皆さんこんにちは。「お寺の掲示板」の時間です。この時間は、毎月一つの言葉を、仏教で捉えるとどうなるのか、ということをお話しさせていただくお時間です。
今月の言葉は「安心」でございます。
さて、皆さんはどういう時に「安心」を感じますか。例えば昔、小学校で宿題をやって行かなかった時に、同じようにやっていない友達を見つけて安心する、
という経験はありませんか?しかしそんな安心もつかの間、すぐにまた不安のもとが次から次に起きてくるものです。
仏教では「あんしん」を「あんじん」と読みます。「あんじん」とは、不安や苦しみの中に身を置きながらも、そのなかで平気で生きていける心の有り様をあらわすお言葉です。
私たちは不安や苦しみを解消するために、何かに没頭して不安から目をそらそうとしてしまいます。しかしそれは、本当の解決にはなっていません。
そのことを、お釈迦さまはこのような譬えでしめされました。
『ある時、人が毒の塗られた矢に射られたとしよう。医者がかけつけて、その毒矢を抜こうとしたところ、矢に射られた人が「この矢を射たのは一体だれであるのか。
弓や弦はどのようなものでできているのか。矢羽は、どんな鳥の羽であるのか。
それらが分からないうちは矢を抜いてはならない」と言ったならどうなるだろう。
その人は、それが分かる前に全身に毒がまわって死んでしまう。その人に必要なのは、まず毒矢を抜き、その傷口に薬を塗って手当てをすることである』と語られたのです。
これは有名な「毒矢のたとえ」というお釈迦さまのお説法です。
本当の安心を得るためには、不安な気持ちをごまかすことなく、不安な気持ちをおこさせる根本的な原因を取り除き、治療することが必要です。
そのために仏さまの教えがあるのです。仏さまの教えを聞くことにより、不安のなかにありながらも不安とともに生きていける本当の「あんしん」である「あんじん」の心がいただけます。どうぞ、あなたの心の奥深くまで突き刺さった毒矢を抜き、深く傷ついたあなたの心の痛みに薬を塗って直そうとする仏さまの願いをともに聞いてまいりましょう。
春江町の證大寺では、一年中休むことなく、毎朝8時半から「お経と法話の会」が勤まっております。参加費・予約不要で、どなたでも自由にご参加いただけますので、是非お参りください。
お問い合わせは03-3653-4499まで。