法事に参列する時の持ち物は?参列者側の服装やマナーについて解説

法事

法事は故人が亡くなった節目ごとに行われるものです。一般的には一周忌や三回忌などの集まりを指し、近親者やごく親しい人が招かれます。法事には作法やマナーがあり、大切な行事だけに失礼がないように心がけたいものです。そこで法事に招待された時の対応から、参列当日の持ち物や服装、香典等の相場などについて詳しく説明します。

目次
●法事に参列する時の心得
●【参列者側】法事で用意するものと持ち物リスト
●法事に参列する時のマナー
●まとめ
●證大寺の法事|ご相談ください

法事に参列する時の心得

法事に参列する時の心得
法事とは、四十九日などの忌日法要や一周忌や三回忌などの年忌法要のほか、その後に行われる会食なども含めた一連の行事のことを指します。通夜や葬儀とは違って、招待を受けた場合のみ参列するというものです。近年では内輪だけで済ますことも多く、施主側の都合や考えもあるので、参列の招待を催促するような行動は慎むようにしましょう。
法事の招待は、通常は遺族から郵送で案内状が届きます。ただし最近では、ごく内輪の場合は電話やメール等で連絡がくる場合もあります。また招かれた場合は、できる限り出席するのが礼儀となっています。

法事に参列できない場合はできるだけ早く欠席の連絡を行うこと

法事に参列できない場合はできるだけ早く欠席の連絡を行うこと
法事は故人を供養する大切な行事のため出席するのが基本ですが、どうしても調整がつかず参列できない場合もあるでしょう。やむを得ない理由で出席できない場合は、できるだけ早く遺族など施主側に欠席の旨を伝えるようにしましょう。
また欠席する場合でも、香典やお供え物などを送るのが丁寧な対応であるとされています。

返事のタイミングは?

施主から案内状が送付されたら、速やかに返信するのがマナーです。施主は出欠を確認してから、会食や返礼品の手配を行う必要があるためです。案内状には出欠の返信はがきが同封されていることが多いので届いたらできるだけ早く、少なくとも1週間以内には返信するようにしましょう。
欠席する場合は直接電話して欠席する旨を伝えた上で、欠席の返信を送るようにします。

出欠の返信の書き方とは

出欠の返信の書き方とは
法事の案内状の返信はがきを出す際、出欠の返信の書き方にもマナーがあります。出欠のどちらかに丸を付けて送るだけでは失礼にあたるので、マナーを守った返信となるように心掛けましょう。

出席の場合

出席する場合のはがきの書き方は以下のようになります。
【宛先面】
・施主の氏名の最後にある「○○○○行」の「行」を二重線で消してから、「様」に書き直します。
【裏面】
・「御(ご)出席」の文字の「御(ご)」だけを二重線で消し「出席」の2文字のみをまるで囲みます。
・「御(ご)欠席」の文字を全て二重線で消します。
・「御(ご)住所」の「御」だけを二重線で消した上で、住所を記入します。
・「御(ご)芳名」の文字を全て二重線で消した上で、氏名を記入します。
裏面に余白があれば、招待のお礼などのコメントを添えると丁寧な印象になります。ただし余白がないなどの場合は、無理に記入しなくてもかまいません。

欠席の場合

欠席する場合は、先に電話等で連絡した上ではがきを送るようにします。はがきの書き方は以下のようになります。
【宛先面】
・施主の氏名の最後にある「○○○○行」の「行」を二重線で消してから、「様」に書き直します。
【裏面】
・「御(ご)出席」の文字を全て二重線で消します。
・「御(ご)出席」の文字の「御」だけを二重線で消し「欠席」の2文字のみをまるで囲みます。
・「御(ご)住所」の「御」だけを二重線で消した上で、住所を記入します。
・「御(ご)芳名」の文字を全て二重線で消した上で、氏名を記入します。

