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お墓参りでお供えする花の種類や選び方とは?知っておきたい供え方のポイントも紹介

法事

お墓参りでは花をお供えするのが当たり前になっていますが、なぜお墓に花を供えるのか、誰に供えているのかなどを考えてみると、知らないことも意外に多いのではないでしょうか。そこでお墓に花を供える意味やお供えする花の選び方など、知っておきたいポイントも紹介します。

目次
●お墓に花を供える理由とは
●お墓によく供えられる花の種類
●お墓参りで供える花の選び方
●お墓参りの花の供え方のポイント
●花が好きな場合は樹木葬の選択も
●證大寺の樹木葬
まとめ

お墓に花を供える理由とは

お墓に花を供える理由とは

お墓に供える花は「仏花」「墓花」などと呼ばれます。お墓に花を供えるのは主に3つの理由からといわれています。

仏花の始まりは青蓮華

仏花の由来は、お釈迦様の時代まで遡ります。まだ修行中で儒童梵士(じゅどうぼんし)という名を名乗っていたお釈迦様は、ある時、燃灯仏(ねんとうぶつ)という仏が都に現れることを知ります。「何かお供えしたい」と考えたものの供えるものがありませんでした。そこで近くにいた花売りから青蓮華(しょうれんげ)という花を買って燃灯仏に捧げたそうです。これが仏花の始まりです。お釈迦様は亡くなる直前に弟子たちに「亡くなった人には花を供えるように」と伝えたという逸話もあり、このことからお墓に花が供えられるようになったと考えられています。
また切り花は「命の儚さ」を感じることができ、「諸行無常」の教えを伝えているともいわれています。

自分の心を清らかに、先祖への気持ちを表す

お墓をきれいに掃除して花を供えることは「故人や先祖への感謝の気持ち」を表わす行為です。故人を想いながら花を供えて手を合わせれば、故人と会話をしているような気持ちになれるものです。仏花を供えることは故人のためだけでなく、供える人の悲しみを癒やして清らかにしてくれるとされています。

香りと美しさを仏様に届ける

お墓や仏壇では線香を手向けますが、これは「仏様は香りを楽しむ」と考えられているからです。花をお供えするのも同様に、花の芳しい香りを仏様に届けるという意味合いもあります。色とりどりの花を供えればお墓も華やかになり、花の美しさも楽しんでもらえます。仏花には「仏様を美しくお飾りする」という意味も込められています。

お墓によく供えられる花の種類

お墓によく供えられる花の種類

お墓に供える仏花は、花もちがよくて傷みにくいものが好まれます。切り花としての美しさだけでなく、長くもって枯れにくいこと、散りにくくてお墓を汚さないこと、手に入りやすいことなどが重要視されています。

菊などの和花

菊などの和花

年間を通して生産され、カラーも豊富な「菊」

菊は定番中の定番です。花屋やスーパーなどで売られている仏花のセットにも、必ずといっていいほど菊の花が入っています。菊は邪気を払うともいわれており、花もちがよく枯れても花びらが散乱しづらいことからも仏花を代表する花となっています。また菊は大輪から小菊まで大きさもさまざまあり、カラーも豊富。年間を通して生産されていることから重宝されています。

夏から秋にかけて咲く「リンドウ」

和花ではそのほかに、夏から秋にかけて咲くリンドウもお盆や秋のお彼岸の仏花として人気です。青系の花なのでアクセントになりやすく、日持ちがよく茎が硬くて水中でも腐りにくいという特長があります。

お盆飾りとして使われる「ホオズキ」

またホオズキはお盆飾りとしてよく使われます。果実の部分のオレンジ色と独特の形状が「あの世からの道を照らす提灯」を模しているとされ、仏花としても用いられています。

カーネーションなどの洋花

カーネーションなどの洋花

暑い季節でも日持ちがよい「カーネーション」

仏花として使われる洋花で人気が高いのがカーネーションです。菊と同様に年間を通して生産され、暑い季節でも日持ちがよく、大きさや色もさまざまにあるためです。また赤は「母への愛」、白は「尊敬」、ピンクは「感謝」など、故人への想いを込めることができるからと、お墓参りに供えることを好む方も多いようです。

