墓じまいは市役所に相談できる?手続きの流れと必要書類・費用目安を解説

お墓

お墓をどうするかは、ご家族にとって大切な問題です。墓じまいを考え始めたとき、「市役所に相談できるのだろうか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。ここでは市役所の役割と、手続きの流れについて、順を追ってご説明します。

目次
●墓じまいで市役所に相談は必要|役割と担当窓口を解説
●【墓じまいの進め方】市役所での手続きを含む4つの流れを解説
●市役所での手続きに必要な書類一覧と費用目安
●市役所へ行く前に!確認すべき6つの注意点
●證大寺のご案内
●まとめ|墓じまいの市役所手続きは「準備」と「順番」がポイント

墓じまいで市役所に相談は必要|役割と担当窓口を解説

墓じまいで市役所に相談は必要|役割と担当窓口を解説

墓じまいを思い立ったとき、その第一歩として市役所(役場)を思い浮かべる方は多いかもしれません。ですが、市役所がどのような役割を担っているのか、ご存じない方もいらっしゃるでしょう。まずは、市役所との関わり方について、確認しておきましょう。

市役所は墓じまいの「手続き」の窓口、悩み相談は専門外

墓じまいに関する市役所の主な役割は、「行政手続き」の窓口となります。
具体的には、「墓地、埋葬等に関する法律」という法律に基づいて、「改葬許可申請」と呼ばれる書類を受理し、「改葬許可証」を発行するところです。
そのため、「墓じまいをすべきか悩んでいる」「お墓を移す先はどこがいいか」「親族と意見が合わない」といった、墓じまいそのものに関するお悩みやご相談には、原則としてお応えすることが難しい場所とされています。市役所はあくまで、法的な手続きを行う場所である、と心得ておくとよいでしょう。

なぜ市役所の改葬許可の手続きが必須なのか

では、なぜ市役所で改葬許可の手続きが必ず必要になるのでしょうか。
それは、お墓に納められているご遺骨を、別の場所へ勝手に移動させることが法律で禁じられているためです。現在のお墓からご遺骨を取り出し、新しい納骨先へ移す改葬には、必ず「改葬許可証」が必要となります。
もし、この改葬許可証がないままご遺骨を動かしてしまいますと、法律に触れてしまう可能性も否定できません。故人を大切に供養するためにも、市役所での正しい手続きを踏むことが不可欠なのです。

市役所の担当窓口は自治体によって異なる

実際に手続きを進めるにあたり、市役所のどの窓口を訪ねればよいのでしょうか。
これは、お住まいの自治体によって担当する課の名称が異なります。たとえば、「環境衛生課」「保健衛生課」といった衛生管理に関わる課が担当することもあれば、「住民課」「戸籍課」「市民課」といった皆様の暮らしに関わる課が窓口となることもあります。
例を挙げますと、東京都江戸川区では「くらしの窓口課」、埼玉県東松山市では「市民健康課」、千葉県船橋市では「保健所 衛生指導課」などが、改葬許可申請の主な窓口とされています。
このように自治体によって異なりますので、訪問される前には、必ずお電話や自治体のホームページなどで、「改葬許可申請の担当窓口」がどこかを事前に確認されることをお勧めします。

【墓じまいの進め方】市役所での手続きを含む4つの流れを解説

【墓じまいの進め方】市役所での手続きを含む4つの流れを解説

市役所で行う手続きは、墓じまい全体のプロセスの中の一部です。ここで慌てたり、二度手間になったりしないよう、市役所での手続きを中心とした全体の流れを、4つのステップでご紹介します。

ステップ1:【市役所へ行く前】改葬先を決め、「受入証明書」をもらう

市役所で手続きを行う「大前提」として、まず先に、改葬先(新しい納骨先)を決めておく必要があります。
永代供養墓や納骨堂、樹木葬など、ご家族が安心できる場所を選び、そこから「受入証明書」や「墓地使用許可証」といった、「確かにこちらでご遺骨を受け入れます」という証明の書類を発行してもらいます。
多くの場合、この「受入証明書」がなければ、市役所は改葬許可の申請を受理することができません。まず先に、新しいご縁の場所を決めることが大切です。

ステップ2:現在の墓地がある市役所で「改葬許可申請書」を入手する

改葬先が決まりましたら、次に「改葬許可申請書」という書類を入手します。
ここで大切なのは、「現在お墓がある」自治体の市役所(役場)でもらう、ということです。ご自身の住民票がある場所とは限りませんので、ご注意ください。申請書は、担当窓口で直接受け取るか、自治体のホームページからダウンロードできる場合もあります。

ステップ3:現在の墓地管理者に「埋蔵証明」をもらう

ステップ2で入手した「改葬許可申請書」には、多くの場合、「確かにこのお墓にご遺骨が納められています」という証明を、現在の墓地の管理者が記入する欄があります。
現在のお墓がお寺の境内にある場合はご住職に、霊園の場合は管理事務所に依頼し、「埋蔵(収蔵)の事実証明」として、署名や捺印をいただきます。