裏面に余白があれば、欠席するお詫びを記入するようにしましょう。さらに別途でお詫び状とともに香典やお供え物などを送ると、より丁寧な対応となります。

【参列者側】法事で用意するものと持ち物リスト

【参列者側】法事で用意するものと持ち物リスト
法事は頻繁にあるものではないため、何を持参すればいいのか戸惑うこともあるでしょう。しかし法事は仏事であり大切な儀式であるので、失礼がないように注意して用意するようにしましょう。

【法事の持ち物1】香典もしくはお供え物

法事に参列する際、参列者は香典やお供え物を持参するのが一般的です。香典は線香や抹香などお供え物の代替品とされていています。
香典のほかにお供え物を持参する場合もあります。お供え物は果物、生花などのほか、日持ちがする菓子なども人気があります。また香典ではなく「御供物料」として現金を包む場合もあります。

【法事の持ち物2】数珠

法事では法要が行われるので、必ず数珠を持って行くようにしましょう。読経や焼香の時に使う欠かせない仏具です。貸し借りはしてはいけないものなので忘れないように、もし持っていないなら法事を機会に購入するようにしたいものです。

【法事の持ち物3】親族も持ち物は共通

親族として参列する場合も、他の参列者と持ち物はほとんど変わりません。ただし香典の金額は親族の方が高額になるのが一般的です。いくら包んでいいかわからない場合は、自分と立場の近い人に相談して合わせるようにするのもよいでしょう。

法事に参列する時のマナー

法事に参列する際は故人や遺族に失礼がないように、知識を得てマナーを押さえておくことが大切です。服装などのマナーのほか、お供え物、香典の相場などについて説明します。

法事に適した服装

法事に適した服装
どのような服装で法事に参列するかは、法要によって異なります。一般的に三回忌までの忌日法要や年忌法要では、準喪服(男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマル)を身につけるのがマナーとされています。三回忌以降は略喪服と呼ばれる服装がマナーとされ、男性の場合はダークカラーのスーツ、女性はダークカラーのスーツやワンピースなどを着用するようにします。
いずれの場合も男性は靴や靴下、ベルトは黒を着用し、ワイシャツは白無地、ネクタイは光沢のない黒無地を選ぶようにします。女性は黒のストッキングを着用し、柄物や厚手のタイツは避けるようにしましょう。靴は黒いシンプルなパンプスが基本で、ヒールが高いものや細いものは避けるようにします。サンダルやミュールなどつま先が出る形状の靴は、失礼にあたるとされているので履かないようにしましょう。
子どもや学生が法事に参加する場合は、制服を着用するのが基本です。制服がない場合は、白いシャツに黒・紺などのズボンやスカート、ジャケットを着用し、靴や靴下は黒や紺、白などの派手でないものを選びます。乳児や幼児の場合も黒や白が基本ですが、ダークカラーやベージュなどの控えめなカラーで、華美ではないデザインであれば失礼にあたりません。
また法事に招かれた際に「平服でお越しください」といわれる場合もあります。この場合の「平服」とは普段着を指すものではありません。略喪服を着用するのが無難ですが、模様や織柄がうっすらと入った程度であれば許容範囲とされています。

アクセサリー類はどうすればいいの?

アクセサリー類はどうすればいいの?
服装のほかにもアクセサリーなどにも気をつけたいものです。男性は結婚指輪以外のアクセサリーや派手な時計は避けるようにしましょう。
女性もダイヤモンドなど煌びやかなものは避けます。パールは一般的に葬儀や法事でも身につけてよいとされています。ただし二連以上のネックレスは「不幸が重なる」といわれマナー違反となります。また髪型もシンプルにまとめ、派手な髪飾りなどは避けるようにします。メイクやネイルも、ナチュラルで清潔感のあるものを心がけるようにしましょう。

