位牌はどう処分すればいい?正しい処分方法と注意点

法事

位牌は、故人の魂が宿る依代(よりしろ)でありとても大切なものです。しかし引き継ぐ人がいないなど、諸事情があって処分を考えざるをえない場合もあり、どう処分すべきかわからず悩む方もいるでしょう。そこで位牌を処分せざるを得なくなった場合の方法について説明します。

目次
●位牌は処分してもいいの?
●位牌を処分するタイミングとは?
●位牌の処分を検討する前の注意点
●位牌を処分する方法
●位牌の処分はお寺に相談する
●まとめ
●證大寺|位牌のご相談

位牌は処分してもいいの?

位牌は処分してもいいの?

位牌には、故人の戒名・俗名・没年月日・享年などが記してあります。故人の魂が込められ手を合わせて供養するためのもので、軽々しく処分するものではありません。位牌を処分するのは致し方ない事情がある場合にとどめるべきでしょう。

位牌を処分するタイミングとは?

位牌を処分するタイミングとは?

毎日手を合わせてきた大切な位牌を処分するタイミングには、どんなケースがあるのでしょうか。一般的に以下のような場合が考えられます。

弔い上げとなり合祀する場合

弔い上げとは、年忌法要をこれ以降は執り行わないと決めた最後の法要のことをいいます。いつ弔い上げとするか決まりはありませんが、一般的には三十三回忌や五十回忌などを区切りとする場合が多いです。弔い上げの後は、位牌の魂は先祖様の位牌と合祀され、個別の位牌は処分することになります。

位牌を作り替える場合

夫婦のどちらかが先に亡くなりその後もう一方の方も亡くなった際には、夫婦連名の位牌に作り替えることがあります。また仏壇の中の位牌が増えてスペースがないなどの理由から、複数あるお位牌を1つにまとめる「繰り出し位牌」に作り替えることもあります。そのほかなんらかの理由で、戒名や位号を変更したときに位牌を作り替えることがあります。このように位牌を作り替える場合は、もともとあった位牌は処分することになります。

位牌が傷んだ・壊れた場合

時間の経過により位牌が汚れたり傷んだりボロボロになって壊れてしまうこともあります。そのままにしておくのは忍びないという場合は新しい位牌を作ることになるでしょう。傷んだ・壊れた位牌は処分することになります。

引っ越しや遺品整理を機に処分する場合

引っ越し先にスペースがなく仏壇を置けないなどの理由で位牌を処分せざるを得ない場合もあります。また、故人の遺品として位牌があるものの引き継ぐことができない場合は、遺品整理に伴い位牌の処分を考えなければなりません。

位牌の処分を検討する前の注意点

位牌の処分を検討する前の注意点

位牌は供養の対象となるものであり、処分を検討する前に確認しておきたい注意事項があります。

家族や親族の理解を得る

位牌を処分したいと思っても一存で判断するのは避けたいものです。家族や親族に相談し経緯などを説明し理解してもらうようにしましょう。家族や親族によって位牌への思い入れはそれぞれ異なります。皆に納得してもらった上で処分しければ後々のトラブルにつながりかねません。

開眼供養(かいげんくよう)が行われたかどうかを確認する

位牌を作る際は開眼供養を行うのが一般的です。開眼供養は魂入れともいわれます。この儀式を行って始めて位牌に故人の魂が宿るとされています。開眼供養をしている位牌であれば、閉眼供養をし魂抜きをしてから処分することになります。魂が宿っている位牌をそのまま捨てることは、故人やご先祖の魂を捨てるのと同じことだとされているからです。
しかし宗派や地域によっては、開眼供養による魂入れを行わない場合もあります。処分を検討している位牌が開眼供養されているかどうか、まずは確かめておきましょう。

浄土真宗の場合

浄土真宗では、「人は亡くなると阿弥陀如来よって導かれ仏となる」と考えられていいます。魂は現世に止まらず極楽浄土にあるとされています。そのため位牌に魂を入れる必要はなく、本来は位牌を作ることもありません。しかし供養し手を合わせる対象が欲しいという思いから位牌を作るケースがあり、お寺の意向によっては仏壇に位牌を置くことを良しとしている場合もあります。
浄土真宗では本来、位牌の開眼供養や閉眼供養を行いません。位牌の供養をしてくれるお寺、しないお寺があります。菩提寺が浄土真宗の場合、どのような考えであるかを確かめるようにしましょう。

