納骨堂とは?お墓との違いやメリット、デメリットを解説

お墓

お墓の購入を考えた際、「納骨堂」を候補の1つに考える方もいるでしょう。納骨堂は建物の中などに遺骨を納められる施設で、永代供養が付いている場合が多いです。そこで納骨堂とはどのようなものか、その特徴や種類について説明、同時にメリット・デメリットなども詳しく解説します。

目次
●納骨堂とは
●納骨堂を利用するメリットとデメリット
●納骨堂の種類
●納骨堂の費用相場
●納骨堂を選ぶ場合の注意点
●證大寺の納骨堂
●まとめ

納骨堂とは

納骨堂とは
納骨堂は故人の遺骨を納めることができる施設で、寺の敷地内などに設置されている場合が多いです。首都圏や近畿圏など都市部ならではのものと思われがちですが、北海道や九州地域でも多く見られます。

納骨堂の歴史

納骨堂の歴史については諸説ありますが、奈良時代に起源があるという説があります。豪族など上流階級の人々が建物の中に遺体を安置したことが始まりだったともいわれています。
現在の形に近い納骨堂は、大正から昭和初期の頃に現れたとされています。もともとはお墓を建てるまでの間、一時的に遺骨を預かる場所でした。やがて地域の諸事情に合わせて発展していったと考えられます。たとえば九州では、墓を建てるまでの遺骨の安置場所として納骨堂で「骨預り」をしてもらう習慣があり、ここから納骨堂が発展したといわれています。また北海道では冬は雪で墓が埋もれてしまうため、寺に遺骨を寺院で預けることが多く、開拓で北海道に入植した人もいずれは本州へと戻りたいと考えて寺に骨を預けたことが、納骨堂が発展した理由とされています。
その後、遺骨を預かる期間が延長されたり、永代供養を行う寺が増えたりしたことで全国的に拡大し、お墓に代わる埋葬施設として普及していきました。

納骨堂の特徴

納骨堂は通常のお墓とは異なり、遺骨を埋葬せず骨壷に入れて収蔵する施設です。屋内にあるのが一般的で、施設内には遺骨を置くスペースがたくさん設けられていて、施設側が管理を行ってくれます。
時代の変化とともに代々の石のお墓にこだわらない方が増え、永代供養が付いていることが多いなどの理由から、納骨堂を選ぶ方が増えています。

納骨堂を利用するメリットとデメリット

管理の手間がかからず、永代供養してもらえると人気の納骨堂ですが、メリットばかりではなくデメリットもあります。両方をよく知った上で、お墓を選ぶようにしましょう。

納骨堂の3つのメリット

納骨堂の3つのメリット
まずは納骨堂のメリットから見ていきましょう。納骨堂には主に3つのメリットがあるといわれています。

一般墓よりも費用を抑えられる

納骨堂は墓地や墓石の費用がかからないため、一般墓よりも費用が安く抑えられる傾向があります。ただし納骨堂は種類や立地条件などにより費用はさまざまで、納める遺骨の数によっても費用が変わります。選び方によっては一般墓と同じくらいになることもありえます。また最初に必要な納骨費用だけでなく、維持費として年間管理費が必要な納骨堂も多くあります。費用を抑えたい場合は、先々も含めたトータルでの費用を考慮するようにしましょう。

永代供養で、後継者がいなくても安心

納骨堂は施設側に管理を任せることができ、永代供養付きのものがほとんどなので供養も行ってもらえます。お墓の掃除や管理の手間がなく、永代供養なら後継者がいなくても無縁仏になる心配もありません。また檀家にならなくてもいい場合も多いので、寺への寄付金などもなく遺族の経済的負担も減らせるといわれています。

