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お葬式・葬儀における「数珠」の使い方!基本となる知識やマナーを身に付けよう

葬儀

葬儀などに参列する際、ほとんどの方は数珠を持参しているでしょう。しかし実際に使う段になるとどの段階で手にすればいいいか、どのように手に掛けて持つかなど、あやふやな場合も多いのではないでしょうか。そこで数珠の意味や知っておきたい基本知識とともに、数珠を手にした時の作法やマナーについて説明します。

目次
●数珠とは
●数珠の「使い方」や「持ち方」とは
●自分の好みで選んでいいの?数珠の選び方
●お葬式・葬儀における数珠の基本的なマナー
●数珠がない時はどうすればいい?
●まとめ
●證大寺|葬儀のご相談

数珠とは

数珠とは

数珠は小さな珠を糸に通して輪にしたもので、仏教の法具のひとつ。合掌する時に用いられます。数珠は「じゅず」または「ずず」と読まれるほか、異なる漢字で「念珠(ねんじゅ)」、「珠教(じゅず)」と呼ばれることもあります。

数珠にはどんな意味があるの?

数珠はもともと「念仏の回数を数えるための珠」という使われ方をしていました。数珠の珠の数は本来108個で、人間の煩悩の数を表わしています。仏教では煩悩を取り除くことが大切とされているため、珠を爪弾きながら念仏の回数を数えて、煩悩を少しずつ消滅させるために用いられたといわれています。また珠の一つ一つが人間の煩悩を消してくれる仏様であるともされています。
数珠には「故人様や仏様と結ばれる」といった意味も込められていて、葬儀等で身につけるのは故人を敬うことを表わしています。数珠は仏様と結ばれる自分の分身のようなものとされるため、身につけるだけで厄除けになり幸福を呼ぶともいわれています。

数珠の起源

数珠の起源については諸説ありますが、ヒンズー教の前身であるバラモン教の聖典に「連珠」という記述があり、それが数珠の原型であるという説が有力とされています。ヒンズー教では祈りの回数を数える際に珠を使う習慣があり、この習慣を釈迦が仏教に取り入れたともいわれています。
日本では仏教の伝来とともに数珠が伝えられましたが、水晶や琥珀など高価な材料が使われていたことから、一部の僧侶や貴族の間に限られた法具でした。平安末期~鎌倉時代になると徐々に一般にも普及していき、江戸時代に仏教が国教とされてからは更に広く普及することとなりました。

数珠には宗派ごとに種類がある

数珠にはどの宗派でも使うことができる「略式数珠」と、宗派ごとに決まった形の「本式数珠」があります。
本式数珠は宗派から正式と認められた数珠のことで、宗派ごとに特徴があります。基本的には本式数珠は108個の主珠(子珠ともいう)のほか、親珠・四天珠・弟子珠(記子珠ともいう)・露玉・浄明玉から構成されています。また数珠の房にも種類があって、大きく分けて切り房・梵天房・頭付房・紐房の4つがあるとされています。房については宗派によって明確な決まりはないとされていますが、房の形が決まっている宗派も存在します。

数珠の「使い方」や「持ち方」とは

数珠の「使い方」や「持ち方」とは

葬儀や通夜などでは必ずといっていいほど数珠を持って行くため、仏教の法具の中で数珠は比較的馴染みがあるものといえるでしょう。しかし法具であるため、「持ち方」や「使い方」などに作法やルールがあります。

数珠の持ち方は宗派によって異なる

本式数珠の持ち方は、宗派によって指のかけ方や房の垂らし方などさまざまです。以下で主な宗派の持ち方を紹介します。

真言宗の数珠の持ち方

真言宗の数珠は、長い一連を二重にして使用する形で、振分数珠とも呼ばれています。
<持ち方>
(1)数珠を両手の中指にかけ、房が手の甲側になるように持ちます。
(2)そのまま両手をあわせて合掌します。

天台宗の数珠の持ち方

天台宗の数珠は丸い珠でなく、平珠と呼ばれる独特のものが用いられます。
<持ち方>
(1)数珠を両手の人差し指と中指の間にかけ、房が下に垂れるように持ちます。
(2)そのまま両手をあわせて合掌します。

臨済宗の数珠の持ち方

臨済宗の数珠は長い一連を二重にして使用するタイプです。
<持ち方>
(1)一重の輪をひとひねりし、二重の状態にします。
(2)左手の親指と人差し指の間にかけ、両手をあわせて合掌します。

曹洞宗の数珠の持ち方

曹洞宗の数珠は長い一連を2重にして使用します。曹洞宗独特の銀輪がついています。
<持ち方>
(1)一重の輪をひとひねりし、二重の状態にします。
(2)左手の親指と人差し指の間にかけ、両手をあわせて合掌します。

