葬儀の供花とは?供花の読み方と手配や注意点を解説

葬儀

葬儀で飾られる花は喪主側が用意するものもありますが、故人と親しかった人が哀悼の意を込めて贈る場合もあります。祭壇の左右に飾られるのが供花で、宗教や地域によって決まりごとやマナーが異なります。そこで、供花を贈る際に知っておきたい基本的なマナーや手配の仕方などについて紹介します。

目次
●供花とは?読み方や意味を解説
●供花に使われる花の種類
●供花はいつ贈ればいい?
●供花の手配や注文までの流れ
●供花を贈る際のマナー
●供花の相場は1基7,000~20,000円程度
●供花を手配する際の3つの注意点
●まとめ
●證大寺|葬儀のご相談

供花とは?読み方や意味を解説

供花とは、通夜や葬儀で祭壇の左右に供えられる花のことで、「くげ」または「きょうか」と読みます。故人の親族や友人・知人などから寄せられた供花は、祭壇の左右や入り口などに飾られます。故人の旅立ちとなる葬儀を飾るために欠かせないものといえるでしょう。
浄土真宗では、供花のことを「生花」と呼ぶこともあります。

供花の意味

供花の由来はお釈迦様の時代にまで遡ります。お釈迦様が亡くなった時、対になった2本の沙羅の木が花を咲かせ、お釈迦様の上に舞い散って覆いつくしたという言い伝えがあります。この話が元となり、亡くなった際は花を供えるようになったと言われています。
供花は人生の最後の贈り物であり、弔意を込めて花を供えることで、故人の霊を慰めるという意味があるとされています。

供花の特徴

供花は遺族や親族が贈るほか、友人・知人や親交のあった会社などが贈る場合があります。また葬儀等に参列できない場合に、弔電や香典の代わりとして供花を贈ることもあります。個人で贈るだけでなく、連名や一同として贈られることも多いです。
供花にはスタンド、花籠、盛花などいくつか種類があります。1基、2基と数え、2基で一対となり祭壇の両側に並べるのが一般的です。また供花には、贈った人の氏名や会社名を記した名札が立てられます。

供花に使われる花の種類

供花とは?読み方や意味を解説

供花で用いられる花は、宗教や地域によって違いがあります。供花を贈るときは故人の宗教や地域の習わしを確認しておくようにしましょう。

仏教の供花

仏教の葬儀での供花は白が基調となり、菊や百合、カーネーション、胡蝶蘭などの花がよく使われます。ここに差し色として、淡いピンクや紫、青色の花が加えられます。トルコ桔梗や水仙、リンドウなどの花を差し色とする場合が多いようです。基本的に、香りの強い花や毒性のある花は避けるのがマナーとされています。
ただし京都・大阪など関西の一定の地域では、生花ではなく樒(しきみ)を贈ることがあります。樒は香りが強く実に毒のある植物ですが、邪気を払う作用があるとして用いられます。生花よりも格が高いとされています。

神道の供花

神道の供花は仏教の場合とほとんど同じです。かつては花ではなく榊(さかき)が送られていましたが、現在では榊を供えるのは喪主だけで、それ以外は花を供えることが一般的です。
神道の供花は、菊やカーネーション、ユリなどの白い花をメインとし、淡い黄色やピンクなど季節の花を差し色として落ち着いた色調が好まれます。ただし仏教の供花とは異なり、胡蝶蘭はあまり用いられません。

キリスト教の供花

キリスト教では、籠盛りにした供花を贈るのがマナーとされています。白を基調とした花が使われますが、百合や蘭、カーネーションなどの洋花がメインです。よく仏式や神式で使われる菊はあまり用いられず、仏教や神道と比べて色花が多く用いられます。また葬儀会場ではなく自宅に送られることが多いです。

供花はいつ贈ればいい?

供花に使われる花の種類

供花を贈ることが決まったら、なるべく早く依頼するようにしましょう。通夜の場合は当日の午前中、遅くとも通夜が始まる3~5時間前には届くように手配します。また、葬儀に供花を贈る場合でも前日までに届くようにします。祭壇などを整える必要があるので、ギリギリに届くようでは先方に迷惑をかけてしまいます。間に合わないようなら、葬儀が終わった後の自宅祭壇用として贈る方が望ましいでしょう。

供花の手配や注文までの流れ

供花はいつ贈ればいい?

