分骨は良くないの?そんな不安をすっきり解消する分骨の正しい知識

お墓

分骨という言葉はご存知でも、なぜ分骨するのか、分骨のやり方はどうするのかなど、分骨にまつわる知識はあまり知られていません。また分骨することに抵抗を感じている方もいらっしゃるでしょう。今回はそうした方々へ、分骨の正しい知識を紹介します。

目次
●分骨とは、遺骨を分けて供養すること
●じつは勘違い!分骨は良くないといわれる理由
●分骨の正しい方法と手順
●分骨にかかる費用
●分骨の際に気をつけるポイント
●分骨後の供養の方法
●分骨のご相談|無料相談会を実施
●まとめ

分骨とは、遺骨を分けて供養すること

分骨とは、遺骨を分けて供養すること

分骨とはその言葉の通り、故人の遺骨をいくつかの骨壺に分けて供養することを言います。関東地方より東の地域ではこれまであまり一般的ではありませんでしたが、お墓は遠い田舎にあるけど自宅の近くでも遺骨を供養したいなど、生活環境の変化によって分骨を希望する方が増えています。

じつは勘違い!分骨は良くないといわれる理由

じつは勘違い!分骨は良くないといわれる理由

遺骨を分ける、ということでバチが当たるのではないかとか、成仏できないのではないかなど、なんとなく不安を感じる方もいるかもしれません。でもそうした不安は、単なる思い込みに過ぎません。

「分骨は法律に違反している」という勘違い

遺骨は一つの骨壺に入れるのが当たり前と考えている人は、分骨すると法律に違反するのではないかと危惧するかもしれません。でも、分骨は違法ではありません。法的に認められた行為で、何の不安を感じる必要はありません。ただし、「墓地、埋葬等に関する法律」では、分骨を希望する場合は火葬場や墓地の責任者から分骨証明書を取得し、焼骨の分骨をお墓に収める場合にはその墓地の責任者に分骨証明書を提出する必要があります。分骨証明書を失くしてしまったら自治体の役所で再発行してくれますので、失くしたままにしないでください。

「分骨は宗教上問題がある」という勘違い

仏教において分骨は良くないことや不吉なことではなく、むしろ尊い行為として古くから行われている習慣です。そもそも、お寺などに祀られている「仏舎利」は、分骨したお釈迦様のお骨。お釈迦様の死後、遺骨は弟子たちによって分骨され、世界中に運ばれました。西日本では今でも遺骨をすべて拾うのではなく、小さめの骨壺に遺骨を入れ、残った遺骨は寺院などで供養した後に埋葬するのが一般的です。

「分骨すると成仏できない」という勘違い

分骨にまつわる誤解の一つに、「魂が分けられてしまい、成仏できない」といったものがあります。当然、これはいわれのない迷信で、仏教では、魂は遺骨から離れて成仏すると考えられています。つまり、遺骨に魂が留まっているわけではなく、遺骨は故人を偲ぶひとつの象徴といえます。分骨され全部の遺骨でなくても、その象徴としての意義は変わりません。

分骨の正しい方法と手順

分骨の正しい方法と手順

分骨には納骨前に火葬場で行う方法と、納骨済みの遺骨を分ける方法があります。火葬場で分骨する方法が一般的ですが、2つの方法は手順が違いますので、覚えておくとよいでしょう。

納骨前に火葬場で分骨する

家族が身近で供養したいと思っている場合や、手元供養を考えている場合は納骨前に分骨します。

【手順1】骨壺を用意

分骨する数の分だけ、骨壺を用意します。家族で、それぞれの希望を確認しておきましょう。

【手順2】火葬証明書を発行

火葬場に「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」を発行してもらいます。火葬するときに発行される「火葬許可証」とは違いますので注意しましょう。手続きが難しい場合は葬儀社に依頼することもできますので、あらかじめお願いしておきましょう。

