墓じまいのお布施、相場やマナーを徹底解説!後悔しないための完全ガイド

お墓

墓じまいをしようと思った時、まず気になるのは費用ではないでしょうか。特にお布施はいくら包めばよいか、よくわからないという方もいるでしょう。そこで墓じまいのお布施の相場とともに、表書きや渡すタイミングなどのマナーを紹介。あわせて墓じまいの流れや注意すべきポイントなども説明します。

目次
●墓じまいとは
●墓じまいのお布施
●墓じまいの費用
●墓じまいの手順|墓じまいってどんな流れで進めるの?
●墓じまいの注意点
●墓じまいの相談先
●墓じまいのよくある質問
●墓じまいに関するご相談は證大寺に
●まとめ

墓じまいとは

墓じまいとは

墓じまいとは、今あるお墓を撤去して更地に戻し、お寺や霊園など管理者へ返すというものです。墓じまいすると、お墓にある遺骨は取り出すことになります。取り出された遺骨は、改葬して別のお墓に移すのが一般的で、改葬まで含めて墓じまいと呼ばれています。

なぜ墓じまいするの?近年増加の背景とは

厚生労働省の調査によると墓じまいの数は年々増加傾向で、2022年では15万超となっています。なぜ墓じまいが増えているのか、その背景には少子化等による承継者問題があるといわれています。お墓を継ぐ人がいないため、また継ぐ人がいても「子ども世代には負担をかけたくない」などの理由で、自分の代で墓じまいを考える方が多いようです。さらに「お墓は先祖代々継ぐもの」といった価値観が変わっていったことも、墓じまいが増える後押しになっているといわれています。

墓じまいのお布施

墓じまいのお布施

墓じまいのお布施というと、今あるお墓の閉眼供養のお布施をさすことが一般的です。ただしこれとは別に、改葬先の開眼供養等のお布施も必要となってきます。

お布施の相場

閉眼供養のお布施は、3万~10万円程度が相場とされています。金額に幅があるのは、地域やお寺によって差があるためです。またお寺との関係性によっては、お礼の意味を込めて相場よりも数万円多く包むケースもあります。さらにお布施のほか、お墓まで来てもらった御車代や、法要後の会食の御膳料などをお渡しすることも慣例となっています。御車代や御膳料はいずれも5,000~1万円程度が相場とされています。
改葬先での開眼供養のお布施は5,000~1万程度が相場とされています。ただし改葬先が合祀墓や散骨などの場合は開眼供養を行わないので、お布施が不要となるケースもあります。

お布施の表書き

お布施は伝統的な奉書紙で包むものとされていますが、最近では不祝儀袋や封筒などで代用することも珍しくありません。不祝儀袋を用いる場合は銀色(関西では黄色)の水引が付いたものを選ぶようにします。また封筒の場合は郵便番号欄のない白封筒を使うようにしましょう。
表書きは濃墨で「御布施」または「お布施」とし、中央の下部に施主の名前をフルネームで書きます。また裏書きとして住所と金額を記載しますが、金額は旧漢字で書くのが一般的です。お札は新札を用意して入れるようにしましょう。

お布施を渡すタイミング

墓じまいのお布施は、閉眼供養の法要が行われる前に渡すようにします。僧侶が到着して挨拶をする際に、切手盆に乗せ「本日はよろしくお願いいたします」などと一言添えて渡すのがマナーです。諸事情で法要前に渡せなかった場合は、法要後に僧侶が帰る前に渡しましょう。

浄土真宗のお布施

浄土真宗ではほかの宗派とは異なり、お墓に魂が宿るという考えがありません。そのため閉眼供養は行われません。その代わりに「遷座法要」が執り行われます。遷座法要とは仏様に移動してもらう際に感謝を伝える法要であるとされています。遷座法要のお布施の相場は閉眼供養と同様で、3万円〜10万円程度が目安とされています。

離檀料とは

墓じまいの際にお布施とは別に、お寺へ「離断料」を渡す慣習があります。離檀料とは檀家をやめる際にそれまでの菩提寺に渡すもので、これまでの感謝の気持ちを表すものだとされています。また墓じまいの手続き書類を作ってもらったことや、工事で敷地内に業者等が入ることへのお礼の意味を込めて包むものでもあります。金額はお寺との関係性や地域性、お寺の格などによってさまざまです。一般的に相場は3万円~20万円程度で、法要1回分のお布施が目安となるとされています。

墓じまいの費用

墓じまいの費用

墓じまいではお布施以外にも費用がかかります。墓じまいの総額の目安は30万円~300万円程度とされています。金額の幅が大きいのには理由があります。その内訳を見ていきましょう。