理解が得やすく、お墓参りもラク

納骨堂は長く遺骨を取り扱ってきた歴史などから一般にも馴染みがあり、代々のお墓以外の埋葬先としては家族や親戚などから比較的理解が得られやすいものだといえます。
また立地条件のよい場所にある納骨堂ならお墓参りに行きやすく、室内にあるので天候にも左右されず、冷暖房完備の施設も多く快適にお参りできます。最近増えてきているバリアフリーの納骨堂なら、年輩者もラクにお墓参りできるでしょう。

納骨堂の3つのデメリット

納骨堂の3つのデメリット
埋葬先を選ぶ時は後悔しないためにも、デメリットもある点をよく勘案するようにしましょう。予め知識をつけてデメリットについても知っておくことは非常に大切です。

最終的には合祀される場合が多い

納骨堂では定められた区画で、個別で遺骨が納められるのが一般的です。他の人と骨が混ざることがなく、都合で改葬が必要になっても遺骨を取り出すこともできます。ただし一定の契約期間が過ぎると、合祀墓に遺骨を移して合祀されるケースがほとんどで、合祀されると遺骨を取り出すことはできなくなります。また始めから合祀して遺骨が取り出せない納骨堂や、継承者が年間管理費を払えなくなると合祀するところもあります。合祀までの期間は個々の納骨堂によって異なります。

納骨できる数に制限がある

納骨堂は「1人用」のほか、「夫婦用」「家族用」の区画がある場合が多いです。夫婦・家族用の納骨堂なら、配偶者や家族などと同じ場所で眠ることができ、家族のお墓代わりになります。ただしほとんどの納骨堂では、一般墓のように代々承継することを前提としていません。また納骨のスペースには限りもあります。夫婦や家族など少人数なら問題ありませんが、墓じまいなどで先祖代々の遺骨と一緒に納骨堂を利用したい方には、不向きだといえるでしょう。

お参りの方法に制限がある

また納骨堂では開館時間が決まっていて、休館日が設けられているところがほとんどです。思いついた時にお参りに行きたいと思っても、閉館していてお参りできないこともあります。反対に彼岸やお盆などお参りが多い時期には、混み合っていてお参りするまで時間がかかってしまうこともありがちです。
またお参りの方法にも制限があり、火気厳禁でろうそくや線香が焚けない場合もあります。お供え物をおくスペースがなく、個別でお供えできないタイプのものもあります。さらに共用の参拝室でお参りをする場合などもあるので、お墓参りに来た気がしない、物足りなさを感じるなどといった声も聞かれます。

納骨堂の種類

納骨堂の種類
納骨堂にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な「ロッカー型」「自動搬送式」「仏壇型」の3つについて詳しく説明します。

ロッカー型の納骨堂

ロッカー型の納骨堂とは、扉のついたロッカーのような棚に骨壺を納めて納骨。昔からあるオーソドックスなタイプですが、最近では棚のデザインに工夫が凝らされ、華やかなものから高級感があってシックなものまで、納骨堂ごとに違いがあります。またお参りする際は、棚でお参りするタイプと、遺骨を共用の参拝スペースでお参りするタイプがあり、棚部分に供花やお供え物が置くことができるものとできないものがあります。

仏壇型の納骨堂

その名の通り、1区画に1つの仏壇が設置されているタイプです。ほとんどの場合、仏壇の下の台が納骨スペースとなっていて、その中に骨壺を入れて納骨します。通常の仏壇と同様、焼香具、花立てなどを置くこともでき、お供えのスペースも十分にあるタイプが主となっています。
他のタイプに比べて納骨スペースが大きい場合が多く、夫婦や家族など複数で利用される傾向があります。

自動搬送式の納骨堂

自動搬送式の納骨堂とは、お参りする際に参拝場所まで遺骨が自動搬送されるというものです。「ビル型」「マンション型」とも呼ばれる、比較的新しい形式の納骨堂です。納骨場所と参拝場所を分けてスペースを有効活用できるようにしたもので、都市部のアクセスのよい場所に多く見られます。仏壇用と同様に、1人用のほか夫婦や家族で入れるものもあります。
コンピュータ制御されていてセキュリティが安心なほか、タッチパネルの操作で故人の声が聞け、思い出の写真が写り出されるなど、通常のお墓参りにはないサービスを行っているところもあります。