ステップ4:市役所に必要書類を提出し、「改葬許可証」を受け取る

最後に、ステップ1から3で揃えた全ての書類を、ステップ2で訪ねた市役所(現在お墓がある自治体)の担当窓口に提出します。
提出する書類は、主に以下のものです。
1.改葬許可申請書(現在の墓地管理者の証明印があるもの)
2.受入証明書(新しい納骨先が発行したもの)

これらの書類に不備がなければ、申請は受理されます。審査を経て、「改葬許可証」が交付されます。この許可証が発行されるまでの期間は、自治体によりますが、即日のこともあれば、1週間ほどかかる場合もあるようです。

市役所での手続きに必要な書類一覧と費用目安

市役所での手続きに必要な書類一覧と費用目安

市役所での手続き(改葬許可申請)には、いくつかの書類を揃える必要があります。事前に確認し、落ち着いて準備を進めましょう。ここで、一般的に必要とされる書類と、費用の目安についてご説明します。

墓じまいの行政手続き 必要書類チェックリスト

自治体によって細かな違いはありますが、主に必要となるのは以下の書類です。読者の皆様が具体的に準備できるよう、一覧にまとめました。
1.改葬許可申請書
現在お墓がある自治体の市役所(役場)窓口、またはホームページから入手します。
2.受入証明書(または墓地使用許可証)
新しい納骨先(改葬先)となるお寺や霊園から発行してもらいます。
3.埋蔵(収蔵)証明書
現在のお墓の管理者(お寺のご住職や霊園の管理事務所)から発行してもらいます。
「1.改葬許可申請書」の書式の中に、管理者が署名・捺印する欄として一体化している場合も多くあります。
4.申請者の本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカード、健康保険証など、ご本人であることを証明するものです。
5.認印(申請書に押印するため)
申請書への押印に必要です。シャチハタは不可とされることが一般的です。

上記に加え、状況に応じて次のような書類が必要になる場合があります。

墓地使用者(名義人)の承諾書や委任状
お墓の名義人の方と、今回申請する方が異なる場合に必要となることがあります。
故人との関係性を証明する書類(戸籍謄本など)
申請者と、お墓に納骨されている故人とのご縁(続柄)を証明するために、戸籍謄本などの提出を求められる場合があります。

必要な書類は、必ず事前に申請先の市役所(役場)にご確認ください。

各書類の発行手数料の目安

手続きに際しては、手数料などの費用も発生します。
改葬許可証の発行手数料
こちらは自治体によりますが、無料、あるいは1通につき数百円程度(例:300円など)とされています。
その他の証明書発行にかかる実費
戸籍謄本や除籍謄本などを取得する必要がある場合、1通につき300円から750円程度の実費が必要となります。

市役所へ行く前に!確認すべき6つの注意点

市役所へ行く前に!確認すべき6つの注意点

市役所での手続きをスムーズに進め、後々の「しまった」を防ぐために、事前に心に留めておきたい6つの注意点があります。手続きで二度手間になったり、思わぬトラブルになったりしないよう、一つずつ静かに確認してみましょう。

1.親族間の合意を必ず済ませておく

これが、手続きを始める前段階で最も大切なことかもしれません。お墓は、ご家族やご親族皆様にとって大切な心の拠り所です。
市役所は、あくまで提出された書類が法的に整っているかを確認する場所であり、ご親族間の感情的な問題や意見の相違には介入することができません。書類さえ揃っていれば、許可証は発行されます。
しかし、皆様の合意がないまま墓じまいを進めてしまうと、後々、取り返しのつかない深刻なトラブルに発展してしまうことも少なくありません。「なぜ相談してくれなかったのか」というお声も聞かれます。手続きを具体的に進める前に、必ず関係する皆様と丁寧にお話し合いの場を持ち、皆様が納得できる形での合意を得ておくことが、何よりも重要です。

2.改葬先の「受入証明書」を先に用意する

これは前のステップでも触れましたが、とても大切なことなので、あらためてお伝えします。市役所での改葬許可申請には、ご遺骨の「次の行き先」が決まっていることを証明する「受入証明書」が必須です。
「とりあえず先に許可証だけ」というわけにはいかないのです。市役所へ足を運んだのに、この書類がなく申請が受理されず、二度手間になってしまった、ということもあり得ます。必ず、改葬先を決定し、「受入証明書」を手元に用意してから、市役所の窓口へ向かいましょう。

3.相談先は「現在お墓がある」自治体が申請先になる

手続きに関して疑問点を確認したり、申請書を提出したりする窓口は、ご自身の「住民票がある」市役所ではありません。「現在お墓が所在する」自治体の市役所(役場)が申請先となります。
たとえば、ご自身は東京都在住でも、お墓が埼玉県東松山市にある場合は、東松山市役所が担当窓口となります。この点を間違えてしまうと、せっかく訪ねても手続きができませんので、ご注意ください。