費用の内訳

費用の内訳は、大別すると墓石の撤去に関する費用と改葬先に関する費用の2種類に分けられます。そのほか行政手続きにかかる費用も必要となりますが、数百円から数千円程度と大きな金額にはなりません。

墓石の撤去に関する費用

墓石撤去の工事費用の目安は20万円~となっています。墓地が山の中にあって車が入りにくい場所であったり、町中の墓地でも他の区画があるなどの理由で重機が入らなかったりなど、工事が困難な場合は費用が嵩み、相場の目安に幅が出る一因となっています。

改葬先に関する費用

取り出した遺骨を納骨する改葬先をどうするかによっても、費用は大きく変わります。遠方にあるお墓を墓じまいして、住まいの側に新しいお墓を建立するとなると、100万単位の費用が必要になることも珍しくありません。しかし最近では費用を抑えるためやお墓の継承者の問題などもあり、永代供養の付いた納骨堂や樹木葬が改葬先として選ばれることが増えています。
墓じまいして永代供養するメリットについては、下記リンク先の記事をご参照ください。
https://shoudaiji.or.jp/baton/post686/

墓じまいの手順|墓じまいってどんな流れで進めるの?

墓じまいの手順|墓じまいってどんな流れで進めるの?

では墓じまいを行う際は、どのような手順ですすめればよいでしょうか。墓じまいの流れの概略を説明します。詳細を知りたい方は、下記のリンク先の記事をご参照ください。
https://shoudaiji.or.jp/baton/post14/

閉眼供養と改葬

まずはお墓の閉眼供養を行います。閉眼供養とは、墓じまいするお墓から先祖の魂を抜く法要です。お墓まで僧侶に来てもらって、墓前で法要を行います。宗派によって考え方は異なるものの、閉眼供養することでお墓はただのモノに戻るとされています。閉眼供養した後にお墓の中から遺骨を取り出して、新しい改葬先に遺骨を納骨します。

墓石の撤去と更地化

石材店などの業者に依頼して墓石を撤去し、更地に戻してもらいます。更地になった墓所はお寺や霊園にお返しします。

必要な手続き|どんな手続きが必要なの?

墓じまいする墓地の管理者から、埋葬証明書と改葬許可証を発行してもらいます。また取り出した遺骨を納骨する改葬先からは、受入証明書を発行してもらいます。これらの書類を添えて、墓所のある役所に改葬許可申請書を提出し、改葬許可書の交付を受けるという手続きが必要となります。ただし墓じまいの手続きは、自治体によって異なる場合もあるので、詳しくは墓所のある役所に問い合わせるようにしましょう。

墓じまいの期間|どれくらい時間がかかるの?

墓じまいの手続きや工事だけで考えると、最短で1ヶ月ほどで終えることができます。しかし墓じまいは親族や菩提寺との話し合いから始まるため、実際にはもっと時間がかかる場合がほとんどです。数年以上の年月がかかってしまうことも珍しくありません。

墓じまいの注意点

墓じまいの注意点

墓じまいは手続きさえすれば簡単にできるというものではありません。注意しておきたいポイントがあるので、気を付けて取り組むようにしましょう。

墓じまいのマナー|失礼のないようにするには?

墓じまいをする際は、お墓のある菩提寺に伝える必要があります。しかしいきなり報告という形で伝えたため、お寺との関係が悪化したというケースもあります。中には法外な離断料を要求され、弁護士や司法書士に間に入ってもらうトラブルに発展した例もあります。お寺にはまずは報告ではなく「相談」という形で伝えるようにし、理解が得られるように話し合うようにするなどお寺に失礼がないように配慮しましょう。

親族への相談|誰に相談すればいいの?

墓じまいを考えているなら、親族への相談も欠かせません。お墓は管理している人だけではなく、家族や親族にとっても重要なものです。そのお墓に入る可能性のあった親族はもちろんですが、その他の親族にも相談するようにしましょう。自身が入るお墓でなくても、身内が入っているお墓への想いが強いということもよくあります。お墓を継ぐのは自分だからと独断で決行した結果、親族間でのトラブルに発展したという例もあります。墓じまいを行う前に、親族に相談して理解を得るようにしましょう。

遺骨の扱い|遺骨はどうすればいいの?