供花を手配する方法としては(1)葬儀社に依頼する、(2)花屋に依頼する、(3)インターネットで手配するなどがあります。それぞれ異なるメリットがあり、注意したい点もあります。特徴を知った上で選ぶようにしましょう。

供花を葬儀社に依頼する場合

最もよく利用されるのが、葬儀を担当する葬儀社に供花を依頼する方法です。葬儀社では、故人の宗教・宗派によるしきたりや地域の風習などを把握しているので、それに合わせた花を選んでくれます。また祭壇とのバランスや色合いなども考慮してもらえます。ただし、贈りたいと思う花があっても選ぶことができない場合もあります。また葬儀社では供花のプランが設定されていて、使用する花の種類やボリュームによって価格が異なることが多いです。
供花を葬儀社に依頼する場合は、まずは喪主に「葬儀社の名前」「斎場名」「通夜や葬儀の日時」などの必要事項を確認しておきましょう。その後、葬儀社に供花を贈りたい旨を連絡し供花のプランを選びます。その際、葬儀社より故人との関係性や氏名など、供花の名札に必要な情報を聞かれます。同僚数人など複数で依頼する場合は、どのような記載にするか事前に考えておくようにしましょう。その後、支払手続きをして依頼完了となります。

供花を花屋に依頼する場合

供花は花屋でも依頼できます。花屋に依頼すれば故人が好きだった花、贈りたい花などを選んで贈ることができるというメリットがあります。ただし葬儀社によっては供花の持ち込みを断られる場合もあります。また他の花とのバランスが取れないなどの理由で、会場内に飾られないケースも稀にあります。
花屋に依頼する場合も、まず喪主に連絡して必要事項を確認します。その後、葬儀社に花屋からの持ち込みができるか尋ね、できるようであれば宗教・宗派による注意点や供花のスタイルなどの条件を聞いておくようにします。それらを踏まえた上で花屋に依頼します。花屋に供花のスタイルや注意点のほか、名札に記す氏名などの情報を伝え支払をして完了です。

供花をインターネットで依頼する場合

最近ではインターネットで供花が手配できるサイトも増えてきています。花の種類が選べ、おまかせで宗教・宗派による注意点を配慮してくれるものもあり、見本の写真を見ながら選ぶことができる場合も多いです。到着時間も指定できて料金も明確になっていることが多いので、利便性が高いといえるでしょう。
インターネットで手配を依頼する時も、喪主に必要事項を確認し葬儀社に持ち込みが可能かを尋ね、手続きを進めるようにしましょう。

供花を贈る際のマナー

供花の手配や注文までの流れ

供花は、かつては2基を一対にして贈るのが一般的でした。しかし最近では1基で贈っても失礼にならないとされています。また供花を贈る際はどんな花を選ぶかだけでなく、供花に添える名札の書き方にもマナーがあるので気をつけるようにしましょう。ただしキリスト教では、名札を付けないことが一般的です。

名札の一般的な書き方

名札の書式には決まりがあります。手配を行う前に確認しておくようにしましょう。

家族・親族の場合

家族や親族が贈る場合は「〇〇家 親戚一同」、「子一同」、「兄弟一同」などといった記載にします。

友人の場合

個人で供花を贈る場合は氏名だけの記載でかまいません。
連名で贈る場合は、3名程度までならば全員の名前を記載します。人数が多い場合、「友人一同」などといった形で記載するのが一般的です。その場合は「○○高校□□サークル 友人一同」などといった形で、個人との関係性がわかるようにしておきます。

会社関係者の場合

会社として贈る場合は、会社の正式名称で記載するようにします。会社名が長すぎて入りきらない場合は、株式会社を(株)と略す場合もあります。また職場の部署で贈る場合は部署名まで入れるようにしましょう。
会社関連の連名で個人名を記す場合は右側から肩書きが上の人から順番に記すようにします。また社内で有志を募って贈る場合は、会社名の後もしくは部署名の後に「有志一同」と付け加えるようにします。

供花の相場は1基7,000~20,000円程度

供花を贈る際のマナー

供花の相場は、1基7,000~20,000円程度とされています。一対(2基)で贈る場合はその倍が相場となります。ただし生花を用いるため季節や花の流通量などによって価格が変動することがあります。
1基で贈るか一対にするかは故人との関係性によって変わります。また葬儀会場によっては、供花を1基に限定している場合もあります。判断に迷う場合は、葬儀社や供花の依頼先に相談してみましょう。供花は香典と同様に、遺族から贈り主に礼状と品物をお返しするのが一般的です。高すぎる供花を贈ると遺族に気を遣わせることになるので、相場内で納めるようにしましょう。
供花は香典と同じ意味合いだからと供花を贈れば香典は不要という考え方もあります。しかし実際には供花と香典の両方を贈る方が多く、友人や会社など連名で供花を贈った場合も香典は各々で包むケースがほとんどです。