【手順3】遺骨を納める

用意した骨壺に遺骨を納めます。

【手順4】火葬証明書を渡す

分骨した遺骨をお墓に納骨する場合は、分骨先の管理者に「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」を渡します。分骨した遺骨を納骨せず手元供養する場合は、「火葬証明書(分骨用)」は必要ありません。

納骨されている遺骨を分骨する

納骨されている遺骨を分骨する<

お墓や納骨堂へすでに納骨されている遺骨を分骨したい場合は、一度お墓や納骨堂から遺骨を取り出す必要があります。

【手順1】現在、納骨しているところに分骨の連絡をする

納骨しているお墓や納骨堂の管理者に、分骨の連絡をします。なお、親族間であらかじめ相談をせずに分骨をすると思わぬトラブルに発展することもありますので、事前にしっかり話し合いましょう。

【手順2】分骨証明書の発行

納骨しているお墓や納骨堂の管理者から「分骨証明書」を発行してもらいます。お墓や納骨堂の管理者とは、お寺の場合は住職、民間の霊園の場合は運営会社の責任者、公営の霊園の場合は自治体の職員です。

【手順3】日程の調整

分骨のために遺骨を取り出す日程をあらかじめ決めます。墓石を動かすために石材店に依頼しないといけない場合がありますので、日程を調整します。

【手順4】遺骨を取り出し、分骨を行う

遺骨を取り出す当日は、まず閉眼供養を行い、次に遺骨を取り出してもらいます。分骨が終了したら、遺骨を元のお墓や納骨堂に戻し、開眼供養を行います。

【手順5】分骨証明書と遺骨を渡す

分骨先の管理者へ分骨証明書と遺骨を渡して、開眼供養を行います。

分骨にかかる費用

分骨にかかる費用

火葬場で分骨する場合

分骨の数分の骨壺の料金と「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」の発行手数料がかかります。証明書の発行手数料は各自治体によって金額が異なりますが、一般的には1通300円程度です。なお、分骨した遺骨をどのように供養するかによって、分骨後の費用は異なります。

納骨されている遺骨を分骨する場合

遺骨を分骨する「分骨証明書」の発行手数料が1通100円程度かかります。開眼費用や閉眼費用は1万〜3万円が目安で、墓石を動かす費用としておよそ2万〜3万円がかかります。これらの費用は一般的な目安ですので、日程を調整するタイミングで金額を確認しておくとよいでしょう。

分骨の際に気をつけるポイント

分骨の際に気をつけるポイント

分骨は法律的にも仏教的にも問題がなくても、分骨に対する考え方は人それぞれです。分骨後のトラブルを避けるために、知っておくべきいくつかのポイントがあります。

(1)親族で事前にしっかり話し合う

親族の中には、分骨は良くないことと思っている方もいるかもしれません。分骨の際は、分骨についてしっかり説明し、全員に納得していただいてから手続きしましょう。同意が得られないまま分骨を進めてしまうと、後々周りから反発されてしまうことも考えられます。

(2)分骨後の供養の方法を事前に決める

分骨後は供養の方法はどうするか、どなたが遺骨を管理するのか、管理できなくなったときはどうするかなど、親族で先々のことを決めておきます。

(3)分骨しても法要はいつも通りに

法要は故人を偲び冥福を祈る儀式ですから、代々のお墓で行っても分骨したときに新しく建てたお墓で行ってもかまいません。両方で重ねて行ってもかまいません。

分骨後の供養の方法

分骨後の供養の方法

分骨の際は、その後どのように供養していくかをあらかじめ決めておかなければなりません。供養にはさまざまな形がありますので、主な方法についてその特長を紹介します。

永代供養

永代供養(えいたいくよう)とは、遺族の代わりにお寺や霊園がお墓や納骨堂を管理し、供養してくれる方法です。少子高齢化や核家族化などにより、お墓を継ぐ人がおらず、お墓の管理ができないといったケースが増えてきました。そんな場合は永代供養にすると、お寺や霊園がお墓の管理や法要を行ってくれるため、後々の心配がありません。永代供養にすると新たにお墓を建てるよりも費用がかからず、遺骨を納めたお寺の檀家になる必要もありません。ただし、一定期間を過ぎると合祀(他の遺骨とまとめて埋葬されて供養)になるケースがありますので、検討の際に注意が必要です。

