樹木葬と永代供養の違いとは?基本知識と樹木葬を選ぶ際の注意点を解説

お墓

最近「樹木葬」や「永代供養」という言葉を目にすることが増えていませんか。特にお墓の購入を検討していると「永代供養付きの樹木葬」などと書かれている場合もあって、2つの違いがよくわからないことも。そこで樹木葬と永代供養の違いを簡潔に説明し、さらに樹木葬を選ぶ際に注意すべき点などもあわせて解説します。

目次
●樹木葬と永代供養の違い
●【樹木葬の特徴】種類と費用について
●永代供養の付いた樹木葬の3つのメリット
●事前に確認すべき!樹木葬を選ぶ際の注意点
●お寺だから選ばれている「證大寺」の樹木葬
●まとめ

樹木葬と永代供養の違い

樹木葬と永代供養の違い

インターネットなどで「樹木葬」について調べていると「永代供養」というワードが目に付くことがしばしばあります。反対に「永代供養」について調べていても「樹木葬」という言葉が出てくることが多いです。この2つは似ている部分が多いため、それぞれの特長や違いがわかりにくく感じてしまいがちです。

樹木葬は「墓石の代わりに樹木を墓標にするもの」

樹木葬はお墓の一種で、墓石の代わりに樹木を墓標にするというものです。遺骨を埋葬した付近に植樹したり、すでにある木をシンボルツリーとして墓標の代わりにしたりします。また木だけでなく草花をシンボルとする場合もあります。

永代供養は「供養をお寺にお願いする供養方法」

永代供養は供養方法のひとつで、お寺に供養をお願いして末永く供養してもらうというものです。永代供養のお墓には納骨堂や合葬・合祀墓など様々な種類があります。その中の1つに樹木葬があり、樹木葬では永代供養されることが多いため混同しやすくなっていると考えられます。

【樹木葬の特徴】種類と費用について

【樹木葬の特徴】種類と費用について

近年急速に人気が高まる「樹木葬」ですが、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする以外にも、いくつかの特徴があります。基本的にお墓を継承する必要がない永代供養である、一般墓よりも比較的価格が抑えられるなどといった点が上げられます。
しかし樹木葬は新しいスタイルのお墓で、明確な定義がないためさまざまな種類があり、その内容は実にさまざまです。そこで以下では樹木葬の種類について解説し、また種類別の費用相場についても見ていきます。

樹木葬には種類がいくつかある

樹木葬はまずは、どのような墓地かにより「里山タイプ」「庭園タイプ」に大別されます。さらに埋葬形式によって「合祀型」「個別型」「家族型」などの型に区分することができます。

「里山タイプ」と「庭園タイプ」

「里山タイプ」と「庭園タイプ」

「里山タイプ」は自然に近い状態の墓地で、都市部から離れた山林などに作られています。山林の木を墓標代わりのシンボルツリーとして、その根元に埋葬するというものです。また遺骨を埋葬した場所に木を植樹するというケースもあります。遺骨を骨壺に入れずに埋葬し土に還すというものが多く、自然回帰を願う方などに選ばれています。ただしアクセスしにくい場所にあることも多く、お墓参りに行きにくいというデメリットもあります。
「庭園タイプ」は霊園や墓地などの敷地の一角を樹木葬のスペースとしたものが多く、近年は都心でも増加しています。墓標となるシンボルツリーの周囲に遺骨を埋葬します。管理や手入れがしっかりなされていることが多く、木や花々に囲まれて眠りたいという方に人気です。

さまざまな埋葬形式

埋葬形式による違いには「合祀型」「個別型」「家族型」などがあります。
「合祀型」の樹木葬は、複数の遺骨をまとめて埋葬するというものです。遺骨は骨壺から取り出され、他の方の遺骨と一緒に埋葬されます。墓標となるシンボルツリーも共有となる場合が多いです。
「個別型」は通常のお墓のように個別に仕切られた区画の中に埋葬するというものです。骨壺に入った状態で埋葬されます。
「家族型」は個別型と同様に仕切られた区画の中に埋葬されますが、家族なども一緒に入ることができるというものです。こちらも遺骨は骨壺に入った状態で埋葬されます。
「個別型」「家族型」とも一定期間が過ぎた後は合祀する霊園等もありますが、後々まで合祀されないタイプのものもあります。

