家族葬の参列者はどこまで呼べばいいの?呼ぶ範囲と判断基準を解説

家族葬の参列者はどこまで呼べばいいの?呼ぶ範囲と判断基準を解説
葬儀

家族や親族だけで故人を見送る「家族葬」の割合が増えています。高齢化などにより増加傾向でしたがコロナ禍の影響でさらに増加し、今では葬儀の半数以上が家族葬になっています。しかし実際に家族葬を行うとなると、どの範囲まで呼べばいいのか悩む場合も多いでしょう。声を掛ける範囲の判断となるポイントやトラブルを避ける方法などについて説明します。

目次
●家族葬では参列者はどこまで?呼ぶ基準は?
●家族葬の声掛けでトラブルにならないための3つのポイント!
●家族葬に関するよくある質問
●有意義な家族葬にするために、證大寺の家族葬
●まとめ

家族葬では参列者はどこまで?呼ぶ基準は?

家族葬では参列者はどこまで?呼ぶ基準は?

家族葬とは、故人が親しくしていた人のみで行う小規模な葬儀のことをいいます。参列者が少ないので接待などで気を遣わず、故人をゆっくり偲ぶことができるからと家族葬を選択する方も多いようです。
家族葬といっても参列者は家族や親族に限られるわけではなく、親しくしていた友人などを呼んでもかまいません。とはいえ、どの範囲までを呼べばいいのか悩みがちです。通常は以下のような方法で、基準を設けて参列者を決めていきます。

参列者の人数を基準にする

家族葬用の葬儀ホールに収容できる人数は、最大50~60名程度。最近の家族葬用で用意されている式プランでは収容人数が約30名というところもあります。
参列者を決める際は、葬儀社が用意した葬儀ホールの収容人数を確認し、その収容人数を基準に参列者を絞り込むのもひとつの方法です。
一般的に、参列者が10名程度の場合は子どもとその家族など近しい遺族のみを呼びます。20名程度なら、故人の兄弟姉妹や配偶者、いとこや叔父・叔母なども加えます。30名程度の場合は、生前に親しかった友人なども呼ぶことが多いです。とはいえ故人の生前の関係や年齢などによって、優先順位が変わることもあります。

故人の遺志を優先して決める

故人の遺志を優先して決める

故人が遺言やエンディングノートを残していたなら、そこに記されている内容を優先して参列者を決めていきます。遺志が示されていなかった場合も、親しくしていた友人やお世話になった方など、「故人が最期に会いたいのは誰か」を考えて決めるようにしましょう。ただし、呼ばれた方が病気や遠方で出席が困難な場合もあります。負担にならないかも考慮しながら参列者を決めていきましょう。

今後の関係性を考慮して決める

参列できる人数に限りがある家族葬ですが、今後も関係性が続く相手であるかどうかも考慮する必要があります。血縁関係としては遠くても、近所に住んでいるなどで今後もお付き合いを続けたい方がいれば、参列者に含めた方がよいでしょう。反対に、血縁として近くても遠方に住んでいるなどで関係性が薄い方は、呼ばなくても問題ない場合が多いです。

家族葬で参列者を選ぶときの注意点

故人の交友関係は、家族が把握できていない場合もあります。そのため葬儀後に訃報を聞いた方が次々と弔問に訪れて、その対応に追われてしまうことも。また呼ばれなかった方から、最期に立ち会えなかった不満をぶつけられることもあります。葬儀後のことも含めてお呼びする範囲を慎重に検討すると同時に、家族葬に決めた背景を説明できるようにしておきましょう。

家族葬の声掛けでトラブルにならないための3つのポイント!

家族葬の声掛けでトラブルにならないための3つのポイント!

一般の葬儀の場合は、故人との関係性が深ければ可能な限り参列することがマナーとされています。しかし家族葬では参列者を選んで依頼することになるため、声掛けの方法によってはトラブルとなることもありえます。不満が出たりトラブルになったりしないために、3つのポイントを押さえるようにしましょう。

(1)参加してもらいたい方への訃報連絡

通常の葬儀と同じように訃報の連絡を行います。葬儀の日時や場所が決まり次第、案内を行いましょう。その時に「葬儀はごく身近な人だけで家族葬で行う」「参列してほしい方のみに案内を出している」ことを伝え、なるべく他の方には広めないでほしいとお願いしておくとよいでしょう。

