確認するようにしましょう。

浄土真宗の仏壇の処分

浄土真宗の仏壇の処分
浄土真宗では、閉眼供養(魂抜き)は行われません。浄土真宗ではそもそも魂という概念がなく、従って仏壇に魂が宿るという考え自体がないからです。ただし仏壇を処分する際には、遷座法要(せんざほうよう)もしくは遷仏法要(せんぶつほうよう)という呼ばれる法要が行われます。遷座とは「阿弥陀様の居場所を移す」という意味で、阿弥陀様に感謝を伝え移動をすることを報告する法要です。流れとしては他の宗派の閉眼供養と大きく変わらず、僧侶に来てもらい仏壇の前で読経してもらうのが一般的です。

仏壇の処分に関するよくある質問

仏壇の処分に関するよくある質問
仏壇の処分を考えた時に、よくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。

Q.無料で処分する方法はある?

基本的には無料で処分する方法はないといえるでしょう。お寺や仏具店に依頼するにしても、粗大ゴミで出す場合でも費用が必要となります。リサイクル店やオークションで売れることは稀でしょう。高級仏壇でない限り、買い取ってくれる業者もほとんどありません。ただし仏具店では新規購入があれば無料で引き取ってくれる場合もあります。

Q.必ず魂抜きをしないとダメ?

仏壇から魂を抜く閉眼供養を行わずに仏壇を処分したとしても、法に触れるものではなく罰則もありません。閉眼供養するかどうかは個人の自由なので、しなくても問題はないといえるでしょう。とはいえ仏壇は、故人や先祖の居場所となっていたものです。故人や先祖に感謝を伝えるためにも、閉眼供養を行って処分する方が、すっきりした気持ちになれるのではないでしょうか。

Q.開眼供養を行っていなくても閉眼供養は行うべき?

浄土真宗など一部の宗派を除き、新しく仏壇を設えた際には開眼供養が行われます。しかしなんらかの事情で開眼供養をしていない仏壇を処分する場合は、閉眼供養と同時に行うようにしましょう。順序としては、まず開眼供養を行い、続けて閉眼供養を行うことになります。
浄土真宗の場合は、開眼供養を行っていなくても「入仏法要(にゅうぶつほうよう)」を行っている場合が一般的です。処分する際は前述した「遷座法要」を行うようにしましょう。

證大寺|お仏壇について

證大寺|お仏壇について
證大寺は江戸川区春江町にある真宗大谷派の寺院で、正式名称を「法輪山 證大寺 続命院」といいます。承和二年(西暦835年の)発祥から1200年の歴史を刻む、由緒あるお寺です。

墓じまいや永代供養しても仏壇はあっていい

最近は「お墓が遠方で管理しきれない」などの理由で、墓じまいをする人が増えています。また「後継ぎがいない」という理由から、永代供養を選ぶ方も多くなってきました。永代供養となると、お寺が末永く供養してくれます。證大寺の住職によると『墓じまいや永代供養を選んでも、お参りじまいしないように、お仏壇は大切にしてほしい』といいます。『たしかに仏壇の後継ぎもいない場合は、処分せざるを得ないでしょう。しかしスペースの関係で大きな仏壇が置けないなどの場合は、お仏壇に安置されているご本尊だけを取り出して、小さなお仏壇に移したり、厚紙などを背景にしてご本尊をピンで止めるなどしてお参りの習慣を大切にしたいものです。それでいつでもご先祖や故人様と向き合うことができるからです』。

仏壇のお困りごとのご相談

證大寺では仏壇の処分の引き受けは、證大寺や運営する昭和浄苑でお墓をお持ちの方だけに限られています。『とはいえ、仏壇のお困りごとは処分についてだけではないでしょう』と住職はいいます。『浄土真宗の仏壇の選び方や飾り方、お供えやお参り方法など、わからないことがあればお気軽にご質問・ご相談ください。證大寺はどなたでも集える広場のような存在であり、参詣者の願いに向き合う場所でありたいと思っています』。
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まとめ

まとめ
仏壇は安易に処分していいものではありません。処分せざるを得ない場合は、閉眼供養など一定の手順を踏むようにしたいものです。仏壇は故人や先祖の供養の場でもあるので、丁寧に処分するようにしましょう。なるべく費用をかけたくない方もいるでしょうが、後々トラブルや心残りが起こらないよう、処分方法についてはよく検討するようにしましょう。

仏壇の処分に関する監修
仏教人生大学 講師
目﨑 明弘

PROFILE
證大寺 森林公園別院に所属。18歳から28歳まで京都の大谷大学で仏教を学ぶ。その後、真宗大谷派の本山である東本願寺の同朋会館で五年間勤務。現在は、銀座別院等で講師を担う。

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