費用が比較的安価

費用が比較的安価

さまざまなタイプや埋葬形式がある樹木葬ですが、一般のお墓に比べて費用が安価となる傾向があります。お墓に必要な樹木葬は墓石を建てる必要がないので、トータルの価格が抑えられるためです。

里山タイプの費用相場

里山タイプの樹木葬の費用相場は墓地使用料等を含めて3~150万円と幅広い傾向があります。墓地が所在する地域による差のほか、埋葬形式等によっても異なってきます。個別型の1区画に自分で選んだ木を植樹するようなタイプだと割高になりがちです。さらに墓地によっては管理費や骨壺代、埋葬手数料が別途必要な場合もあります。

庭園タイプの費用相場

庭園タイプの樹木葬も地域や霊園等により価格に差がありますが、おおよその費用相場は埋葬形式によって変わってきます。「合祀型」がもっとも費用を安く抑えられ5~20万円程度、次に「共同型」で15~65万円程度となります。「個別型」や「家族型」では30~200万円が相場となっています。
墓地使用料や管理費などは費用に含まれている場合が多いですが、例外もあるので確認するようにしましょう。また埋葬料は家族型の場合、遺骨を埋葬する度に費用が発生する場合が多いです。このほか故人の名前等の銘板を設置する費用として、彫刻料が別途必要となることもあります。

永代供養の付いた樹木葬の3つのメリット

永代供養の付いた樹木葬の3つのメリット

2023年のある調査※によると、お墓を購入した2人に1人が樹木葬を選んだという結果がありました。永代供養の付いた樹木葬は、お墓の継承や管理が不要なので跡継ぎがいない場合も安心です。他にも以下のようなメリットがあるので、人気となっていると考えられます。

※調査名 :第14回 お墓の消費者全国実態調査(2023年)
 調査対象:2022年1月~同年12月にお墓探しの総合情報サイト「いいお墓」経由でお墓を購入した方
 調査期間:2023年1月13日(金)~1月29日(日)
 調査方法:インターネット調査
有効回答数:660件

1.一般的なお墓を建てるよりも費用が安い

樹木葬の場合、前述した通り墓石にかかる費用が抑えられます。墓石以外でも、庭園タイプで個別型の樹木葬を選んでも一般墓より区画費用が安い傾向があります。またその他にも費用面のメリットがあります。樹木葬ではお寺の墓地の場合でも、檀家になる必要がないことが多いです。檀家になっていると、お墓を維持するために管理費等を毎年支払う場合が多いです。またお寺の修繕・改築や行事等の際に寄付を求められることもあります。しかし樹木葬で檀家にならない場合は、このような費用が不要であることが多いです。残された家族にかかる先々の経済的負担まで、抑えることができます。

2.自然との調和を感じることができる

山林などにある里山タイプの樹木葬はもちろんのこと、庭園タイプで都心にある樹木葬でも、墓標となるシンボルツリーや草花に囲まれています。四季で変化する自然との調和を感じながら、安らかな時間を過ごすことができるといえるでしょう。また遺族も自然の景観や四季の花々を楽しみながらお墓参りすることができます。

3.お寺が管理する霊園では、供養をしっかりしてもらえる

お寺が管理している永代供養の樹木葬では、ただ管理するだけではなくしっかりと供養してもらえることが多いです。お盆やお彼岸などに定期的に合同法要が開催されるケースもよく見受けられます。お寺によっては毎日読経するなど、より手厚い供養をおこなっている場合もあります。

