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「連載企画 プロフェッショナルの素顔 vol.1 外営繕」参詣者の方を気持ちよくお迎えしたい。

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きれいな苑内に喜んでいただくことがなによりうれしい

外営繕の方のお仕事の流れを教えてください。

大島:朝は最初に参道を清掃し、その後本堂で朝のお読後に外営繕みんなで打ち合わせを行い、1日の作業を共有します。その後苑内を確認し、清掃や樹木の手入れを行っています。法要の予定がある場合はお墓に問題がないかなどを事前に確認し、墓石のクリーニングや目地の修正などのメンテナンスを行います。当日は納骨のお手伝いをしたりもしますよ。またお通夜のときは営繕課が宿直しますし、お葬式のときに出棺の人数が足りなければお手伝いもします。

営繕課メンバーの打ち合わせ

営繕課メンバーの打ち合わせ

たくさんのお仕事がございますね。

五十嵐:そうですね。その中でも清掃と樹木の剪定がもっとも多い作業になります。
:清掃は毎日朝7時30分からブロアをかけて枯葉を集め、参詣者の方がいついらっしゃってもきれいで気持ちがいいように心がけています。

ブロアを使った枯葉集めをする大島さん

ブロアを使った枯葉集めをする大島さん

五十嵐:朝7時30分からの清掃というのは押し付けられた時間ではなくて、先輩たちが参詣者の方がいらっしゃる時間を考慮し、自分たちで考えて決めた時間です。先輩たちの気持ちを受け継ぎ、自主的にこの時間から清掃を行っているわけです。
:清掃に関しては、私は前職が霊園の事務でして、そのときからお墓がきれいに手入れされていることの大切さを実感しています。ですので、草取りなど、清掃の基本を丁寧にしっかりと行っていきたいと思っています。
五十嵐:南さんは気づかないことを、気づいてやってくれる方ですよね。それに、南さんは担当区分をとてもきれいにしますので、私も負けてはいられないと思って一所懸命きれいにするんです。

インタビューに答える五十嵐さん

インタビューに答える五十嵐さん

:確かに、競争はありますよね(笑)。
五十嵐:競争といっても変な意味ではなく、参詣者の方に他の人が受け持っている区分がほめられたら、自分もほめられるくらいきれいにしようとがんばります。まぁ、面子ですよ(笑)。

手入れの技術や花の種類。とことん勉強する先輩が手本。

樹木の管理は専門知識が必要になると思いますがどうされていますか。

大島:3年前に亡くなられたのですが先輩に石川さんという方がいまして、彼は休憩室に植物の種類や樹木の選定など大量の本を置いて、ご自分も勉強されていましたが私たちも勉強するようにリードしてくれていました。
五十嵐:花の種類を覚えるのもそうですし、今の時期はどんな花が良いかなど、石川さんが引っ張ってくれたおかげで意欲的に取り組む姿勢が身につきました。
大島:石川さんは自分たちが苑内をきれいにしているという自負があり、庭の手入れに関してはちゃんと勉強しようという意識は高かったですね。
五十嵐:石川さんは日本庭園が好きで、住職の許可をいただいてみんなで四国の栗林公園などいろんな庭園を勉強しに行きましたね。どういう管理をしているのか、どんな剪定の仕方をしているかなど、意識を持って勉強をしていると自分なりに感じる部分はありました。そういう勉強を活かして手入れしていると、参詣者の方から「ここには日本庭園があるんだね」と言われることもあり、うれしいし励みにもなります。

松の枝を剪定する五十嵐さん

松の枝を剪定する五十嵐さん

:石川さんは人一倍きれい好きでしたね。整理整頓も率先してやっていました。
大島:厳しいけど優しい人でしたね。私たちのことをいつも気にかけてくれていました。
五十嵐:それが石川さんのいいところで、神経の細かい人でしたね。だからみんな見習おうという気持ちになりました。

石川さんの想いが皆さんの心にしっかりと刻まれていると感じますが、個人的に好きな業務、やりがいを感じる業務というと何になるでしょうか。

大島:私は樹木の手入れが好きですし、きれいさで他の霊園やお寺に負けたくないというプライドがあります。参詣者の方から「きれいですね」とおっしゃっていただくとうれしいですね。またきれいにすると自分の心もすっきりするということもあります。