花持ちがよい「ユリ」

最近ではユリの人気も高くなっています。高貴な印象で風格もあり、花持ちがよい品種が多いという特長があります。昔は香りが高いことから仏花には適さないとされていましたが、現代では「ユリをお供えして香りを楽しんでもらう」という考え方も出てきています。ただしユリは花粉が多く墓石を花粉で汚す可能性があるので、お墓に供える前に花粉を落とすようにしておくとよいでしょう。

そのほか「ガーベラ」「ポットマム」も人気

そのほかガーベラやポットマムなどの洋菊も、いろいろな種類やカラーが楽しめると重宝されています。

お墓参りで供える花の選び方

お墓参りで供える花の選び方

花屋などで仏花としてセットされているものでももちろんかまいませんが、祥月命日などは花を選んで手向けるのもよいでしょう。ではどんな基準で花を選べばいいか、決まりなどはあるのでしょうか。

故人の好きな花や好きな色の花

お墓参りでは故人の好みを優先し、故人を偲ぶ気持ちを大切にするのがなによりです。故人が好きだった花があれば、その花を選ぶようにしましょう。また特定の花がなければ、好みだった色で花を選ぶのもよいでしょう。

花の色合いとバランス

花の色には特に決まりはなく、カラフルな組み合わせも好まれます。ただし故人が亡くなって日が浅い場合は白など淡い色の花、法要の時は白や紫の花を供えることが多いです。
仏教式のお墓の場合、花立ては左右に1つずつあります。左右に異なる仏花を飾るのではなく、同じ物を対称となるように飾ります。また花立てはさほど大きくないことが多いので、1束の花の本数は少なめにして、花の丈も長くなりすぎないように注意しましょう。

避けた方がよい花はある?

お墓参りで供える花の選び方

お墓に供える花としては、避けた方がよいとされる花もあります。

棘のある花:バラなど

棘のある花は避けた方がよいとされています。しかしバラは棘があるものの人気が高い花で、「故人がバラを好きだったから供えたい」と思うこともあるでしょう。そんな場合は棘を取り除いて供えれば問題ないとされています。

毒のある花:キョウチクトウなど

毒のある花は仏事全般に好ましくないといわれ、お墓に供える花としても不向きです。

蔓性の花:クレマチスなど

蔓性の花もお供えには適しません。花立てに立てづらくツルが地面を這って不格好になりがちです。

その他

地域の習慣や宗派などにより、仏花に独自のしきたりがある場合もあります。たとえば造花を仏花として飾ることも基本的には問題はありませんが、価値観が異なる方もいます。また花の持ちが悪くすぐにしおれてしまうような花や、花びらが落ちて周囲に飛び散ってしまうような花も避けるのが無難です。

お墓参りの花の供え方のポイント

お墓参りの花の供え方のポイント

お墓に花を供える際は、花を長持ちさせる工夫を行いましょう。茎の切り口を水中で斜めに切る「水切り」を行えば持ちがよくなります。水に触れる部分に葉があると葉も水も傷みがちになるので、取り除いておくようにします。
またお墓への花の供え方には、ほかにも気をつけたいことがあります。

花の本数と向き

花の本数は、3本、5本、7本と奇数にすることが一般的で、正面から見て菱形になるように形を整えます。
花の向きはお墓に向けて供えるのではなく、お参りするこちら側に向けて供えます。これは仏様を敬う気持ちでお墓を飾って浄土の様相を表現し、仏様を讃えて慈悲の心をいただくためだといわれています。

お墓に供えた花を持ち帰るかどうか

お墓に供えた花はそのままにして、花が枯れる前にまたお墓参りに来るのが理想的です。しかしなかなかお墓参りに行けないこともあります。またお寺や霊園で供えた花の管理を行ってくれるところばかりではありません。生花をそのままにしておくと枯れて花びらが落ちたり、虫が湧くこともあるため「持ち帰ってほしい」とする霊園等もあります。それぞれの方針によって異なるので、どうすればいいか確認するようにしましょう。

花がすでにある場合はどうすればいい?