事前に確認すべき!樹木葬を選ぶ際の注意点

事前に確認すべき!樹木葬を選ぶ際の注意点

樹木葬は新しいスタイルのお墓のため、霊園や墓地により管理も供養も異なります。購入を考えている場合は、そこがどのようなルールになっているか、事前にしっかり確認する必要があります。
また自分自身は納得していたとしても、家族や親戚など周囲との擦り合わせも必要です。購入してから後悔したりトラブルが起きたりしないように、事前に確認して注意しておきたい点について解説します。

原則、承継を前提としないお墓である

一般的なお墓は代々継いでいくことが前提となっていますが、樹木葬では原則、承継を前提としていません。家族型の場合は親世代だけでなく子世代も入ることができますが、その場合でもお墓に入る人数制限があったり、○親等以内などと限られたりしている場合が多いです。稀に人数無制限というものもありますが、その場合の費用相場は100万円以上かかるもの大半で、納骨できるスペースも限られているため実質は無制限とはならないでしょう。

家族や親戚と相談が必要

家族や親戚と相談が必要

樹木葬の認知度は上がってはいるものの、まだまだ樹木葬についてよく知らない人の方が多いといえます。また近年はお墓についての価値観も変わりつつありますが、家族や親戚の中には昔ながらの価値観の方もいるでしょう。そのため周囲に理解してもらえないこともあります。自分が納得しているのだから周囲の理解は必要ないと思っても、死後のことは自分では行えません。せっかく樹木葬を購入していても、望む形にならないこともありえます。
お墓は家族だけでなく親戚もお参りするものです。後々にトラブルとならないよう、事前に家族や親戚とよく相談して、理解してもらえるようにしておきましょう。

合祀型の場合、遺骨を取り出すことが難しい

合祀型の樹木葬の場合、遺骨を骨壺に収めず他の方と一緒に埋葬することになります。このため後になって新たにお墓を購入するなどで改葬しようと思っても、遺骨を取り出すことができません。
また個別型や夫婦型、家族型などでも、一定期間後に合祀される樹木葬では、合祀後の遺骨の取り出しは難しくなってしまいます。後々に改葬する可能性があるなら、合祀されないタイプの樹木葬を選ぶようにしましょう。

供養が他人と共有されることがある

永代供養の樹木葬ではお寺や霊園が供養をしてくれますが、どのタイミングでどんな供養となるかは、お寺や霊園によって異なります。一般的にはお盆やお彼岸に供養が行われますが、合同法要となり他の人と供養が共有されることもあります。合同でなく供養してほしい場合や、○回忌などの節目の供養も大切にしたいのであれば、個別の供養を行っているお寺や霊園を選ぶようにしましょう。

すぐ土に還るわけではない

自然との調和が感じられると人気の樹木葬ですが、死後はすぐに土に還るわけではないということも知っておいてください。特に里山タイプの樹木葬の場合は、骨壺の代わりに晒の袋などに遺骨を入れて埋葬するところもあるため、「自然に還る、土に還る」というイメージが強いでしょう。しかし火葬した骨は焼かれることで表面が硬化してセラミック状になってしまうため、分解されにくくなります。土壌によっても異なりますが、30~100年と長い年月をかけてゆっくりと土に還っていきます。

お寺だから選ばれている「證大寺」の樹木葬

お寺だから選ばれている「證大寺」の樹木葬

江戸川区にある證大寺は浄土真宗のお寺で、真宗大谷派に属しています。證大寺ではお寺の境内で樹木葬を行っているほか、證大寺が運営する森林公園・昭和浄苑(埼玉県)と船橋・昭和浄苑(千葉県)でも樹木葬が行われています。いずれも都心や都心近くにある庭園タイプの樹木葬です。
證大寺の樹木葬では、檀家になる必要なく宗派不問で入ることができます。ほかにも様々な特長があり、多くの方から評価を得ています。