4.遺骨一体につき一枚の申請が必要な場合がある

お墓の中に、複数名のご遺骨(ご先祖様)が納められていることは一般的です。その全てのご遺骨を改葬する場合、申請書の書き方や必要な枚数が自治体によって異なることがあります。
「ご遺骨一体につき、一枚の申請書が必要」とされる場合もあれば、一枚の申請書に複数名分を記入できる場合もあります。故人様のお名前や死亡年月日などを正確に記入する必要もありますので、複数名を改葬する場合は、事前に申請方法を市役所に確認しておくと安心です。

5.遠方の場合は郵送申請の可否を確認する

現在のお墓がご自宅から遠方にある場合、手続きのために何度もその自治体の市役所へ足を運ぶのは、大きな負担となり得ます。
自治体によっては、改葬許可申請を郵送で受け付けてくれるところも増えてきています。もしお墓が遠方にある場合は、申請先の市役所に電話などで、「郵送での申請は可能か」「その場合の手順や必要書類は何か」を事前に調べておくと、とても便利です。

6.自治体の補助金(助成金)制度を確認する

これは稀なケースではありますが、知っておいていただきたい点です。自治体によっては、管理されなくなったお墓(無縁墓)を減らす対策の一環として、「墓地返還」や「墓石の撤去」に対して、費用の一部を助成する制度(補助金)を設けている場合があります。
すべての自治体にあるわけではありませんが、改葬許可申請の担当窓口で、「墓じまいに関する助成制度などはありますか?」と、ひと言尋ねてみてもよいかもしれません。

證大寺のご案内

證大寺のご案内

墓じまいの費用や、ご家族・ご親族との話し合いの進め方について、ここまでご紹介してまいりました。しかし、実際にご自身の状況に当てはめてみると、どのように進めたらよいか、どなたに相談すべきか、迷われることも多いかと存じます。

墓じまい相談の実績と専門知識

私たち證大寺(しょうだいじ)は、これまで1,000件を超える墓じまいや改葬(お引越し)に関するご相談をお受けしてまいりました。
人生の大きな節目である墓じまいを、皆様が安心して進められますよう、経験豊富なスタッフが皆様のお気持ちに静かに寄り添い、お手伝いをさせていただきます。費用のお悩みから、お手続きの具体的な流れ、ご親族へのご説明の仕方まで、どのようなことでもお気軽にお尋ねください。

改葬先の選択肢としての霊園拠点

證大寺では、墓じまい後の新しいご供養の場所として、様々な選択肢をご用意しております。
・證大寺 江戸川本坊(東京都江戸川区)
・森林公園 昭和浄苑(埼玉県東松山市)
・船橋 昭和浄苑(千葉県船橋市)
いずれも、お墓参りのしやすい環境を大切にした霊園です。永代供養墓や樹木葬など、現代の多様なニーズにお応えできるご供養の形をご提案しております。

安心のサポート体制(無料相談会・宗派不問)

皆様のお悩みに、より丁寧にお応えするため、證大寺では「無料相談会」を随時開催しております。まずは皆様のお話をじっくりとお伺いすることから始めさせていただきますので、どうぞお気軽にご参加ください。
また、證大寺の永代供養墓は、宗旨・宗派を問わず、どなたでもお受け入れしております。これまでのお寺様が異なる宗派であった場合でも、何ら心配はいりません。ご先祖様を大切に想うお気持ちを、そのままお持ちいただければと思います。
墓じまいは、皆様のご事情や想いによって、その形もさまざまです。證大寺は、皆様が納得のいく新たな一歩を踏み出すための、信頼できるパートナーでありたいと願っております。

ご相談について詳しくは、下記までメールでお問合せください。
edogawa_hp@sinran.com

まとめ|墓じまいの市役所手続きは「準備」と「順番」がポイント

「墓じまいの相談を市役所で」とお考えになった方へ、市役所の役割と手続きの流れについてお伝えしてまいりました。
市役所は、悩みや不安を「相談」する場所というよりも、法律に則って「手続き(改葬許可申請)」を行う場所である、ということがお分かりいただけたかと存じます。
そして、その市役所での手続きを滞りなく、スムーズに進めるためには、
1.ご親族、関係者の皆様との事前のお話し合いと合意
2.改葬先(ご遺骨の新しい行き先)を先に決定し、「受入証明書」をもらっておくこと

この二つの「事前の準備」と「順番」が、何よりも鍵となります。
市役所での手続きは、墓じまいという大切な節目における、プロセスの一部に過ぎません。全体の流れや費用、新しい供養の形の選び方、そして何よりご家族のお気持ちの整理など、もし何か心に掛かることやご不安な点がございましたら、證大寺のような専門家を頼ることも、どうぞご検討ください。
皆様の墓じまいが、ご先祖様への感謝と、これからのご家族の安心につながる、大切な一歩となりますよう、心よりお祈りしております。

市役所での墓じまいのご相談に関する監修
仏教人生大学 講師
目﨑 明弘

PROFILE
證大寺 森林公園別院に所属。18歳から28歳まで京都の大谷大学で仏教を学ぶ。その後、浄土真宗大谷派の本山である東本願寺の同朋会館で五年間勤務。現在は、銀座別院等で講師を担う。

関連記事一覧