浄土真宗の法事とは?法事での準備から当日の流れまで徹底解説

仏教での法事は、実は宗派によって作法などに微妙な違いがあります。特に浄土真宗は、その教えから他の宗派とは異なる作法が多いといわれています。現在では作法を厳密に考える人は減ってきています。とはいえ浄土真宗の法事や法要を開催したり参列したりするなら、その作法に従えるよう知識を得ておくことが望ましいでしょう。
目次
●浄土真宗の法事とは
●浄土真宗の法要の種類
●浄土真宗の法事での準備
●浄土真宗の法事当日の流れ
●浄土真宗「證大寺」の法事
●まとめ
浄土真宗の法事とは
浄土真宗の法事や法要について理解するには、まず浄土真宗ならではの教えを知る必要があります。仏教のほかの宗派では、人が亡くなると七日ごとに裁きがあり、四十九日目に極楽浄土に行けるかどうか最終審判が下されるとされています。しかし浄土真宗には、そのような考えはありません。
浄土真宗における法事の意味と目的
浄土真宗には「臨終即往生」という考えがあります。これは「人はなくなるとすぐに仏様になる」というものです。
ほかの仏教の宗派では、人が亡くなると七日ごとに裁きがあり、四十九日目に極楽浄土に行けるかどうか判断されるとされています。そのため追善供養として法要が行われます。
しかし浄土真宗では亡くなってすぐに仏様になるため、追善供養を行う必要はありません。とはいえ法要が不要というわけではなく、ほかの宗派とは異なる目的で浄土真宗の法要は営まれます。
浄土真宗ならではの特徴
浄土真宗の法要の目的は、故人を偲びつつ「仏様になれるよう導いてくれた阿弥陀如来に感謝する」という意味で行われます。また法要は遺族が浄土真宗の教えを僧侶から聞く場となり、浄土真宗の教えを深く理解する機会とするという目的もあります。このような意味や目的が、ほかの宗派とは異なる大きな特徴といえるでしょう。
浄土真宗の法要の種類
浄土真宗では、ほかの宗派と考え方に違いがあるものの、法要や法事は同様に行われます。
ちなみに法要とは、故人の冥福を祈って読経や焼香などを行う仏事をさします。法事は法要のほか、その後の会食なども含めた行事全般を指す言葉となっています。
忌中の法要
忌中の法要としては、通夜、葬儀、初七日、四十九日があります。忌中とは故人が亡くなって忌明けまでのことです。初七日以降の法要は、本来は二七日(ふたなぬか)三七日(みなぬか)…と七日ごとに行われます。しかし現代では初七日と四十九日に法要を行い、その他は略されることが多くなっています。四十九日法要は、この法要をもって忌明けとなることから「忌明け法要」とも呼ばれています。
年忌法要
年忌法要とは、故人の祥月命日に行われる法要のことです。亡くなって1年目は一周忌と呼ばれ、亡くなってから2年目は三回忌となります。主な年忌法要は下記の表の通りです。
一般的には遺族以外が参列するのは七回忌までで、十三回忌以降は遺族だけで行うことが多いようです。また三十三回忌を最後の年忌法要として「弔い上げ」するのが一般的です。ただし弔い上げの時期は決まっているものではなく、地域の習慣やお寺の考えなどによって異なることもあります。
【年忌法要】
一周忌 | 亡くなって1年後 |
---|---|
三回忌 | 亡くなって2年後 |
七回忌 | 亡くなって6年後 (7度目の命日) |
十三回忌 | 亡くなって12年後(13度目の命日) |
十七回忌 | 亡くなって16年後(17度目の命日) |
二十三回忌 | 亡くなって22年後(23度目の命日) |
二十七回忌 | 亡くなって26年後(27度目の命日) |
三十三回忌 | 亡くなって32年後(33度目の命日) |
その他の法要
最初の年忌法要となる一周忌の前に、百箇日法要が行われます。百箇日法要は忌明け後の最初の法要で、遺族が再び一歩を踏み出すための節目という意味があるとされています。このほか春と秋のお彼岸の法要、お盆の法要も営まれるのが一般的です。
浄土真宗の法事での準備
浄土真宗でも法事を催すとなると、事前の準備が必要です。特に家族以外を招待する場合は、しっかり準備するようにしましょう。ただし地域やお寺によって準備の内容が異なる場合があるので、事前に菩提寺や親族などに相談しておくと安心です。以下では一般的な準備について紹介していきます。
【1ヵ月前まで】スケジュールを調整して案内を出す
まずは菩提寺と相談して日時と場所を決めましょう。親族や故人の友人などを招待する場合は、法事の日程や会場を記載した案内状を送ります。法事を斎場などで行う場合は、供花やお供物を遺族側で用意するのかなどの確認もしておきましょう。
【2週間前まで】会食場の予約や返礼品の準備
参列者の人数がわかったら、法要後の会食場の予約などを行います。また香典のお礼となる返礼品の準備も行いましょう。返礼品はお菓子の詰め合わせなど消え物が一般的ですが、最近ではカタログギフトを後で手配して送るというケースもあります。
【前日まで】お供え物やお布施など
法事を自宅で行う場合は、仏壇を掃除してお供物や供花、線香やろうそくなどを用意しましょう。また僧侶に渡すお布施も、前日までに準備しておくのがおすすめです。僧侶に自宅などまで来てもらう場合は、お布施とは別にお車料も用意するのが通例です。