日蓮宗の数珠の持ち方

日蓮宗の数珠は二重タイプで、2つある親玉から片方は房が2本、もう片方は3本の房が出ています。
<持ち方>
(1)房3本の方を左手の中指に掛け、8の字にひねって房2本の方を右手の中指に掛けます。
(2)房を外側に垂らして、両手をあわせて合掌します。

浄土宗の数珠の持ち方

浄土宗の数珠は本式数珠でも108玉でなく、2つの輪を交差させた独特の形状をしています。
<持ち方>
(1)2つの輪を揃え、両方の親指にかけて両手をあわせて合掌します。
(2)房は親指から手前の真下にくるように垂らします。
※4本の指にかける持ち方もあり、その場合は房が両手の向こう側にくるように垂らします。

浄土真宗の数珠の持ち方

浄土真宗の数珠の持ち方

浄土真宗では数珠のことを念珠と呼びます。また他の宗派のように修行で煩悩を取り払わなくてよいとされているので、数珠で念仏を唱えた数をかぞえることはしません。浄土真宗の念珠は、阿弥陀様への報恩感謝を表わすものだとされています。
形状は、男性は片手念珠、女性は長い一連を二重にしたものを用います。男性用は大谷派・本願寺派とも同じ持ち方ですが、女性は異なりますので注意してください。
<男性用の持ち方(大谷派・本願寺派共通)>
(1)左手に輪を通してから、両手をあわせて合掌します。
(2)房は真下にくるように垂らします。
※合掌した両手に輪をかける持ち方もあります。
<女性用の持ち方(大谷派)>
(1)一重の輪を二重の状態にし、親玉部分が上に来るように親指と人差し指の間にかけます
(2)房を左手の甲に垂らし、両手をあわせて合掌します。
<女性用の持ち方(西本願寺派)>
(1)一重の輪を二重の状態にし、合掌した両手に輪をかけます。
(2)房はあわせた手の向こう側にくるように垂らします。

略式数珠の持ち方

略式数珠の持ち方

どの宗派でも使うことができる略式数珠は、一重で作られています。珠は本式数珠より大きいことが多く、数は108の半分である54、1/3である36、1/4である27などが多いですが、はっきりした決まりはありません。
<持ち方>
(1)左手に輪を通してから、両手をあわせて合掌します。
(2)房は真下にくるように垂らします。
※合掌した両手に輪をかける持ち方もあります。

基本的な数珠の使い方

数珠の持ち方は宗派によって異なりますが、使い方やマナーは同じです。数珠は基本的に左手で扱います。仏教では左手が仏の世界を表すとされているので、左手で持つのが作法とされています。
葬儀や通夜、法要だけでなく、お寺や仏壇、お墓参りなどでも数珠を使うことが望ましいとされています。浄土真宗の第八代宗主・蓮如上人は、「お念珠を持たないのは、仏様を手づかみにするようなもの」といっています。故人や仏様に手を合わせて合掌する時は、たしなみとして数珠を用いるようにしましょう。

自分の好みで選んでいいの?数珠の選び方

自分の好みで選んでいいの?数珠の選び方

数珠を選ぶ際にまず決めたいのは、「略式数珠にするか?本式数珠にするか?」です。現代では葬儀などで使う場合は略式数珠を選ぶ方が多いですが、宗派によっては本格数珠を推奨している場合もあるので、気になる場合は菩提寺に相談してください。
次に気をつけたいのは、男性用か女性用かです。略式数珠・本式数珠とも男性用と女性用があり、最も大きな相違点は「珠の大きさ」と「長さ」です。珠の大きさは、男性用は女性用より大きく作られていることが多いです。略式数珠なら男性用が10~12mm、女性用が6~8mmというのが一般的です。また長さは宗派により異なる場合もありますが、108珠の本式数珠の場合、男性用は尺二寸(約54cm)、女性用は八寸(約24cm)が一般的です。数珠は基本的にユニセックスのものはありません。購入する際は男性用・女性用の表示を確認するようにしましょう。
数珠の素材は多彩で、黒檀や紫檀などの天然木でできたもの、水晶やアメジストなどの天然石を用いたものなど、さまざまな材質のものがあります。素材や色については基本的に決まりはないので、自分の好みのものを選んでみてはいかがでしょう。ただし地域によっては房の色などが決まっている場合もありますので、購入前に年長者などに相談しておくとよいでしょう。

お葬式・葬儀における数珠の基本的なマナー

お葬式・葬儀における数珠の基本的なマナー

葬儀の際には、弔意を示すために数珠を持参するのがマナーです。持参するだけでなくその取り扱い方にも気をつけるようにしましょう。葬式の間は、常に数珠を手元に用意しておきましょう。左手で持つか左手首にかけておくようにします。焼香をする段になってあわててカバンなどから取り出すのは、マナー違反となるので注意しましょう。席を移動する際は、左手で持ったまま房の部分を下に向けて歩くようにします。また本格数珠の場合、葬儀などでは相手の宗派にあわせた持ち方をする必要はなく、自分の宗派の持ち方であっても失礼にあたりません。
そのほか葬儀で気をつけたいマナーについても以下で説明しているので参考にしてください。

