お彼岸のお墓参りはいつ行けばいい?お彼岸の意味や服装のマナーを解説

法事

お彼岸は1年に2度、春と秋にあり、お彼岸になるとお墓参りをするという方も多いでしょう。しかしお彼岸とはそもそもどんなものであるか、しっかりと理解していない場合も多いのではないでしょうか。そこでお彼岸についての知識とともに、お彼岸にお墓参りに最適な日はあるのか、お参りの際の服装やお供え物のマナーなどについても説明します。

目次
●お彼岸にお墓参りをする意味
●お彼岸のお墓参りの時期はいつが良い?
●お彼岸でのお墓参りの服装マナー
●お彼岸にふさわしいお供え物
●證大寺の彼岸会法要
●まとめ

お彼岸にお墓参りをする意味

お彼岸にお墓参りをする意味
お彼岸になるとお墓参りをするという方は多いでしょう。昔からの伝統行事で、日本の風物詩ともいえます。またこの時期には「彼岸会」としてお寺で法要なども行われます。
ではなぜお彼岸にお墓参りをするようになったのでしょうか。

お彼岸とは

お彼岸とは仏教の言葉に由来しています。彼岸とは遙か西方にあるという極楽浄土の別名です。一方、生きている私たちがいる現世は此岸と呼ばれています。そして彼岸と此岸の間には三途の川が流れているとされています。
春分の日と秋分の日は、太陽が真東から真西に沈む日です。日本においては、聖徳太子が春分の日、秋分の日に、四天王寺の西門から真西に沈む夕日を観想することを通して、私たちの人生の帰するところとして極楽浄土を想う日と定めたことが彼岸の由来とされています。四天王寺の西門前には石鳥居があり、お中日には石鳥居の真ん中に沈む夕日を拝むために多くの参拝者で賑わっています。石鳥居には扁額がかけられており、そこには聖徳太子の筆で「釈迦如来 転法輪処 当極楽土 東門中心」と記されています。此岸(現世)はお釈迦さまがお説教をした場所であり、極楽浄土は西方にあるが、此岸(現世)に東門に入ることが大切会である、というほどの意味です。聖徳太子は、彼岸を想いながら現在しっかり生きることの大切さを教えてくれました。そのように、彼岸にいる先祖と向き合い、此岸(現世)をしっかりと生きることを確かめる機会がお彼岸なのです。

お彼岸はいつのことを言う??

お彼岸は春と秋の年2回あり、それぞれ「春分の日」と「秋分の日」を中日として、前後3日ずつの7日間を指します。春分の日も秋分の日も1年を24等分した二十四節気のひとつで、どちらも日付が定まっていません。年によって日が変わり、概ね春分の日は3月20~21日、秋分の日は9月22~23日となります。またお彼岸の最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸の明け」と呼びます。お中日を中心として前後3日間、合計すると1週間を仏道修行期間としました。

なぜお彼岸にお墓参りをするのか

仏教でのお墓の始まりはお釈迦さまのご遺骨を収めた仏塔(ストゥーパ)です。お釈迦さまと向き合い教えを聴くための聖なる場所として仏塔は各地に仏塔が建立されました。そこから仏教ではお墓は亡き人と向き合い対話するための場所としての意味が大切にされてました。
それではなぜお彼岸にお墓参りをするのでしょうか。お彼岸とは極楽浄土の別名ですが、日本に伝わった大乗仏教では亡くなった人は死者ではなく極楽浄土で仏になるという教えがあります。お彼岸には極楽浄土(彼岸)におられる仏となった亡きひとと向き合い、自分を顧みる期間として大切にされてきました。さらにはお寺の彼岸法要で法話を聴聞し、彼岸に込められた願いを確かめることを大切にしてきました。

お彼岸のお墓参りの時期はいつが良い?

お彼岸のお墓参りの時期はいつが良い?
お彼岸にお墓参りに行くのは、中日となる春分の日・秋分の日がベストとされています。とはいえ厳密なルールがあるわけではないので、お彼岸期間中にお墓参りに行けばいつでも問題ないといえます。ただしお寺でのお彼岸法要は中日に催されることが多いので、法要に参加したい場合は日取りを確かめておくとよいでしょう。
また現代では仕事などの関係で、お彼岸でもお墓参りに行けないということもあるでしょう。その場合は日をずらしてお墓参りに行くか、それもできない時は仏壇に手を合わせるようにしましょう。お仏壇は浄土(彼岸)の世界をイメージしてれていますので、お墓参りに行けない場合でも、故人や先祖と向き合い、感謝の気持ちを伝える時間を持ちたいものです。

お彼岸のお墓参りの時間帯は?

