お墓を建てる時の基礎知識!手順や手続きなど分かりやすく解説

お墓

お墓を建てるという経験は、そう訪れるものではありません。ほとんどの人が初めての経験で、周囲に経験者がいない場合も多いため、「なにから手をつけていいのかわからない」と悩んでしまいがちです。そこでお墓を建てる際の手順や必要な手続き、費用相場、注意点などを解説します。

目次
●お墓を建てる時の手順
●お墓を建てる費用の相場
●お墓を建てる場所の考え方
●お墓を建てるための手続き
●墓石を建てる以外の供養方法
●お墓を建てる時の注意点
●證大寺のお墓
●まとめ

お墓を建てる時の手順

お墓を建てる時の手順
お墓を新しく建てる時は、まずは墓地を探すことから始まります。菩提寺を持っていない場合や、菩提寺があっても遠いなどの理由で新しい場所にお墓を建てる場合は、どこの墓地・霊園に建てるのかを考えねばなりません。とはいえ墓地や霊園の情報は、インターネットなどで簡単に収集できます。しかし契約など具体的な行動を起こす前に、お墓の建て方についての知識を持つことも大切です。納得できるお墓となるように、情報収集をしながら知識を高めるようにしましょう。

【ステップ1】情報収集

まずは、墓地やお墓の情報収集をしましょう。たとえば墓地・霊園でいうと、経営母体によって公営・民営・寺院墓地に分けることができ、それぞれ特徴があって費用相場も異なります。また墓石でいうと、現在では昔ながらの和型だけでなく、洋型の墓石、和モダンなどさまざまなデザインのものが販売されているほか、オリジナルデザインの墓石をつくることもできます。
情報収集しながらどのような墓地やお墓があるのか知識を得ることで、自分にあったお墓とはどんなものかを考えていくようにしましょう。

【ステップ2】予算を決める

次に、お墓にかける予算を決めていきましょう。お墓の価格の内訳は、墓地代(永代使用料)、墓石の費用、工事費の3つが主となります。墓地の永代使用料は地域や立地などにより異なりますが、広いほど高くなる傾向があります。また墓石も石材に凝り、デザイン性が高いと価格が上がることになります。どの部分にどれだけウエイトをかけるか、よく考えた上で予算を組んでいきましょう。

【ステップ3】場所を決める

情報収集した中から、大まかな地域を決めて墓地や霊園をリストアップします。その際に費用や広さ、立地条件だけでなく、経営母体がどこであるか、宗旨・宗派が条件にあっているか、おおよその雰囲気なども調べるようにします。情報を絞って墓地や霊園の具体的な候補が見つかったら、現地まで見学に行くようにしましょう。交通手段などアクセスのしやすさも、実際に行ってみると情報と違うと感じる場合もあります。また購入したい区画の日当たりや風通し、騒音など、資料やインターネットなどで調べただけではわからないことも多いので、現地で確かめてから場所を決めるようにしましょう。

【ステップ4】石材やデザインを決める

【ステップ4】石材やデザインを決める
場所が決まったら、次は墓石です。墓石の購入や工事は石材店に依頼します。ただし依頼する石材店は自由に選べない場合もあります。民営霊園や寺院墓地では、石材店が指定されている場合が多いため、その石材店と相談して決めていくことになります。また公営霊園では石材店の指定はないので、石材店選びから行うことになります。信頼できる業者に依頼できるようしっかりと情報収集し、複数の石材店で実際に話を聞いてみるようにしましょう。
墓石に使う石は、かつてはグレーの色味が主流でしたが、最近では赤系、青系、緑系など色鮮やかな石材の人気も上昇してきています。石材の種類はおよそ300種類もあり、特徴も色味も実にさまざま。また国産の石材だけでなく、外国産の石材も多く使われています。
お墓のデザインや石材を決めて契約すると、墓石の製作が開始されますが通常1~2ヶ月ほどの期間が必要となります。

【ステップ5】工事の実施

お墓の工事は請負工事契約を取り交わし、工事代金の一部を支払った後に開始されるのが一般的です。地盤を固めて基礎工事をした後に外柵などを設置し、最後に墓石が置かれます。区画の大きさなどで変わりますが、建立工事には1ヶ月程度の期間が必要です。墓石の製作に1~2ヶ月かかるため、お墓のデザインや石材を決めてから完成まで2~3ヶ月かかるのが一般的です。
完成後は開眼供養をすることになるので、完成予定日をあらかじめ聞いておき、その間にお寺と打ち合わせをしておけばスムーズに開眼供養が行えます。また墓石の据え付け工事に立ち会いたい時は、事前に石材店に伝えて工事の予定を聞いておくようにしましょう。

【ステップ6】納骨を行う

お墓が完成したら、開眼供養を行います。納骨を行う場合は、開眼供養と納骨式を同時に行うことも多いです。僧侶にお墓まで来てもらい、読経など法要を執り行ってもらいます。また納骨式では親族などに参列してもらって、納骨式後に会食をするのも一般的です。
納骨のタイミングに特に決まりはありませんが、お墓が完成した後の四十九日法要や百箇日法要、回忌法要などと合わせて納骨式を行うケースが多くみられます。