法事での供物についての注意点

法事での供物についての注意点
法事に参列する際、お供え物を持参しない場合もありますが、施主への手土産として持参すると丁寧な対応となります。特に親族として参加する場合や、家族や夫婦で参列する場合は持って行った方が無難です。ただし地域によってお供え物は不要という場合もあるので、施主や親族などに確認するようにしましょう。
お供え物は消費してなくなるものが良いとされているため、昔は線香やろうそくなどが一般的でしたが、最近では故人の好きだった食べ物や、日持ちのする菓子などが主流となっています。「お下がり」として法事後に分け合うこともあるので、個包装のものを選ぶのがよいでしょう。菓子折等を持参する場合は、弔事用包装紙で包んでもらい、外熨斗を掛けるのが一般的です。のしは黒白または黄白・双銀の結び切りの水引が印刷されているものを選び、表書きは「御供」とします。また中央の下に氏名も入れるようにしましょう。お供え物の相場は3,000〜5,000円程度とされています。
お供え物を持参した時は、仏壇などに勝手に供えるのはマナー違反となります。施主と挨拶をする際に、紙袋や風呂敷から取り出してお供え物だけを渡し、供えるのは施主に任せるようにします。

法事で包むお金の目安

法事で包む香典の金額は、故人との関係によって変わってきます。近い親族で故人と関係が深く、亡くなってから時間が経っていない場合では、厚めに包んで法要やお布施の一助としてもらうのもよくあることです。また法要後の会食がある否かでも違いがあり、会食がある場合はそれを見越した金額を包むのがマナーとされています。
目安としては三回忌までの法事では、親子や兄弟といった間柄の場合、会食ありなら30,000〜50,000円、会食がない場合は10,000〜30,000円が相場です。またその他の親族では会食ありで10,000〜30,000円、会食がない場合は10,000円程度が相場となります。
三回忌以降の法事では、親子や兄弟で会食ありなら10,000~30,000円、会食がない場合は10,000~20,000円、その他の親族では会食ありなら10,000円、会食がない場合は5,000~10,000円程度が相場とされています。
また香典ではなく「御供物料」として現金を包む場合は、香典の半分以下が目安で5,000〜20,000円程度が相場とされています。

香典袋の書き方と渡し方のマナー

香典袋の書き方と渡し方のマナー
香典を包む香典袋は、選び方や包み方、書き方、渡し方にもマナーがあります。仏式の法事の場合は市販の不祝儀用の熨斗袋を香典袋として用いますが、香典の金額に合わせた袋を選ぶようにします。少額の場合は黒白の水引が印刷されているもの、10,000~30,000円を包む場合は黒白の水引がついたもの(関西では黄白の場合も)、高額の場合は双銀の水引がついたものを選ぶようしましょう。
葬儀や通夜の香典では、新札は避けるべきとされていますが、法事の場合はこだわらないことも増えてきています。気になる場合は、新札に折り目をつけて包むようにしましょう。

【香典袋の書き方1】表書き

香典袋は毛筆を使用して書くのが正式ですが、最近では筆ペンで代用してもよいとされています。通夜や葬儀では薄墨を使用しますが、四十九日以降では通常の墨を用います。
表書きは、四十九日を含めそれ以降の法事にはすべて「御仏前」となります。表書きの真下には名前をフルネームで書き、表書きの文字よりやや小さい文字となるようにします。

【香典袋の書き方2】中袋

中袋は毛筆で書くのが望ましいものの、ボールペンや万年筆で書いても失礼にはあたりません。
表面に香典の金額を旧字体の漢数字を用いて縦書きで記入します。たとえば10,000円包む場合は「金壱萬圓」となります。最後に「也」を付けて「金壱萬圓也」と書くこともあります。中袋の裏面には、住所と氏名を書きます。こちらは旧字体や漢数字を用いなくてかまいません。
中袋がない熨斗袋を使う場合は、袋の裏側の左側に住所と金額を書き込むようにします。

香典袋の折り方

水引が印刷ではない香典袋の場合、折り方にも注意しましょう。まずは外袋を右→左→上→下の順番で折っていきます。通常、折った状態で売られているので、折り癖通りに元に戻すようにします。最後に、折り込み口を上から下へかぶせるようにします。結婚祝いなどのご祝儀袋とはかぶせ方が逆になるので、間違えないように注意が必要です。