墓じまいでの遺骨を取り出しは、石材店に依頼して作業を行ってもらうのが一般的です。取り出した遺骨は状態などで異なるものの、洗骨することをおすすめします。改葬先によっては新しい骨壺への入れ替えが必要となる場合もあります。洗骨しないで新しい供養先にそのまま納めると、カビや匂い、虫が湧くなどのトラブルが起こることがあります。
また改葬先への運搬は、自動車や公共交通機関を使って自分で運ぶことになります。自分で運搬できない場合は業者などに依頼するほか、ゆうパックなどで配送してもらうケースもあります。

トラブルを防ぐために|事前に確認しておく

墓じまいでトラブルを防ぐには、事前の確認を怠らないことがポイントになります。たとえば親族に相談し墓じまい自体の了承は得られていても、その時期や改葬先について反対意見が出ることもあります。また墓石の撤去工事でも事前の見積もりがされていないと、高額な撤去料に戸惑うなどということも起こりかねません。都度都度確認をして、丁寧に進めるようにしましょう。

墓じまいの相談先

墓じまいの相談先

まずはお寺や親族に相談し、時間をかけてじっくり進めるようにしましょう。とはいえお墓が遠方で簡単には行けない場合や、煩雑な手続きを自分で行う自信がないなどの場合は、墓じまいの代行業者に依頼するという方法もあります。

墓じまい業者を選ぶポイント|どんな業者に頼めばいいの?

墓じまい業者を選ぶ場合は、全て任せたいのか、一部を代行してほしいのかなど希望を明確にしておきましょう。その後、希望にあったサービスを行ってくれる業者を探します。墓じまい業者はたくさんあるので、相見積もりをとるなどして料金を比較して決めるようにします。さらにその業者がどれくらいの実績があるのか、SNSなどの口コミなども参考にして調べておくようにしましょう。

墓じまいのよくある質問

墓じまいに関する質問をまとめましたので、参考にしてください。

Q 墓じまい後の供養はどうすればいいですか?

墓じまいをした後の供養は、さまざまな方法があります。住まいの側などに新しいお墓を建てて、代々継いでいくというのも1つの方法ですが、承継者問題が気になる場合は、合祀墓や樹木葬、納骨堂など永代供養付きのものがおすすめです。また取り出した遺骨を散骨するという方法もあります。
全ての遺骨をまとめて納骨するのではなく、改葬先を分けるという方法もあります。遠い祖先は散骨、近い身内は永代供養付きの樹木葬などといったケースも見られます。

Q 墓じまいをしないとどうなるのでしょうか?

お墓は放置すれば荒れ果て、無縁仏となってしまいます。またお墓がある霊園や寺院には管理費を支払う義務があるので、墓じまいしないままにしておくと承継者に負担をかけることになりかねません。

Q ペットの墓じまいはどうすればいいですか?

ペットのお墓は、合祀型の場合は墓じまいする必要はありません。個別埋葬の場合でも、管理や供養はペット霊園が行ってくれるものが一般的です。年間管理費が払えないなどの理由で、墓じまいしたい場合はペット霊園に相談するようにしましょう。また人とは異なるため、行政手続きの必要はありません。

墓じまいに関するご相談は證大寺に

墓じまいに関するご相談は證大寺に

證大寺は江戸川区にある真宗大谷派の寺院です。お寺の墓地に加えて、埼玉と千葉の2箇所で昭和浄苑という霊園も直接運営しています。一般墓のほか樹木葬や納骨堂、合祀墓など多彩な種類のお墓があり、生前の宗旨宗派不問で真宗大谷派以外からの改葬も受け付けています。

無料相談会も実施

證大寺では、墓じまいに関する無料相談会を実施しています。改葬先として相談にのるだけでなく、墓じまいをどうしようかと考えている段階での相談にも乗ってくれます。これまで1000件を超える墓じまいの実績があり、トラブルに発展したケースはありません。墓じまいについて悩んだら、證大寺に相談してみてはいかがでしょうか。

【主な無料相談会会場】
船橋東武百貨店(3~4ヶ月に1度)、錦糸町丸井内シニアと家族の相談室(毎月1回)、船橋エポカ高根沢店(毎月1回)
詳しくはhttps://shoudaiji.or.jp/contact/までお問合せください。

證大寺:https://shoudaiji.or.jp/

證大寺 江戸川:https://edogawa2.eitaikuyou.life/
森林公園 昭和浄苑:https://higashimatsuyama2.eitaikuyou.life/
船橋 昭和浄苑:https://funabashi2.eitaikuyou.life/

まとめ

まとめ

年々増加傾向にある墓じまいですが、実際に行おうとすると手続きや費用など心配になることも多くあります。特に檀家であったお寺との関係を考えると、お布施についても気になるでしょう。相場費用を知って失礼がないように振る舞うことが、これまでの感謝を伝えることになります。

墓じまいのお布施、相場やマナー関する監修
仏教人生大学 講師
加藤 順節

PROFILE
真宗大谷派の僧侶として、證大寺 船橋別院所属。證大寺 銀座別院で仏教入門講座など多数講師を務めており、さまざまなテーマで仏教から人生を学ぶ講座を開催している。

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