お墓を建てる時の費用相場

お墓を建てる時の費用相場
お墓を建てる時にやはり気になるのが費用についてです。どんな場所に建てるか、どのような墓にするかによって実際の費用には幅があります。ここでは平均的な相場を紹介するので、目安として参考にしてください。

墓地代(永代使用料)

一般にいわれる「墓地を買う」というのは、墓地・霊園の区画の土地そのものを購入するのではありません。その区画を「永代に渡って使用する権利」を買うということになります。そのため墓地代ではなく「永代使用料」と呼ばれることが多いです。永代使用料を支払えば、あとは管理費を納めるだけで、子々孫々にお墓を継承できるというものです。
永代使用料は全国平均で60~100万円となっていますが、地域により費用相場に差があります。例えば関東圏が70~90万円程度であるのに対し、東京23区の場合は150~200万円程度となっています。また地域だけでなく区画の立地条件や広さ、墓地・霊園の設備などによっても価格は変わります。

墓石にかかる費用

墓石にかかる費用とは墓石本体のほか、カロートと呼ばれる納骨棺、外柵などの費用に加え、工事費等をあわせた費用のことを指し、全国平均では120~175万円程度とされています。
しかしこれも墓石に使用する石材の種類や量、墓石のデザインや加工によって幅があります。また工事費も立地条件などで差があり、施工しにくい場所にあると高くなりがちです。

管理費・その他

管理費とは、墓地や霊園の管理者が墓地を維持するための費用です。墓地や霊園の清掃や植栽、水道料金といったメンテナンスのために使われます。一般的には年間管理費という形で設定されています。費用相場は年1万円前後ですが、支払方法は霊園や墓地によって異なります。毎年納めるところもあれば、数年分をまとめて納める場合もあります。また管理費も公営か、民営か、寺院墓地かなど経営母体や地域によっても差があります
その他の費用としては、お墓を建てた後や納骨の際には、お寺や僧侶にお布施を渡すことになります。それらを見越した上で、予算を決めるのがおすすめです。

お墓を建てる場所の考え方

お墓を建てる場所の考え方
お墓は故人を供養する場であるのと同時に、生きている人が手をあわせ故人と向き合う場でもあります。お墓を建てる場所を検討する際には、建てた後のお墓参りについて将来も見据えてイメージしながら考える必要があるでしょう。
車でアクセスしやすくても他の交通手段がないと、なんらかの理由で車を手放してしまった場合はお墓参りに行きにくくなってしまいます。また広々としてよい環境に思えても、歳をとってからだと移動が負担になってしまう場合もあります。先々もお参りしやすいか、バリアフリーになっているかなども考えて選ぶようにしましょう。

お墓を建てるために必要な手続き

お墓を建てるために必要な手続き
お墓を建てる際には、証明書を入手したり届け出をするなど、さまざまな手続きが必要です。実際には墓地や霊園、石材店などがサポートしてくれる場合が一般的なので、そう難しいことではありません。とはいえ、どのような書類が必要で、どのような流れとなっているのかを知っておくとよいでしょう。

墓地使用許可証

区画の契約をした際に、墓地や霊園からお墓の名義人に対して発行されるのが墓地使用許可証です。永代使用書とも呼ばれていて、契約・入金後に発行されるのが一般的です。墓地の使用権の証となるものであり、墓地の工事や納骨の際にも必要となる大切な書類です。

工事届

工事届は、お墓の工事に取りかかる前に石材店から工事届を発行してもらう書類で、墓地・霊園に届け出をします。ほとんどの公営墓地では必要となる手続きです。ただし不要なケースもあり、特に石材店を指定している民営霊園や寺院墓地では提出を求められなかったり、石材店が代行してくれたりする場合が多いです。

埋葬許可証

新しく建てたお墓に遺骨を納骨する際に必要なのが埋葬許可証です。
故人が亡くなって火葬する際、役所に届け出て「火葬許可証」を発行してもらいます。これを火葬場に提出した後に返却されたものが、そのまま埋葬許可証となります。火葬から納骨まで日にちが経っている場合は、書類をどこかに仕舞いこんでいないか確認するようにしましょう。

墓石を建てる以外の供養方法

墓石を建てる以外の供養方法
新しくお墓を建てる場合は、まとまった金額の費用が必要となってきます。費用の捻出が厳しい場合は、ローンを組むという方法もあります。石材店が窓口になっていることが多く、相談すればローンが組め、金融機関を紹介してもらえる場合もあります。
とはいえ墓石を建てないお墓や供養の方法もあるので、選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

永代供養墓の場合

墓石を建てる必要がないお墓のひとつに、永代供養墓があります。これは霊園や墓地の管理者が遺族に代わって供養・管理をしてくれるというものです。
永代供養墓には、合祀型・集合型・個別型・などのタイプがあり、費用相場は合祀型が5~30万円、集合型は10~30万円、個別型は30~150万円が目安となります。ただし個別型の場合は墓石を購入する必要がある場合もあり、お墓を使う期間が定められている場合がほとんどです。期間が長いほど高額になる傾向があり、期間が過ぎると合祀されて合祀墓に埋葬されます。