樹木葬

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木をシンボルとして遺骨を埋葬する方法です。豊かな自然の中で、緑に囲まれゆっくりと眠りたい。そんな故人の想いをかなえる永代供養のお墓として、近年は注目が集まっています。ただし樹木があればどこでも納骨できるわけではなく、都道府県から許可された正式な墓地でなければ納骨できません。樹木葬を考えている場合には、事前に自治体に問い合わせて正式な許可を確認しましょう。

海洋散骨

海洋散骨とは、遺骨を粉末状にして海に撒く方法です。近年、海が好きだった故人の想いをくむ方法として海洋散骨を選ぶ方も増えていますが、これまでなかった新しい弔いの方法ですから、プラスチック製の遺品などは海に投げ込まないなど、きめ細かい配慮が必要です。また自治体によって散骨できるエリアも決められていますから、海洋散骨を行う場合は事前に自治体へ確認し、周辺の方々とトラブルにならないよう注意しましょう。

手元供養

分骨した遺骨をお墓などに納骨せず、手元に置いて供養する方法です。手元供養のメリットは自宅の広さやライフスタイルに合わせてミニ仏壇やミニ骨壺を置いて供養できることです。故人をいつでも身近に感じることができ、いつでも手を合わせることができます。遺骨をペンダントや指輪にして常に持ち歩くこともでき、供養の仕方も選択肢が広がっています。ただし遺骨を真空パックへ封入するなどの工夫をしないと遺骨が傷んでしまった、カビが発生したといったこともありますので、工夫をしましょう。

分骨のご相談|無料相談会を実施

分骨のご相談|無料相談会を実施

分骨のご相談をする様子

とくに西国に多い習慣として、本山納骨があります。関西より西の地域では、小さな骨壺を別に用意し、その骨壺に入れた遺骨を本山に納めるということもよくみられます。つまり分骨は当たり前のこととして古くから行われていました。分骨の習慣がない関東の方にとっても、お墓は遠い田舎にあってなかなか供養できないという方や、お墓を継ぐ人がいないため永代供養にしたいという方などは、分骨を行うことで故人を身近に偲ぶことができるでしょう。證大寺では、このようにメリットの大きい分骨をどのような形で行うとよいのか、それぞれの方の実情に合わせてアドバイスいたします。證大寺には永代供養墓があり、後継ぎのいらっしゃらない方も安心して供養できます。藤と桜で弔う樹木葬や納骨堂、一般墓もあり、きっと皆様のお悩みにお応えすることができるでしょう。分骨のことをもっと知りたい方、分骨をしたいけれどどのようにしたらよいか悩んでいる方、少しでも分骨に興味を持たれた方は、お気軽にお電話ください。

まとめ

まとめ

分骨して、遺骨を手元に置きたいという想いは、故人といつも近くでつながっていたいという想いからではないでしょうか。故人も遠くのお墓で家族と離れているよりも、すぐそばで残された家族の幸せを見守っていたいはずです。「分骨はよくないことでは」と考える人も、それは故人に成仏してもらいたいと、故人のことを思えばこその気持ちからでしょう。そんな方にこそ分骨の正しい知識を知っていただき、身近で供養することにより故人を思い出す機会を増やしていただきたいと思います。紹介しましたように、分骨後の供養の方法はさまざま。それぞれの家の事情に合わせて供養の方法を選び、やすらぎのある毎日を送っていただきたいと思います。

分骨に関する監修
仏教人生大学 講師
目﨑 明弘

PROFILE
證大寺 森林公園別院に所属。18歳から28歳まで京都の大谷大学で仏教を学ぶ。その後、真宗大谷派の本山である東本願寺の同朋会館で五年間勤務。現在は、銀座別院等で講師を担う。

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