お彼岸やお盆などでお墓参りに来る方が多い時期では、お墓に行ってみるとすでに花が供えられていることがあります。少ししおれているようであれば、新しい花に換えるようにしましょう。供えられたばかりできれいな状態の場合は、お寺や霊園内にある永代供養墓などにお供えするようにします。もちろんお供えをせずに、家に持ち帰ってもかまいません。ただし一度お墓に供えた花を自宅の仏壇に飾るのは、仏様に対して失礼とされることがあります。仏壇に供えたい場合は、お墓に供えていないものを持ち帰るようにしましょう。

花が好きな場合は樹木葬の選択も

花が好きな場合は樹木葬の選択も

お墓に花を供えるだけでなく、花が大好きで花に囲まれて眠りたいと希望している場合や、お墓に花を絶やしたくないと考えるなら、樹木葬という選択も考えてみてはいかがでしょうか。
樹木葬というと自然回帰のイメージがあり、山林等で樹木をモニュメントにする…というものを想像しがちですが、そういったものばかりではありません。きちんと手入れが行き届いた庭園で、木々や四季の草花に囲まれて眠るという「庭園タイプ」と呼ばれる物もあり人気を集めています。また一般のお墓より費用が抑えられることが多く、永代供養もしてもらえるのでお墓の後継者問題で悩むこともありません。

證大寺の樹木葬

證大寺の樹木葬

證大寺 船橋昭和浄苑の白藤樹木葬

江戸川区にある證大寺ではお寺に隣接した場所で「藤と桜の樹木葬」を行っています。最寄り駅の「一之江駅」から徒歩10分とアクセスしやすく、無料送迎サービスも利用できるため、お墓参りに行きやすいと評判です。また千葉県には「藤と桜のガーデン 船堀樹木葬」もあります。

四季の花を楽しめ、樹木のタイプが選べる

證大寺の樹木葬はいわゆる「庭園タイプ」で、その名の通り藤と桜が植えられているほか、はなみずきやもみじなどの木もあり、どの木をシンボルツリーにするか選ぶことができます。また樹木だけでなくさまざまな花々が植えられていて、四季を通して花が絶えることがありません。

お寺の直接管理だからこその安心感

證大寺では、管理会社などではなくお寺が直接管理し、手厚く供養してくれるので安心感があります。お寺が永代に渡って「永代供養」してくれ、春秋のお彼岸法要やお盆法要なども行われます。1人で入る区画だけでなく、家族で入れる区画もあってペットと一緒に眠ることもできます。また将来的に他の遺骨と合祀される心配もありません。

お寺には専門の庭師がお花や樹木葬などを管理

お寺には専門の庭師がお花や樹木葬などを管理

松の剪定をする庭師(外営繕)

昔ながらのお寺では、華道の流派・池坊で生け花を学んだ坊守(ぼうもり)=住職の奥さんがお墓の花の面倒を見ている場合が多いですが、證大寺には専門の庭師がいて樹木葬の管理を行っています。木々の剪定のほか、常に花が咲いているように季節ごとに花を入れ替えるなど、庭師によって丁寧な整備がなされています。
庭師の方に話を伺ったところ、「剪定や花の植え方など、全国のいろいろな庭園を見学して勉強を重ねています。お墓参りに来る方に喜んでもらえるよう、参詣者が来る前に綺麗にしておくことを心がけています。全てのお墓を愛する…そんな気持ちで仕事に取り組んでいます」とのこと。
またお墓参りに来られた方からは「冬でもきれいに咲いた花々に囲まれて眠ることができる」「常に植栽の管理がされていて、故人への心遣いを感じる」との声を聞くことができました。

まとめ

まとめ

お墓に参って花を供えると、故人へ想いを表わすことができるだけでなく、供える人の心も清らかにしてくれます。仏花には決まりごともあるため、セットになって売られているものが無難かもしれません。しかしお墓に花を供える本来の意味を考えれば、時には故人の好みや雰囲気に合わせた花を選ぶのもよい供養となるでしょう。

お墓参りでお供えする花に関する監修
仏教人生大学 講師
梅原 博

PROFILE
1973年に真宗大谷派にて得度。真宗学は大谷大学にて学ぶ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。真宗大谷派名古屋別院では法話講師を務めている。

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