(2)お呼びしない方への訃報連絡

お呼びしない方には、基本的には訃報を伝えず、家族葬後にお知らせするようにします。また事情があって先に訃報を知らせなければならない場合は、訃報なのか葬儀案内なのかが曖昧にならないように注意しましょう。葬儀の日時や場所を伝えないだけでなく、家族葬で葬儀を行うこと、参列不要なことを伝えるようにします。
お呼びしない方には家族葬が終わった後に、葬儀はすでに家族葬で執り行ったことをお知らせするとともに、弔問や香典、供花等を望まない場合は遠慮する旨をきちんと伝えるようにします。

(3)会社等への連絡

家族葬の場合でも、会社などの職場には連絡が必要です。故人が勤めていた会社に連絡する場合も、喪主や家族が勤めている会社に連絡する場合も「誰が亡くなったか」を最初に伝えます。家族の場合は忌引休暇が取得できる日数が間柄によって異なるので、その確認も行いましょう。
同時に「家族葬で行う」ことを伝えて、「身内だけが参列すること」「手伝い等は不要なこと」を伝えます。また香典や弔電、供物などを受け取るかどうかは家族の意志によりますが、受け取らない判断をした場合は、その旨もきちんと伝えるようにします。

家族葬に関するよくある質問

家族葬に関するよくある質問

家族葬と一般の葬儀とでは、手順等に大きな違いはありません。そうはいっても家族葬を行う場合は「どうしたらいいのだろう?」という疑問も生じる場面もあります。そんなよくある質問についてQ&A形式で説明します。

Q.家族葬だと葬儀の費用は安くなる?

A.一般葬の平均費用は約150万円とされています。それに対して家族葬の費用相場は100万円以下なので、約50万円前後安くなるといえます。家族葬は参列者の数を制限するため、斎場や祭壇も小さめで済むことが多く、会食や返礼品に必要な費用も抑えやすいといえます。

ただし僧侶などに渡すお布施は一般葬と変わりません。また参列者の数が少なくなる分、香典の額も少なくなることも留意が必要です。トータルでみると実際に持ち出しとなる葬儀費用は、一般葬とあまり変わらない、もしくは負担増になるということもありえます。
また「家族葬○○万円」など安い料金を提示している広告にも注意が必要です。葬儀に必要なものが含まれておらず、追加で費用が発生することがよくあります。事前に葬儀社へ見積もりを取り、内訳や条件をよく確認するようにしましょう。

Q.家族葬でも喪主の挨拶は必要?

家族葬でも喪主の挨拶は必要?

A.家族葬で喪主が挨拶すべきかどうかは、参列者の人数や構成などによって異なります。たとえば故人の配偶者、親や子などごく近しい家族だけでの葬儀なら、挨拶を行わず思い出話をするなど、故人を偲ぶ時間を大切にするのもいいでしょう。しかし親戚や友人などが参列する場合は、喪主が挨拶するのは基本となります。かしこまった言葉で挨拶する必要はありませんが、参列者に感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。

Q.喪主のみの参列でも、家族葬を行ったほうがいい?

A.家族葬よりも簡略化した葬儀として「直葬」や「一日葬」があります。直葬は通夜も告別式も行わず、ごく内輪の人だけで火葬のみを行う最もシンプルな形式です。一日葬は通夜を行わずに告別式から火葬までを1日のみですませるといったものです。
参列者が喪主のみの場合は経済的・時間的な負担を減らすために、このような簡略化した形にすることもあります。しかし葬儀を行わないと、亡くなった実感が薄いままになりがちです。後になって悔いが残らないよう、家族葬といった小さな規模の形でも葬儀を行うことをおすすめします。

Q.家族葬のお香典は?

A.家族葬でも、一般葬と同じようにお香典を送ったりいただいたりしてもかまいません。お香典の相場も一般の葬儀と同様と考えてよいでしょう。
ただし家族葬は「香典返しの手間を省きたい」という理由で選択する場合もあります。最近では喪主が香典を辞退し、香典返しも用意しないことが多くなっています。香典だけでなく供物や供花などもお返しが必要となるので辞退するケースもあります。

有意義な家族葬にするために、證大寺の家族葬

有意義な家族葬にするために、證大寺の家族葬

江戸川区にある證大寺では、一般葬はもちろん家族葬も行っています。浄土真宗大谷派の寺院ですが、檀家でなくても葬儀や家族葬を行うことができます。

證大寺が考えるほんとうのお葬式ー浄縁葬

葬儀は「故人との別れの場」とよくいわれます。しかし證大寺は、葬儀は別れの場ではなく「出会い直しの場」だと考えています。
故人と生前に出会えたこと、今までしてくれたこと、一緒に過ごしてくれたことは当たり前ではなかったと気づき、最後に「ありがとう、ごめんなさい」「そして決して忘れません」と出会い直す機会が葬儀なのだと考えています。證大寺が行う葬儀は「浄縁葬」と呼ばれ、心のこもった葬儀が上げられると好評を得ています。