合祀せず、永代供養が可能

證大寺の樹木葬は永代供養で、家族や子孫に代わってお寺が手厚く供養してくれます。最初は合祀でなくても一定期間が過ぎると合祀されることが多い樹木葬ですが、證大寺の場合は後々も合祀されることはありません。他の方と一緒に埋葬されてしまう心配も、遺骨が取り出せなくなる心配もありません。

ペットと一緒に入れる

ペットと一緒に入れる

さらに埋葬形式も多彩で1人用の個別型の区画はもちろん、夫婦型の区画、8人まで入れる家族型の区画などもあります。夫婦型や家族型では戸籍などによる制約はなく、それぞれがパートナーや家族と思える人とともに入ることも可能です。
また最近では「ペットは家族」という考えから、ペットとともに眠りたいと希望する方も増えています。證大寺にはペットも一緒に入れる樹木葬があり、さらにはペットロスカウンセラーの資格を持つ僧侶や職員もいて、人間の家族と同様に扱ってもらえると好評です。

お寺の墓地ならではの安心感

供養が手厚いのも證大寺の樹木葬ならではです。里山タイプの場合などでは、自然な形にまかせて供養を行わないところもあります。また庭園タイプでも、供養はお彼岸とお盆の合同法要のみというところもあります。しかし證大寺では折々の法要はもちろんのこと、樹木葬の前で僧侶が毎日読経するなどしっかり供養をしてくれて安心です。「樹木葬といえども手厚く供養してほしい」という方におすすめだといえるでしょう。

四季の花が楽しめ、樹木も選べる

樹木葬を選ぶ場合、シンボルツリーとなる木にどんなものがあるか、またお寺や霊園の雰囲気などもポイントになるでしょう。
證大寺の樹木葬は、シンボルツリーは桜、はなみずき、バラ、もみじなどがあり、好きなタイプの樹木葬を選ぶことができます。また樹木葬は日当たりも風通しもよく明るい雰囲気ですが、それは地の利からだけではありません。證大寺には専門の庭師がいて、木や花々を日々管理して手入れが行われています。季節ごとに花を植え替え、冬でも花が絶えないよう心遣いがなされています。お参りに訪れた方からも「いつ行っても花が咲いている」と好評を得ています。

お寺タクシーや送迎バスで、お墓参りがラク

お寺タクシーや送迎バスで、お墓参りがラク

樹木葬を選ぶなら、残された家族のことも考えたいものです。證大寺の樹木葬は最寄り駅から徒歩10分程度というアクセスしやすい場所にあり、お墓参りに来やすいという点でも支持されています。またイオンなどのショッピングセンターを拠点とした無料巡回バスもあり、お墓参りの後にお買い物ができて便利です。さらに「お寺タクシー」というサービスもあり、葛飾区・江戸川区・墨田区・江東区内なら自宅まで迎えに来てくれます。お墓参りの後はエリア内なら病院やスーパーマーケット、友人の自宅など自宅以外の場所でも送ってくれ、事前予約制で月に1度無料で利用できます。
また、森林公園・昭和浄苑、船橋・昭和浄苑でも同様のサービスがあります。免許返納などで車を運転しなくなっても、ラクにお墓参りにいけるのもうれしいポイントといえるでしょう。
樹木葬についてのご相談はこちらまで

まとめ

混同されやすい樹木葬と永代供養ですが、その違いはおわかりになれたでしょうか。樹木葬はお墓の一種で、墓石の代わりに樹木を墓標にするというもの。永代供養は供養方法のひとつで、管理や供養をお寺に任せるものです。永代供養の樹木葬なら費用が抑えられ、後継ぎがいなくても無縁仏になることはありません。お墓について考えているなら、樹木葬を選択肢の1つとして検討してみるのもよいでしょう。

樹木葬と永代供養の違いに関する監修
仏教人生大学 講師
加藤 順節

PROFILE
真宗大谷派の僧侶として、證大寺 船橋別院所属。證大寺 銀座別院で仏教入門講座など多数講師を務めており、さまざまなテーマで仏教から人生を学ぶ講座を開催している。

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