思いを語る大島さん

思いを語る大島さん

五十嵐:私はモノを作るのが好きですので、仏具などの小物を作ってくださいと頼まれるとうれしいですね。まぁ、お墓のメンテナンスなど作業は幅広いので、「いろいろできる」ということが楽しいです。大島さんは竹垣を作るのがうまいんですよね。
大島:私は竹垣を作るのが好きで、農家さんから竹を頂いてきて作ります。京都のお寺とかでは、お寺によって竹垣の作り方が違いますので、結び方を本でも勉強しましたし、師匠からも教わりました。
:私は草取りが苑内をきれいにする基本だと思っていますので、黙々と草取りの作業をするのが好きです。私は不器用で、樹木の剪定がきれいにできなかったこともありますが、そんなときでも皆さんが「そのうち伸びてくるから心配ないよ」とか優しく言って頂けるので、ホッとしますし頑張っていこうとやる気が出ます。

インタビューに答える南さん

インタビューに答える南さん

お仕事の中で印象に残っていることはございますか。

:先ほどの続きになりますが、私は失敗が多くて、法要の際に違うお墓を準備してしまったことがあります。気づいてすぐに準備し直したのですが、僧侶が「正直に言ってくれてありがとう」と声をかけてくださりうれしかったですし、同時にもっとがんばろうという気持ちになりました。
五十嵐:南さんは草取りなどの作業を真似できないくらい黙々とやってくれて、すごいと思いますよ。私が印象に残っているのは、埋葬に立ち会ったときのことです。納骨が済み最後の加藤僧侶の法話で心に沁みるものがあったのでしょう、大粒の涙がお嬢様の頬を伝わり流れるのを見て、僧侶の言葉のすごさに感動しました。それが一番印象に残っています。
大島:私は夏休みのお坊さん体験のお手伝いをさせていただいたときのことです。終わって1ヶ月くらいしてから参加していた小学3年生くらいのお子様から「お兄ちゃんありがとう」という絵手紙が届きました。そのとき目頭が熱くなりましたし、お寺の役割は葬儀だけではないんだなと初めて実感しました。

證大寺はただ働くだけでなく、成長させてくれる場所。

證大寺の良さは、皆さんから見てどんなところでしょうか。

:證大寺には朝のお勤めがあって、そこでは親鸞聖人の教えを教えてくれます。私たちもここでただ働くということではなく、成長することができます。朝の読経は職員の自由参加なのですが、みんな自分の意思で参加していますよ。

證大寺にある親鸞聖人の大きな銅像

證大寺にある親鸞聖人の大きな銅像

大島:朝の読経は他のお寺では行っていないのではないでしょうか。そこが證大寺のすごいところです。朝のお勤めでは相手が理解できるように法を説く対機説法を取り入れ、住職も仏教の言葉の意味をわかりやすく教えてくれます。仕事をしながら勉強もできるすばらしい環境ですね。また読経の後に「感話(かんわ)」を行っています。感話では、普段思っていることや感じていること、悩んでいることを本堂の前で素直に話せますし、それに対して僧侶が仏教の教えを元に返してくれます。それが心に響きますね。

お朝事で読経する大島さん

お朝事で読経する大島さん

五十嵐:他の方の感話で気づかされることもあり、自分の中で考えることができますので、とてもいいことだなと感じています。
大島:良さという点では、證大寺は四季折々の草花が常にあり、とても癒されます。
五十嵐:證大寺では参詣者の方に対して住職をはじめ大変親切で、最初来たときはこのお寺はサービス業かと思いました(笑)。それくらい気持ちのいいお寺で、それは今も変わりません。

これからこんなことをしていきたいという思いはありますか。

大島:お寺を明るい環境に変えていきたいという住職の想いがあって、それに賛同して花壇を作ったり藤棚を作ったり樹木墓を作ったり、いろいろなことをやって変えてきました。今後は證大寺の新しい取り組みとして、幅広い世代の方を呼ぶいろいろな会を設ける予定です。営繕課もできることがあればどんどん協力していきたいですね。

見事な白い藤棚

見事な白い藤棚

そうですね、新しいことに取り組むのも大切ですが、今ある仕事をおろそかにせず、継続してやっていくことも大事だと思っています。
:私も同じ思いで、緑地をもっともっと価値ある場所にしていきたいですね。

次の世代の方が入ってこられたとき伝えたいことはございますか。

大島:お寺の改革はまだまだ続きます。新しく入ってこられた方もあきらめずに改革に取り組んでほしいですね。それと、井上住職が大切にされている「生涯聞法」をしっかり引き継いでいただきたいと思っています。
:すべての基本はお墓を愛することです。次の世代の方も、まずお墓を愛して欲しいですね。

墓石を磨く南さん

墓石を磨く南さん

五十嵐:外営繕の仕事は参詣者の方に喜んでいただける整備された環境を維持していくこと。それを継続してやっていただけたらありがたいと思っています。

本日はありがとうございました。

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