故人を人として尊ぶ、枕勤め

浄縁葬では、通夜・葬儀が行われる前の「枕勤め」をしっかり行って故人を尊びます。
現代では、人が亡くなると遺体はロッカー式の安置所に置かれることが多いです。しかし證大寺では本堂横の書院に遺体を安置し、枕元で読経を行います。これが「枕勤め」です。遺体が書院にある間中は、僧侶と職員が毎朝読経し、お焼香を行います。もちろん遺族も枕勤めに参加することができ、お焼香を行い僧侶の法話を聞くなどしながら、故人と向き合う時間を持つことができます。

お葬式を「喪主付添人」がサポート

證大寺の浄縁葬で特徴的なのは、寺院の職員が「喪主付添人」としてサポートしてくれるところでしょう。葬儀の手はずは葬儀社が執り行いますが、喪主付添人が専属の担当となって寄り添い、不安を解消できるように努めてくれます。葬儀社との打ち合わせでは、説明を受けても理解が難しい状況になり「なにがわからないかもわからない」状況になってしまうことも多々あります。葬儀社に直接いいにくいことも喪主付添人が間に入ってくれるので安心です。
喪主付添人はトラブルを未然に防ぐ役割もありますが、それだけではありません。慌ただしい時間の中で家族に寄り添いながら、故人の思い出を語り合うことを促します。まさに葬儀を「出会い直しの場」となるようにサポートしてくれるのです。

「故人さまの歩み」と「故人さまへの手紙」

浄縁葬では喪主付添人が故人のことを遺族から聞き取って「故人さまの歩み」としてまとめ、僧侶に伝えます。これによって故人の人となりから法名(戒名)をつけてもらえます。また通夜に望む心構えを作るのにも役立ちます。
通夜や葬儀では僧侶が「故人さまの歩み」を読み上げることにより、故人をより深く知る機会となります。また参列者にカードを渡して「故人さまへの手紙」を書いてもらいます。手紙を書くことで、故人とより深く向き合うことができ、葬儀が「出会い直しの場」となるのです。また、書いていただいた手紙は證大寺がお焚き上げをいたします。

「故人さまの歩み」と「故人さまへの手紙」

「故人さまへの手紙」を専用のポストに投函する様子

家族葬なら「自宅葬」という形も

最近では葬儀を行うのは、寺院やセレモニーホールで行うという形が主流ですが、證大寺なら自宅での葬儀も可能です。家族葬なら参列者が少ないため、自宅だとスペースがないという悩みも解決できます。また家族葬だからこそ、家族の思い出がたくさん詰まった自宅で葬儀をする意義もあるでしょう。
證大寺の自宅葬なら広さを選ばず、エレベーターのない集合住宅でも行うことができます。また自宅葬でも、枕勤めの供養や喪主付添人のサポートも受けることができます。

よりよい家族葬にするために。生前から葬儀のご相談を

自分では家族葬を望んでいても、家族はそれを知らずに一般的な葬儀としてしまうこともあります。あとで家族が「故人の意向にそった形にできなかった」と後悔しないように、元気なうちからエンディングノートを制作して自分の意志を明確にしておきましょう。
また證大寺では葬儀の生前予約も行っています。「自分の希望通りの葬儀にしてほしい」「経済的な負担を掛けたくない」という声から生まれたものです。生前予約した方には、ご家族に向け「ラストレター」を書いてもらい、その手紙はご自身が亡くなってから百日目(百箇日法要)のタイミングで家族に渡されます。
あらかじめ「葬儀生前予約」を申し込んでおけば、家族は葬儀の打ち合わせで内容の確認だけで済み、追加費用の心配もありません。気になった方はぜひ相談してみてください。

まとめ

まとめ

家族葬にして親しい人だけで見送るのか、一般葬でできるだけ多くの方に見送ってもらうかは、故人や家族の考えや価値観によってまちまちです。ただし家族葬の場合は、声がけの時点から配慮が必要となってきます。意義ある葬儀にするために、また後にトラブルがおこらないよう熟慮して判断するようにしてください。

家族葬に関する監修
仏教人生大学 講師
目﨑 明弘

PROFILE
證大寺 森林公園別院に所属。18歳から28歳まで京都の大谷大学で仏教を学ぶ。その後、真宗大谷派の本山である東本願寺の同朋会館で五年間勤務。現在は、銀座別院等で講師を担う。

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