葬儀用の数珠を使うこと

最近ではパワーストーンをあしらった数珠などを、日常でブレスレットやお守りとして身につけている方が増えています。しかしこれを葬儀で数珠として使ってはいけません。ブレスレット型のものはあくまで「アクセサリー」です。葬儀には仏事用の数珠を使うようにしてください。

基本的に貸し借りはしない

お葬式・葬儀における数珠の基本的なマナー

葬儀などで数珠を忘れたからと、友人などに「焼香の間だけでも」と数珠を貸し借りする場面を目にしたことがある方もいるかもしれません。しかし数珠の貸し借りはマナー違反となるので行わないようにしましょう。
数珠は持ち主の身を守るための厄除けという面もあり、貸し借りすべきものではありません。基本的には1人がひとつの数珠を持つものです。家族でも共用せずに、各自が自分専用の数珠を持つようにしましょう。

数珠を椅子の上などに置きっぱなしにしない

葬儀の最中は常に数珠を身につけておくことがマナーなので、椅子や畳みの上などに置きっぱなしにするなど、ぞんざいな扱いをしてはいけません。やむを得ず数珠を手放さないといけない場合は、数珠袋の中に納めた上でバッグに入れます。またどうしても椅子の上などに置かざるをえない場合は、ハンカチ等を敷いた上に置くなど、丁寧に扱うようにします。
自宅から会場までの間は、数珠袋の中に入れて持ち歩くようにしましょう。数珠を直接バッグに入れてしまうと、珠が傷付いたり房が広がってしまったりするおそれがあります。数珠を購入した際には数珠袋も一緒に用意しておくのがよいでしょう。ちなみに数珠袋の素材やカラーは宗派による特別な規則はほとんどありません。持っている数珠にあわせるなど、お好みのものを選ぶことができます。ただし数珠の大きさにあわせて男性用・女性用で大きさが異なる場合があります。

神式・キリスト教式の葬儀では数珠は必要ない

数珠は仏教の法具であるため、キリスト教や神式の葬儀では不要です。葬儀がどの宗教で行われるのかわからない場合は、とりあえず持参しておき現地で確認しましょう。仏教以外の葬儀であった場合は、取り出さずに鞄の中などに納めたままにします。

数珠がない時はどうすればいい?

数珠がない時はどうすればいい?

葬儀に参列する際に数珠が必要とわかっているものの、つい忘れてしまうこともあります。数珠を忘れてしまっても、心を込めて手を合わせれば問題はありません。知り合いなどに借りる行為の方が、より重大なマナー違反となります。そうはいっても数珠がないことが気になるのなら、セレモニーホールの売店やコンビニなどで販売しているケースもあるので、近くに購入先がないかを葬儀のスタッフ等に聞いてみるといいでしょう。

まとめ

まとめ

数珠は略式・本式などの種類があり、価格も安価なものから宝石などを使った高価なものまでさまざまです。価格を気にする必要はありませんが、たとえ安価なものでも粗雑に扱ってはいけません。
数珠は仏様や故人に対して敬意や供養の気持ちを表すものであり、仏縁をつなぐものでもあります。本来は葬儀や法要だけに限らず、仏様に手を合わせる時は持っていたいものです。

證大寺|葬儀のご相談

證大寺|葬儀のご相談

證大寺は江戸川区にある浄土真宗大谷派の寺院です。葬儀というと最近ではセレモニーホールで行われることが多いですが、證大寺では葬儀の相談も受け付けていて寺で行うことができます。
證大寺での葬儀は「浄縁葬」と呼ばれています。亡くなった後はまず本堂横にある書院の和室で布団を敷いて故人を安置し、僧侶が読経して「枕勤め」と呼ばれる供養をしてくれます。通夜・葬儀はもちろんのこと、最近では省かれることも多い「仮通夜」も行うことができます。また仏事支援員が喪主の付き添い人を務め、葬儀会社との打ち合わせに立ち会うなど手助けしてくれ、急なことで気が動転しがちな喪主や遺族に寄り添ってくれます。
お寺ならではの安心感と、本堂の荘厳な雰囲気が評価され、利用者からは「證大寺で葬儀をしてよかった」という声が多数あがっています。
セレモニーホールとはひと味違う心のこもった葬儀にしたいなら、證大寺に相談してみてはいかがでしょうか。

>お問い合わせ先
03-3653-4400(8:30〜17:30)
葬儀に関わる緊急のお問い合わせは365日24時間対応いたします。

お葬式・葬儀における「数珠」に関する監修
仏教人生大学 講師
梅原 博

PROFILE
1973年に真宗大谷派にて得度。真宗学は大谷大学にて学ぶ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。真宗大谷派名古屋別院では法話講師を務めている。

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