納骨堂の費用相場

納骨堂の費用相場
納骨堂の費用相場は、どのような種類であるかによって変わります。種類別の費用相場は後述の通りですが、そのほか経営母体や区画、立地条件などによっても大きく異なってきます。
納骨堂は寺が経営して運営や管理も行うも寺院納骨堂のほかに、経営主体は宗教法人であっても開発や実際の運営は民間の企業が行う民間納骨堂、都道府県や市町村などの自治体が経営母体となっている公営納骨堂があります。経営母体によって費用も変わり、公営のものは安めの設定となっています。
また納骨堂個人用と夫婦用、家族用と区画の大きさによっても費用が変わります。さらに地域や立地の違いなどでも、費用に差が生まれます。そのほか管理体制や法要など供養の頻度でも違いが出てきます。
年間管理費が必要か否かも寺や施設等によって異なり、納骨費用の内訳も永代供養料や納骨費用や開眼法要料、戒名などの費用が含まれる場合と別途となる場合があります。

ロッカー型の納骨堂の費用相場

ロッカー型の納骨堂はほかのタイプよりも低価格な傾向があります。また同じ施設でも棚の位置によって費用が異なることがよくあります。目の高さに近いところは高めで、一番下や一番上の棚などお参りしづらい位置では安めの設定になっている場合が多いです。費用相場は1人用で20〜80万円程度とされています。

仏壇型の納骨堂の費用相場

仏壇型の納骨堂は納骨スペースが大きめになっていることは多いため、費用相場はロッカー型よりも高い傾向にあります。また1人用と夫婦用、家族用では費用相場も変わってきますが、平均として50〜150万円程度が目安となります。

自動搬送式の納骨堂の費用相場

自動型搬送式の納骨堂は、地価の高い都市部に多いこと、建物が高層で設備投資をしていることなどが理由となり、費用相場は高くなっています。費用は何人まで入れるかに余って変わりますが、80〜150万円程度が相場です。

納骨堂を選ぶ場合の注意点

納骨堂を選ぶ場合の注意点
納骨堂は種類も費用も実にさまざまで、選ぶ際には注意したい事柄がいろいろあります。そこで時系列に沿って、確かめておきたいポイントについて紹介します。

誰が入るのかを決め、家族で話し合う

納骨堂を選ぶ理由として永代供養付きであることが上げられることが多いですが、屋外で墓石のある永代供養墓や樹木葬といった選択肢もあります。それらを含めてよく検討しましょう。
また納骨堂には誰が入ることになるのかについても、家族で話し合うべきでしょう。個人単位なのか、夫婦・家族単位なのかで意見も異なるでしょうし、納骨スペースも変わってきます。さらにお墓のように納骨堂を利用したい場合は、お参りの行きやすさやお参りの方法に制約がないのかなどにも注意しましょう。またお参りは家族以外も行うものなので、親族等周囲の人々に理解が得られるようにする必要もあります。

納骨堂の使用期限を確認する

納骨堂は使用できる期限が設けられていることがほとんどです。その長さは「33回忌まで」というところもあれば「年間管理費を納め続ける限り」など施設によって異なります。期限が過ぎると合祀されることがほとんどなので、使用期限を確認するようにしましょう。また合祀になってもよいのか否かについても、家族等で話し合っておくようにしましょう。

運営母体についてよく調べる

寺や納骨堂は永遠に存在するというイメージがありますが、そうとも言い切れません。実際、2022年には北海道の納骨堂が経営破綻により閉鎖されたという事例もあります。また閉鎖まではなくても経営権が安定していなく、建物の老朽化などによる修繕費用の負担を強いられる場合もあります。候補となる納骨堂がいくつか見つかったなら、運営母体が健全であるかどうかもよく調べるようにしましょう。