供花を手配する際の3つの注意点

供花の相場は1基7,000~20,000円程度

故人の冥福を願って贈る供花ですが、配慮が欠けていたりマナー違反だったりすると遺族を困らせてしまうことになります。そこで、手配する際に注意しておきたい点のほか、供花と混同されやすい葬儀に関する花について解説します。

1.遺族に確認する

供花を贈ってもよいかを、まずは喪主に確認するようにしましょう。最近では遺族が供花を辞退するケースも珍しくありません。遺族の意向を尊重した上で判断するようにしましょう。親族から贈る場合でも、喪主が取りまとめて手配するケースもあるので喪主への事前確認は必須です。
また、連名にして共同で供花を贈る場合は手配や連絡を確実に行いましょう。連絡不足で手配が二重になったり、他の人が手配しているはずと手配し忘れたりするなど、トラブルが起きないように注意しなければなりません。

2.故人との関係性を葬儀社に伝えておく

贈られた供花は通夜や葬儀の会場で飾られますが、故人との関係が親密な順番で祭壇の側から置かれることになります。故人との関係性を葬儀社が把握できるように、供花を依頼する際や持ち込みの許可を得る際に伝えておくようにしましょう。

3.供花と混同されやすい葬儀等で使われる花

通夜・葬儀では、供花以外にもさまざまな種類の花が使われます。供花と混同してしまう可能性もあるので、その違いを知っておくようにしましょう。

枕花

枕花は訃報を知った後に贈る花で、通夜が終わるまでの間、故人の側に置かれる花を指します。故人の親族や特に親しかった人だけが贈るのが一般的です。名前の通り枕元に置くのでサイズは小さめのものを選ぶようにしましょう。訃報を受けて通夜前に弔問に訪れた際に持参するのが一般的ですが、遠方などの場合は配送で贈っても問題ありません。

献花

献花とは、葬儀等の会場に設置された献花台に花を供える行為のことです。献花台でなく棺の中に供える場合もあります。キリスト教の葬儀では仏教の焼香に当たるものとして行われます。供花は弔意を示すものとして贈るものであるのに対し、献花は故人へお別れを伝えるためのものとされています。使用する花は参列者ではなく喪主側が用意するのが通例です。

花輪

まとめ

花輪は関東以北~東北地方でみられるもので、供花の一種となります。1~3mほどもある輪上に花を散りばめた大きな飾りで、造花が使われる場合もあります。また飾る場所も祭壇の側ではなく、通夜・葬儀の会場の入り口など外部に置かれるのが一般的です。

お別れ花

出棺前の故人と最後のお別れの時、棺の故人の顔周りなどに参列者が1輪ずつ花を手向ける儀式です。遺族や親族など故人と縁が深い人によって行われるのが基本ですが、遺族の希望などにより一般の参列者もお別れ花を手向ける場合もあります。仏教式の葬儀でも行われることが多く、花は祭壇に飾られた供花を用いられます。

まとめ

まとめ

供花には、通夜・葬儀ならではのマナーや宗教や地域に合わせた決まりごとなどがたくさんあります。故人の冥福を祈り弔意を示すために贈るものなので、遺族に失礼のないようにマナーを理解しておくようにしましょう。また事前に遺族の許諾を得ることや葬儀社に連絡するなど、相手方に負担を掛けない心遣いも忘れないようにしたいものです。

證大寺|葬儀のご相談

證大寺|葬儀のご相談

浄土真宗・大谷派の寺である證大寺では、葬儀の相談を行っています。お寺での葬儀は斎場やセレモニーホールにはない独特の雰囲気があり、荘厳な気持ちになれると評判です。
證大寺の葬儀では、寺の職員が喪主付き添い人となってサポートしてくれます。喪主となる方は、急な訃報で気が動転しがちですが、葬儀社との打ち合わせに参加して助言するなど、きめ細かい対応をしてくれます。供花をお受けするか辞退するかなどは、葬儀社に伝えにくいと感じることがあっても、間に入って取り持ってくれるため安心です。手厚いサポートにより、遺族は故人とのお別れの時間を何よりも大切にすることができます。よりよい葬儀にしたい、後悔のない葬儀を行いたいという方は、證大寺に相談してみるとよいでしょう。
證大寺へのお問い合わせは03-3653-4499まで。

葬儀の供花に関する監修
仏教人生大学 講師
目﨑 明弘

PROFILE
證大寺 森林公園別院に所属。18歳から28歳まで京都の大谷大学で仏教を学ぶ。その後、真宗大谷派の本山である東本願寺の同朋会館で五年間勤務。現在は、銀座別院等で講師を担う。

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