枕花(まくらばな)とは|贈り方と注意点について解説

葬儀

人が亡くなった際には、さまざまな形で花が飾られます。花は弔意を示す意味合いがあるからですが、その中のひとつに「枕花」があります。聞きなれない方もいるかもしれませんが、覚えておきたいものの1つです。そこで枕花とはどんなものかという基礎知識から、贈るタイミングや手順、マナーまでついて詳しく説明します。

目次
●枕花とは
●枕花の贈り方
●枕花の相場
●枕花によく用いられる花材
●枕花を贈る際の3つの注意点
●證大寺の葬儀
●まとめ

枕花(まくらばな)とは

枕花(まくらばな)とは
枕花とはその名の通り、亡くなった人の枕元に供える花のことをいいます。故人と特に親しかった人や近親者が、訃報を受けた際に贈るものです。贈った人の代わりとなって故人の枕元に寄り添うという意味が込められているといわれています。

枕花と供花の違い

枕花と混同されやすいものとして、「供花」があります。枕花も供花も、故人への哀悼の意を表す花ですが、この2つは「飾る場所」や「贈る人」、「贈るタイミング」が異なります。
枕花は亡くなった直後から通夜までの間に、安置されている故人の枕元に飾られるのが一般的です。訃報が直接伝えられるようなごく近しい親族や友人が贈るものであり、贈るタイミングは訃報を受けた後となります。
供花は通夜や葬儀の際に斎場に飾られるものです。故人とご縁のあった人や親族のほか、会社などの組織からも贈られることもあります。供花を贈るタイミングは、通夜が始まる数時間前までに斎場に届くようにします。

枕花と一本花の違い

故人の枕元に飾られる花は、枕花のほかに「一本花」があります。一本花とは、通夜の前までの間に故人を祀る「枕飾り(仮祭壇とも呼ばれる)」の中の1つで、花瓶に1輪の花だけを挿して枕元に供えるというものです。花ではなく樒が使われることもあります。一本花は誰かから贈られるものではなく、故人の家族が用意するものです。

枕花の贈り方

枕花の贈り方
親密にしていた方が亡くなると、枕花を贈りたいと思うこともあるでしょう。訃報は突然の場合が多いので、あらかじめ枕花を贈るタイミングや手配の仕方を知っておくことをおすすめします。

枕花を贈るタイミング

枕花は、訃報を聞いてから通夜までの間に贈るものですが、タイミングが早すぎると失礼にあたるとされています。まるで亡くなるのを待っていたようだと捉えられてしまう恐れがあるからです。とはいえ遅すぎると用をなしません。タイミングが難しいものなので、遺族に納棺や通夜などのスケジュールを尋ねておけば手配しやすくなります。また通夜までの期間が短い場合は、枕花ではなく供花を贈るようにするのもよいでしょう。

枕花を手配する前に確認すること

枕花を手配するには、まず葬儀を担当する葬儀社に連絡し、手配方法を確認しましょう。葬儀社によって異なりますが、指定の花屋以外からは受け付けてもらえない場合や、花の種類や大きさ等に指定があるケースもあります。
送り先についても葬儀社に確認するようにしましょう。最近は自宅ではなく斎場や専用の施設などで安置されるケースも多くなっています。どこに贈ればいいのか住所を確認しておきましょう。
その後、指定の花屋がない場合は、近くの花屋やインターネット等で予算や条件にあわせたものを手配するようにします。

枕花の相場

枕花の相場
枕花の費用相場は故人との関係性によって異なるとされていますが、おおよそ5,000円~20,000円程度となっています。相場に幅があるのは、左右対称の花を2基用意して1対として贈る場合と、1基のみを贈る場合があるというのも一因です。かつては1対(左右2基)で贈ることが多かったものの、最近では置き場所を考慮して1基のみで贈ることが増え、盛花や籠花のほかアレンジメントの花などもよく選ばれます。

枕花によく用いられる花材

枕花によく用いられる花材
枕花は白色の花をベースに、淡い青や淡い紫系といった落ち着いた色味の花が選ばれることが一般的です。花の種類は宗教によってやや異なり、仏教や神道では菊やユリ、キリスト教ではカーネーションや洋蘭などが用いられることが多いです。しかし厳密な決まりがあるものではないので、故人の好みを知っているなら生前好きだった花を選ぶのもよいでしょう。ただしバラなどの棘のある花、香りが強すぎる花や花粉が飛びやすい花などは、枕花としてふさわしくないので避けるようにします。また最近では通夜まででなく、葬儀までや葬儀が終わった後も枕花が飾られることがあるので、花持ちのよいものを選ぶようにしましょう。