また当日の服装の準備もしておきましょう。施主や遺族は三回忌までは正喪服か準喪服、三回忌以降は略喪服を身につけるのがマナーです。このほか数珠も忘れないように用意しておきましょう。
チェックリストの作成
法事の準備を始める前にチェックリストを作成することをおすすめします。チェックリストがあれば「いつ、なにを行うか」が一目瞭然となり、やり忘れる心配がありません。同時に当日の流れもリスト化しておけば、つつがなく法事を行う助けにもなります。
浄土真宗の法事当日の流れ
法事の準備とともに、法事がどのような流れで進むのか知っておくことも大切です。一般的な当日の流れを紹介します。
僧侶の入場、施主の挨拶
法事当日は、遺族や参列者が集まったら、僧侶が入場する前に着席しておきます。席順は施主が一番前で、故人との血縁が濃い親族から順番となるように座ります。僧侶が入場したら仏壇の正面に案内し、施主が法事開催の挨拶を行います。挨拶の内容は参列への感謝と、誰のためのどんな法要かを述べる程度で、簡潔なものになるようにしましょう。
僧侶による読経と焼香
挨拶が済んだら、僧侶が読経を始めます。読経の途中で僧侶から合図があるので、焼香を行います。焼香の順番は施主が最初で、その後は故人との縁が深い順番となります。焼香と読経が終わった後には、僧侶は法話を行います。法話が終わったら僧侶は退場し、法要が終了となるのが一般的です。施主は参列者に法要が終わった旨の挨拶をし、会食をする場合はその案内を行うようにしましょう。
お布施を渡すタイミング
お布施は法要の前、僧侶がやってきて挨拶する際などに渡すのが一般的です。ただし法要前に渡すことができなかった場合は、法要後でもかまいません。包んでいた袱紗の上に置いてお渡しするか、切手盆にのせて渡すのがマナーとなっています。
法要後の会食
会食場では施主は上座、遺族や親族は下座に座るのが通例です。僧侶が会食に参加する場合は、施主の横の最上座に座ってもらいます。基本、席へは施主や遺族が参列者を席に誘導するものですが、大規模な場合は参列者が迷わないように席札をたてるのもおすすめです。会食の前に施主は挨拶して、参列のお礼を述べてから会食を開始するようにします。また食事や歓談の間に施主は参列者の席を回り、個別にお礼をいったり挨拶したりするのが一般的です。会食が終わったら施主が締めの挨拶を行い、返礼品を用意していればその案内もします。施主の挨拶をもって、法事は終了となります。終了後、施主や遺族は参列者を見送るようにしましょう。
浄土真宗「證大寺」の法事
写真:森林公園昭和浄苑にて苑内の説明する様子
東京都江戸川区にある證大寺は、浄土真宗大谷派のお寺です。證大寺は森林公園昭和浄苑、船橋昭和浄苑という霊園を直接運営しており、どちらにも本堂があって僧侶が常駐しています。證大寺、2つの昭和浄苑とも、通夜や葬儀のほか四十九日法要などの法事も開催することができます。
浄土真宗の教えに基づいた、心のこもった供養
證大寺や昭和浄苑では、浄土真宗の教えに基づいた作法で葬儀や法事を執り行うことができます。葬儀や法事はなにかと準備が大変ですが、證大寺と昭和浄苑で行う場合は、葬儀では職員が親身に寄り添ってサポートしてくれる体制が整っています。また法事でもお供物や供花から会食や返礼品まで、施主側で手配すべきことを代わりに行ってくれて、おまかせすることができます。葬儀や法要は本堂で営まれるため、斎場や自宅とは違ったお寺ならではの荘厳な雰囲気があります。どこか特別感のある、心のこもった供養になります。
移動も少なく、参列者からも好評
證大寺にも昭和浄苑にも「お斎場」と呼ばれる会食場があるので、バスを手配して会食場まで移動するといった面倒もありません。お墓参りをする場合もすぐ側なので、高齢の参列者がいても安心です。移動が少ない葬儀や法事となり、参列者からも好評を得ています。
法事は「故人の願いを知り、自分を見つめ直す機会」
證大寺の方に話を伺ったところ、最近では葬式や法事をしないケースもあるといいます。その理由は、かつては親や親族から伝えられてきた法事の大切さが、伝えられなくなったためではないかと思われるそうです。「法事とは、故人のために行うものと考えがちですが、実はそればかりではありません。残された人に悔いなく生きてほしいと故人が願っている、そのことを確認する大切な機会です」。法事とは『故人の願いを通して、安心して自分を見つめ直す機会』といえるのでしょう。
證大寺ではお寺で葬儀や法事を行いたい場合はもちろん、法事についての質問なども受け付けているので、関心のある方は相談してみてはいかがでしょうか。
>法事のご相談はこちらまで
證大寺:https://shoudaiji.or.jp/
證大寺 江戸川:https://edogawa2.eitaikuyou.life/
森林公園 昭和浄苑:https://higashimatsuyama2.eitaikuyou.life/
船橋 昭和浄苑:https://funabashi2.eitaikuyou.life/
まとめ
浄土真宗は他の宗派とは考え方が大きく異なる部分がありますが、いつどんな法要を行うかについては大幅に変わることはありません。法事を行うとなると、準備段階から当日までやるべきことが多くあります。施主や遺族として催す側になった時に慌てないよう、日頃から知識を身につけておきたいものです。