お彼岸にお墓参りに行く時間帯についても、特に決まりはありません。しかし基本的にお墓参りは、午前中がベストとされていて、できれば午後の早めの時間までに行くのが望ましいとされています。時間の都合で夕方にお参りすることになっても、日が暮れないうちに行くようにしましょう。暗くなってからのお墓参りが好ましくないとされるのは、お墓の掃除が行き届かなくなり、足元が見えにくく危険なためです。霊園や納骨堂など施設によっては、閉園時間が定められている場合もあります。
またお墓参りの前に別の用事をすませ、そのついでにお墓参りにいくことを「ついで参り」といい、避けるべきとされています。ついで参りは、故人や先祖に失礼にあたるとされています。他に用事があるときは、お墓参りにいってからその後で用をすますようにしましょう。

お彼岸でのお墓参りの服装マナー

お彼岸でのお墓参りの服装マナー
個人や家族でお彼岸のお墓参りに行く際、服装は特に決まりはありません。お墓の掃除を丁寧にしたいなら、動きやすい普段着で行くのもよいでしょう。ただし帽子をかぶっている場合は、故人や先祖に失礼がないように、お参りする際には帽子を脱ぐようにしましょう。
ただしお墓参りだけでなく、お寺で開催されている彼岸会の法要に参加する場合は、服装にも注意が必要となります。

彼岸会の法要に参加する場合

彼岸会の法要だけに参加する場合はもちろん、お墓参りと一緒に彼岸会にも参加する場合にも服装やマナーを意識するようにしましょう。一般的な彼岸会では喪服を着る必要はないものの、黒や紺、グレーなど落ち着いた色を選ぶようにします。要は大切な人とお会いするときの気持ちで服装を選ぶようにしましょう。また数珠やお布施の持参するのもマナーとなるので、忘れないようにしましょう。

お彼岸にふさわしいお供え物

お彼岸にふさわしいお供え物
お墓参りにはお供え物がつきものといえるでしょう。お花やお線香をお供えするのはもちろんのこと、故人が好んだ食べ物などをお供えすることもあります。
またお彼岸ならではのお供えとして、「ぼたもち」と「おはぎ」が定番となっています。

春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」

お彼岸の季節になると和菓子店だけでなくスーパーなどでも、「ぼたもち」や「おはぎ」が陳列されます。「ぼたもち」も「おはぎ」も、小豆のあんこともち米で作られた和菓子で同じ食べ物です。漢字で書くと「牡丹餅」「お萩」となり、牡丹の花が咲く春は「ぼたもち」と呼び、収穫されたばかりの柔らかい大豆を使用するので「つぶ餡」でいただきます。萩の花が咲く秋は「おはぎ」と呼び、皮が堅くなった大豆を裏漉しして「こし餡」としていただきます。
日本では食べ物で邪気を払うという風習があり、小豆の赤色は災難から身を守る厄除けの効果があるとされていました。このことからお彼岸に小豆で作られた「ぼたもち」「おはぎ」を供えるようになったという説があります。
また「ぼたもち」と「おはぎ」は同じものではありますが、地域等によっては「ぼたもち」は牡丹の花の様に大きめに作り、「おはぎ」は萩の花のように小振りに作るという場合もあります。

お墓参りのお供え物のマナー

お彼岸に限らず、お墓参りでお供えした物は、花以外は持ち帰るのがマナーとされています。特に食品は腐敗するだけでなく、カラスや害虫などが寄ってくることが多いので、供えたままにしないのがマナーとなります。また霊園等によっては、供花も持ち帰ることが推奨される場合もあるので、お参りが終れば持ち帰るようにしましょう。
食べ物をお供えした場合、持ち帰るケースが多いですが、その場で食べてもかまわないとされています。お参りをする人と先祖で分け合って食べることも、供養のひとつと考えられているためです。

證大寺の彼岸会法要

證大寺の彼岸会法要
東京都江戸川区にある證大寺は1200年の歴史を持つ寺院。東本願寺を本山とする真宗大谷派のお寺です。お彼岸には證大寺でも彼岸会法要が行われ、勤行に続いて必ず法話がありどなたでも参加することができます。
彼岸会法要に参加するのには特に予約などは必要なく、当日お寺を訪ねればよいとのこと。また都合が合わないなどで證大寺まで来られない方のために、彼岸会法要をネットでも配信。「家にいながら住職の法話が聞ける」など、お喜びの声も寄せられています。
また證大寺では埼玉県と千葉県で「森林公園昭和浄苑」「船橋昭和浄苑」という2つの霊園を直接運営しています。2つの昭和浄苑にも立派な本堂があり、こちらでも彼岸会法要を開催。お墓参りに来て彼岸会に参加する方がたくさんおられます。
證大寺の彼岸会法要は、どなたでも気軽に参加できる形式になっているので、興味がある方は足を運んでみてはいかがでしょう。また彼岸会法要だけでなく、毎日のお朝事(朝のお勤め)もネット配信されていますので、こちらもぜひご覧ください。

まとめ

まとめ
春と秋のお彼岸にお墓参りするのが決まりごととなっている方も多いでしょう。お彼岸について深く知ることで、お参りする心持ちも変わってくるかもしれません。
お彼岸の由来や意味を知ることで、今年のお彼岸のお参りがより充実したお参りになれば幸いです。この伝統を伝えてくれたご先祖に感謝し、次の世代にもお彼岸の意義を伝えていきたいものです。

お彼岸のお墓参りに関する監修
仏教人生大学 講師
加藤 順節

PROFILE
真宗大谷派の僧侶として、證大寺 船橋別院所属。證大寺 銀座別院で仏教入門講座など多数講師を務めており、さまざまなテーマで仏教から人生を学ぶ講座を開催している。

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