香典の渡し方のマナー

香典の渡し方のマナー
香典袋は袱紗に包んで持参するのがマナーです。袱紗は慶事用と弔事用では色や柄などが異なる場合が多いので、弔事用で使っても失礼にならないものか確認するようにしましょう。弔事用の袱紗がない場合は、ハンカチや風呂敷などで代用しましょう。香典袋をむきだしのままで持参するのは、マナー違反となるので避けるようにします。
香典を渡すタイミングは、斎場などで法事が行われ受付が設けられている場合は、受付の際に渡します。自宅などで特に受付などがない場合は、施主に挨拶する際に渡します。袱紗から香典袋を取り出し、表書きが相手から見て正面になるように向けて両手で渡します。仏壇へ勝手に供えるのは失礼にあたるので、必ず施主に手渡しするようにします。

まとめ

まとめ
法事は故人を供養する大切な儀式です。これまで参列する機会はあっても、頻繁でないため作法やマナーなども忘れてしまいがちになることもあるでしょう。しかし失礼のない対応となるように、参列する前には今一度は知識やマナーを頭に入れておくようにしましょう。

證大寺の法事|ご相談ください

證大寺の法事|ご相談ください
江戸川区にある證大寺では、お寺の本堂で法事を行うことができます。また法事後の会食会場となる施設もあり、食事の手配はもちろん供花、供物、返礼品の手配までお寺に依頼するだけで全て行ってもらえます。また證大寺が直接運営管理している森林公園昭和浄苑、船橋昭和浄苑にも同様の施設があり、これらでも依頼するだけで法事を開催することができます。慣れない法事でわからないことも多いでしょうが、お寺なので相談できて安心です。またお墓の側なので法事のあとにお墓参りもしやすいと好評です。
證大寺について詳しくはこちら

手紙寺ならではの時間も

手紙寺ならではの時間も
「證大寺で法事をしてよかった」という声は、お寺にお任せできる利便性だけではありません。法事を機会に故人と改めて向き合って供養できることが、選ばれる理由となっています。その代表的な取り組みが「手紙参りセット」です。別名「手紙寺」と呼ばれる證大寺だけの取り組みです。
手紙参りセットは、諸事情で法事に出席できない方のために用意されており、お寺から施主にお渡ししています。施主が欠席する方に渡して送り返してもらうことで、欠席の場合でも手紙で参加してもらうことができます。法事の後に證大寺内にある手紙処という部屋で、手紙を読むことができます。お寺の職員がファシリテーターとなって火を焚いたテーブルを囲みながら語り合え、施主や参列者が故人と向き合う時間を持つことができます。
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法事の「忌」の意味

このような取り組みをなぜ行うかというと、「故人のためだけでなく、今を生きる自分たちのためにも、法事という機会を大切にしてほしい」という思いからなのだと住職は語ります。
「法事では三回忌、七回忌などといいますが、『忌』という文字には忌み嫌う、嫌って避けるなどという意味があります。『忌』という文字が使われている理由は、法事を忌み嫌うということではありません。亡き人のことを忘れ、亡き人のことを考えずに過ごすことを忌み嫌うという意味が込められています」。そして『忌』という字には別の意味も持っているのだといいます。「『忌』には『つつしむ』という意味もあります。法事を機会にあらためて『わが身をつつしむ』という覚悟を表しているともいえます。法事は、私たちが亡き人のために行うように考えられていますが、実は亡き人から私たちが悔いなく生きてほしいと願われていることを確認する大切な機会なのです。」

法事に参列する時の持ち物に関する監修
仏教人生大学 講師
梅原 博

PROFILE
1973年に真宗大谷派にて得度。真宗学は大谷大学にて学ぶ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。真宗大谷派名古屋別院では法話講師を務めている。

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