納骨堂の場合

納骨堂の場合
納骨堂も墓石がいらないお墓で、建物の中などに遺骨を納める施設です。ほとんどが継承を前提としない代わりに永代供養付きとなっています。アクセスしやすい場所にあることが多く、屋内だから天候に左右されることもないため、お墓参りに行きやすいと好評です。納骨堂の費用相場は20~150万円で、立地条件や設備などにより幅があります。墓石を建てる一般墓よりも費用が抑えられることが多いといえるしょう。

樹木葬の場合

樹木葬は、墓石の代わりに木や草花を墓標とするお墓です。近年、自然の中で眠りたいという方から人気を集めています。自然の山林を活かした里山型、都市部に多く整備された庭園型などの種類があります。納骨堂と同様に代々継承するタイプのお墓ではなく、永代供養付きのものがほとんどです。費用相場は立地や埋葬方法によって差がありますが、全国平均で69万円程度となり、一般墓と比べると費用が抑えられることが多いです。

手元供養の場合

手元供養とは、遺骨を埋葬せずに自宅などに置いて供養するというものです。遺骨を墓地以外のところに埋めると法律違反となるものの、自宅に置くことは違反ではありません。またお墓がなくても、故人の供養自体は行うことができます。お墓を建てる費用だけでなく、維持管理費も不要です。

散骨の場合

散骨とは、遺骨を海や山などに撒いて、自然に還す供養の方法です。散骨自体は法律で禁じられていないものの、地域によっては条例等で禁止されている場所もあります。また散骨する際には遺骨を1片2mm以下の粉末にする必要があります。このような理由から、散骨を行う際には専門業者に依頼するケースがほとんどです。散骨に家族が同行する場合の費用相場は10~30万円程度、同行なしで業者に委託する場合は5~10万円程度とされています。

お墓を建てる時の注意点

おお墓を建てる時の注意点
お墓を建てる場合は、家族で話し合って理解を得るようにしましょう。お墓は次の世代へと引き継がれていくもので、継ぐ人がいないと無縁仏になってしまいます。親子で離れて暮らしている場合などは、子ども世帯の居住地近くにお墓を建てる例もよく見られます。
後継ぎがいなくてもいい永代供養付きのお墓を選ぶ場合は、寺院がどのように供養をしてくれるのかも気になるところなので、しっかり確認するようにしましょう。
また選び方によって費用が左右されやすいのも、お墓購入の難しいところです。妥協できる点、譲れない点などを明確にして予算を組むようにしましょう。

證大寺のお墓

證大寺のお墓
写真:自宅まで送迎してくれる證大寺の「お寺タクシー」
證大寺は1200年の歴史を持つ、浄土真宗大谷派のお寺です。東京都江戸川区にあり、墓地も併設されています。

アクセスしやすい都内のお墓

都内にあるというアクセスのよさから、證大寺の墓地は人気を集めています。しかも最寄り駅から徒歩10分程度の場所なので、思いついた時に気軽にお墓参りに行くことができます。さらに無料送迎バスも運行されているほか、自宅まで送迎してくれる「お寺タクシー」も月に一度無料で利用できるから、お歳を召した方でもお墓参りに行くのが苦になりません。
墓地には墓石がある一般墓のほか、樹木葬や納骨堂、永代供養墓などがあります。お墓の種類を選ぶことができ、樹木葬や納骨堂、永代供養墓では存命時の宗旨宗派不問で入ることができます。

近郊には、2つの昭和浄苑も

證大寺では東京近郊にも「森林公園昭和浄苑」(埼玉県)、「船橋昭和浄苑」(千葉県)という2つの霊園を直接運営しています。2つの昭和浄苑とも一般墓、樹木葬、永代供養墓などがあります。車でアクセスしやすい場所にあり、最寄り駅からは送迎バスがあるほか、「お寺タクシー」も使うことができます。また霊園でありながら僧侶が常駐し、ご本尊を祀った本堂があって回忌法要などを行うことができ、法要後の会食場などの施設もあります。
江戸川区の墓地も2つの昭和浄苑も、通常に比べて2倍の職員が配置されていて、いつ行っても美しく整えられていると好評価を得ています。證大寺・昭和浄苑とも、無料の相談会や見学会も開催されているので、お墓の購入を考えている方は参加してみてはいかがでしょうか。
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まとめ

まとめ
お墓を建てようと思っても、経験がないためわからないことも多いでしょう。しかし購入するまでのどんなステップを踏めばいいか、契約後はなにをすればいいかがわかれば、不安も少なくなります。また契約前に気を付けるべきポイントが明確になれば、後悔のないお墓を建てることができるでしょう。まずは情報収集から始めて、自分や家族に最適なお墓となるようにしてください。

お墓を建てる時の基礎知識に関する監修
仏教人生大学 講師
梅原 博

PROFILE
1973年に真宗大谷派にて得度。真宗学は大谷大学にて学ぶ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。真宗大谷派名古屋別院では法話講師を務めている。

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