位牌を処分する方法

位牌を処分する方法

開眼供養をしていた位牌は、まず閉眼供養をして魂を抜いてから処分することになります。処分の仕方やその依頼先については以下のような方法があります。

お寺で「お焚き上げ」をしてもらう

菩提寺がある場合は、お寺で位牌の「お焚き上げ」を依頼するのが一般的です。閉眼供養で魂を抜いた位牌は、単なる木製のお札となって処分できるものに還るとされています。これをお寺で焼却処分をしてもらうのがお焚き上げです。尚、お焚き上げには故人の魂を供養したという側面もあります。

寺院や霊園に永代供養に出す

お焚き上げで焼却せず寺院や霊園などに位牌を預けて永代供養してもらうという方法もあります。位牌の形をとどめたままにして、寺院や霊園が家族等に代わって供養をしてくれるというものです。とはいえ、一般的には33回忌や50回忌などを目途に一定の期間が過ぎると弔い上げをし合祀され、位牌はお焚き上げされ焼却処分となる場合がほとんどです。

仏壇仏具店に処分を依頼する

位牌を新しいものに作り替えこれまでの位牌を処分する場合は、仏壇仏具店に依頼する方法もあります。料金がかかる場合もありますが、新しい位牌の購入を条件に古い位牌を無料で引き取って処分してくれることも多いようです。ただし処分の際に閉眼供養をしてくれるかどうか、仏壇仏具店によって異なります。魂抜きを希望する場合はよく確かめるようにしましょう。

お焚き上げ業者に処分を依頼する

菩提寺がなく新しい位牌に作り替える予定もない場合、お焚き上げ業者に依頼する方法もあります。インターネット等で依頼できます。位牌のほか仏壇や遺影など仏具一式の処分を代行してくれるところもあります。閉眼供養は行わない業者もありますが、提携している僧侶による閉眼供養を行っているところもあります。業者によって価格もサービスも異なるので、選ぶ際は比較検討するようにしましょう。

メモリアルとして保管する

位牌を作り直したものの古い位牌を形見として手元に置いておきたいという方もあるかと思います。閉眼供養し魂を抜いた位牌は木の札に還るので仏壇に祀らなくても問題ありません。思い出の品として、大切に保管するのも1つの方法です。

位牌の処分はお寺に相談する

位牌の処分はお寺に相談する

これまで見てきた通り位牌を処分するにはさまざまな方法があります。とはいうものの、適切に処分されるならば、菩提寺で閉眼供養しお焚き上げをしてもらうのが一般的です。まずは菩提寺に相談しましょう。
最近では環境への配慮などからお焚き上げ自体を行わない寺も増えてきています。菩提寺がそのような方針の場合でも、お寺に相談すれば適切なアドバイスを示してくれるでしょう。菩提寺がない場合でも、位牌の処分を受け付けているお寺は多々あります。まずはお寺に相談することをおすすめします。

まとめ

まとめ

位牌は大切であり軽々しく処分すべきではありません。処分せざるを得なくなった場合には、家族や親族と話し合ったうえで行うなど事前の注意も怠らないようにしましょう。お寺に処分を依頼するのが正式な方法ですが、費用を抑えたい場合などは他の方法も検討できます。
位牌は故人や先祖の魂が宿っているものです。閉眼供養を行うなど供養した上で処分してもらえるかどうか、しっかりと確認するようにしましょう。

證大寺|位牌のご相談

證大寺|位牌のご相談

證大寺のお焚き上げの様子

江戸川区の證大寺は浄土真宗の大谷派のお寺です。浄土真宗では、『人は亡くなれば仏様になる』という教えを基とします。本来、位牌は必要ないとしています。とはいえ證大寺では、手を合わせる対象として位牌が欲しいという声があれば用意し開眼供養も行います。また證大寺で葬儀された方やお墓を所持している方を対象に、位牌処分の相談を受け付けており閉眼供養やお焚き上げも行っています。位牌の処分に悩んでいて、お墓や葬儀の生前予約を考えている場合は、證大寺に相談してみてもよいのではないでしょうか。

位牌の処分に関する監修
仏教人生大学 講師
梅原 博

PROFILE
1973年に真宗大谷派にて得度。真宗学は大谷大学にて学ぶ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。真宗大谷派名古屋別院では法話講師を務めている。

関連記事一覧