枕花を贈る際の3つの注意点

枕花を贈る際の3つの注意点
枕花を贈る際にはいくつか注意したいことがあります。マナー違反や失礼がないよう、下記のことに気を付けるようにしましょう。

(1)故人の遺族に枕花を贈って良いか確認すること

まずは枕花を贈っていいか、遺族に許可をもらいましょう。枕花は基本的には故人の遺族から直接訃報を聞くような関係性の人が贈るものなので、人伝で知って花を贈りたい場合は、斎場に飾る供花を贈るようにしましょう。また地域の風習によっては枕花を飾らない場合もあるので、遺族に確認しましょう。

(2)故人の自宅に配送する場合は故人宛ではなく遺族宛に贈ること

(2)故人の自宅に配送する場合は故人宛ではなく遺族宛に贈ること
故人の遺体が自宅で安置されている場合、枕花を配送で届ける際は故人宛ではなく遺族宛に贈るようにします。喪主が故人と同居の場合は喪主宛に贈ってもかまいません。
地域にもよりますが、枕花では名札をつけないのが一般的です。喪主や遺族と面識がない場合は、誰からの枕花なのかわかるように配慮しましょう。お悔やみの言葉とともに故人との関係がわかるように、メッセージカードなどを添えるのがおすすめです。

(3)贈主が持参する場合は服装に注意すること

故人の遺族からの許可があれば、枕花を持参して届けても問題はありません。しかし通夜の前に弔問することになるので、喪服で行くのはマナー違反となります。通夜前に弔問する場合は、原則的に礼服ではなく平服で行くのがマナーです。とはいえカジュアルすぎる服装や派手なアクセサリーなどは失礼にあたります。黒や紺を基調とした落ち着いた色・デザインの平服で訪問しましょう。

證大寺の葬儀

證大寺の葬儀
證大寺は、東京都江戸川区にあり、正式名称は『法輪山 続命院 證大寺』。1200年の歴史のある浄土真宗の寺院です。通夜や葬儀となると最近では民間の斎場が使われることが多いですが、證大寺でも通夜・葬儀を行うことができます。お寺ならではの雰囲気の中で、心のこもった通夜や葬儀が執り行えると評判です。

枕花の手配について

證大寺では通夜・葬儀だけでなく、通夜の前に本堂横の書院に故人の遺体を安置してもらうこともできます。現代ではロッカー式の安置所に安置されることも多いですが、證大寺なら故人の遺体を布団に寝かせてくれるので、遺族も安心して故人と向き合うことができます。また安置の間は毎日読経・焼香して枕勤めを行い、手厚く供養してくれます。
證大寺で安置されている場合は、證大寺に依頼して枕花を手配することができます。また指定の花屋は特にないため、配送された枕花や直接持参したものも、故人の枕元に飾ってもらえます。

葬儀はお別れの場ではなく、出会い直しの場

證大寺では葬儀を「お別れの場」ではなく「出会い直しの場」だといいます。葬儀で故人に向き合って、出会いの意味を確かめる場となることこそが、葬儀の本来の意義だと考えられています。
一般的な葬儀ではバタバタしている間に終わってしまうことが多く、後悔が残ったという声も聞かれます。そのようなことがないよう、證大寺では「故人様の歩み」を伝えたり、故人へ手紙を書く機会も設け、遺族だけでなく参列者にとっても「出会い直しの場」となるような内容になっています。心のこもったものにしたいなら、證大寺に相談してみるのはいかがでしょうか。
證大寺(江戸川エリア)https://edogawa2.eitaikuyou.life/
船橋昭和浄苑(船橋エリア)https://funabashi2.eitaikuyou.life/
森林公園昭和浄苑(東松山エリア)https://higashimatsuyama2.eitaikuyou.life/

まとめ

まとめ
枕花は故人の枕元に花を供え、贈った人に代わって故人に寄り添うというものです。深い絆で結ばれていた人が亡くなると、枕花を供えたいという気持ちになるでしょう。しかし枕花を贈る際にはタイミングやマナーなど注意しておきたいことが多々あります。それらを踏まえた上で、適切に対応するようにしましょう。

枕花に関する監修
仏教人生大学 講師
目﨑 明弘

PROFILE
證大寺 森林公園別院に所属。18歳から28歳まで京都の大谷大学で仏教を学ぶ。その後、浄土真宗大谷派の本山である東本願寺の同朋会館で五年間勤務。現在は、銀座別院等で講師を担う。

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