見学に行って状態を確認する

納骨堂の候補がある程度絞られたら、見学にいって実際の状況を自分の目で確かめるようにしたいものです。資料や写真、ネットの口コミなども参考になりますが、それだけではわからないことも多々あります。掃除が行き届いているか、お参りに行きやすい場所かどうか、全体の雰囲気など、現地に行ってこそ確認できることはたくさんあります。できれば家族も一緒に見学して、納得できる場所であると確かめてから契約するようにしましょう。

證大寺の納骨堂

證大寺の納骨堂
江戸川区にある證大寺は1200年の歴史があり「続日本後記」にも記述がある由緒ある寺で、最寄り駅から徒歩10分程度とアクセスのよい場所にあります。寺の境内には、證大寺が直接運営・管理を行っている屋内納骨堂があります。都心という好立地にありながら、境内は緑にあふれています。
また納骨堂には家族だけで過ごせる個別礼拝堂が設置されており、ご要望があればお寺の方が一体一体丁寧にご遺骨を礼拝堂に運んでくださいます。「機械ではなく人の手で大切に運ぶことにこだわった」と證大寺の井上住職は語っています。

お一人もご夫婦もご家族も、ペットも一緒に

證大寺の納骨堂には、1人用の個別区画のほか、夫婦などで入れるペア区画、最大8名まで納骨できる家族区画があります。1人でも夫婦でも家族でも入れる納骨堂はほかにもたくさんありますが、證大寺の納骨堂ではどのタイプでも、ペットも一緒に入れる区画があるという特徴があります。
現代ではペットも大切な家族の一員だという方が増えています。證大寺では『人間もペットも大切な1つの命に変わりない』という考えのもと、死後もペットと同じお墓に入りたいという願いに応えてくれます。

お寺ならではの手厚い供養

證大寺は浄土真宗(真宗大谷派)の寺ですが、過去の宗旨・宗派は不問で納骨堂に入ることができ、檀家になる必要もありません。また永代供養が付いていて手厚い供養でも評判です。毎日休みなく、朝8:30〜9:00と夕17:00〜17:30の2回、僧侶が読経と法話を行ってくれます。運営や管理も證大寺が直接行っているので掃除等も行き届き、清潔で居心地のよい空間をつくりあげています。
朝夕の読経と法話の会には、予約なしで誰でも参加できるので、「どんな場所なのか、雰囲気を知りたい」といった場合には、これに参加してみるのもよいでしょう。

無料で相談会や見学会を実施

證大寺では納骨堂を考えている方に向けて、無料の相談会や見学会を実施しています。具体的に契約を考えている段階ではなくても、相談会や見学会に参加することができます。「納骨堂についてもっと詳しく知りたい」などといった質問に、僧侶や職員が親切丁寧に対応してくれます。また「ありがちなトラブルに事前に対応しておきたい」といった相談にも、納骨堂を直接運営している経験と実績から的確なアドバイスをしてもらえます。もちろん仏事に関しても、僧侶から話が聞けて安心です。また見学会に参加すると、お墓じまいの相談にも丁寧にお応えしていただけます。お寺の職員や僧侶のご対応ですので営業もなく、ゆっくり相談にのっていただけることも特徴です。
證大寺について詳しくはhttps://shoudaiji.or.jp/

まとめ

まとめ
お墓を考えた時、一般墓以外のものを選択する場合、納骨堂はそれなりの歴史があるので周囲の理解が得やすいといえるでしょう。また費用が抑えられる、永代供養で安心などメリットもたくさんあります。とはいえ注意すべき点もあるので、それらを踏まえて最適なお墓選びとなるようにしたいものです。

納骨堂に関する監修
仏教人生大学 講師
加藤 順節

PROFILE
真宗大谷派の僧侶として、證大寺 船橋別院所属。證大寺 銀座別院で仏教入門講座など多数講師を務めており、さまざまなテーマで仏教から人生を学ぶ講座を開催している。

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